Nothing’s Carved In Stoneの日本武道館ワンマン公演“10th Anniversary Live at BUDOKAN”まで1週間を切った9月下旬。たっきゅんを追い続けてきた当連載では、さすがにこのタイミングでサバイバル系・チャレンジ系の企画をやるのは憚られたため、「武道館直前にたっきゅんはいったい何を考えているのだろう?」という素朴な疑問からたっきゅん単独インタビューを敢行。武道館に向けてのリハーサルが行われているスタジオに突撃して話を訊いた。
武道館ワンマンまであと5日と迫りましたね(※取材は10/2に敢行)。
今回は“10th Anniversary Live at BUDOKAN”のちょっとしたアクセントになればいいなと思って武道館直前インタビューをさせていただこうと思っているんですが、ここ最近はどんな感じで過ごしてました?
こないだ“中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2018”に出させてもらって、それが今年のフェス締めだったんですけど、すごくいいライブが出来て。
今年は複数あるうちの1つのステージのトリに抜擢してもらって、それで結構気合いも入ってて。“中津川 THE SOLAR BUDOKAN”はテーマがすごくはっきりしていて、意志のあるフェスだと思うんです。出演者たちもそれを理解して集まってきているというか。
そこでトリに抜擢してもらって、応えたいっていうか。それで色々と気持ち的な準備をして臨んだんですけど、それがお客さんとシンクロして。俺らより若い世代のバンド…例えば04 Limited Sazabysはメインステージで俺らの直前に演っていたんですけど、彼らは名古屋出身で、G./Cho.RYU-TAは中津川出身で地元だし、そういうこともあって気合いが入っていたんでしょうね、すごくいいライブをしていて。“中津川 THE SOLAR BUDOKAN”に出演しているみんなが思っている気合いというか、気持ちみたいなものを繋いでいけた感じがあったんです。
なるほど。武道館ワンマンを発表したのは今年の2月でしたけど、武道館に向けて本格的に考え始めたのはここ1~2ヶ月という感じですかね?
そうですね。照明どうするかとか、演出をどうするかとか、「こんな風にしたいね」って言ってたことが具体的に固まってきたので、考えも定まってくるというか。普段のライブにしても、10ヶ月くらい前から決まってることってあまり無いじゃないですか。
だから自然とそこに気持ちが向かっていく感じにはなっていて。もちろんいつも通りのライブをしたいし、いつも通りのNothing’s Carved In Stoneにしたいんですけど、武道館に対してみんな気合いが入ったり、特別な感じになるのはそういうことなのかなって。そういうことを今、肌で感じてますね。必然的にそこに向かっていくというか。
気持ち的にはいつも通りのライブを演って、武道館のワンマンが終わったあとで“武道館は何だったのか”ということがわかるのかなって。そのときにわかればいいかなって思ってます。
そうですね。9月にもう風邪もひいたし、気管支炎にもなっておいたので、もう何の心配もない。フハハハハハハハハ(笑)。
デカい場所だから色々とやれることもあるし、スタッフも今まで以上に一丸となっている感じがあるし、チームとしても盛り上がってるんですよね。だからいちばんいい状態のNothing’s Carved In Stoneを観てもらえるんじゃないかなと思ってます。
武道館で演りたいと言ったのは拓さんじゃないですか。過去にも訊いたことがある質問なんですけど、なぜ武道館だったんでしょう?
どうせバンドをやるなら、1度は立ってみたい場所だったんです。そういう欲ですね。どうせやるならねって。
日本武道館という場所でやれる人なんてひと握りだと思うし、やれるチャンスや状況があるのにやらないのはすごく贅沢な話だなって。
武道館のステージなんて、一般の人はそもそも立てないですもんね。
本当にそうだと思う。それでようやく自分の中で登りたかった階段を一段登れた感じになるんじゃないかなって。そういうのが欲しかったというのもあるんですけどね。
でも何より、10周年はどこでやろう? となったとき、自己満足じゃなくオーディエンスやスタッフ、みんなに喜んでもらえるのは間違いなく日本武道館だなと思ったんです。
ですよね。それも伝わってきてるし。あとはやっぱり、これ本当に思うんですけど…例えば「えー? Nothing’s Carved In Stoneが武道館なの?」と言ってる人は結構居ると思うんですよ。未だに。でももう集客的には、実際ソールドアウトを出してもいいくらいになっていて。
1ヶ月以上前、代官山LOOPのイベントの時点で言ってましたもんね。
そう。だからみんなが思っている印象とは違うんだよ、っていう証明もしたいですよね。俺たちみたいな“寄せ集め”と思われていたようなバンドが、ちゃんと1個1個階段を作って、ちゃんと足元を確認しながら登ってきたんだよっていう証明は、バンドとして武道館に立つことで。それによってバンドのキャラクターも映えてくるだろうし。そういう気がしてます。
俺たちみたいな“寄せ集め”と思われていたようなバンドが、ちゃんと1個1個階段を作って、ちゃんと足元を確認しながら登ってきたんだよっていう証明は、バンドとして武道館に立つことで。
話を聞いていて思うのは、武道館にふさわしいバンドになってから武道館に立つのではなくて、武道館でやることを決めて実際にやったら、結果的にふさわしいバンドになってるのかなと。
ああ~、そこまで深くは考えてなかったです。でも自分たちはずっと変わってないと思うんです。今から振り返ってみても、最初からいいバンドだったし、もちろんビルドアップし続けてきたから見ることができた景色はいっぱいあったと思うんですけど、前と違うのは、自分たちに100%自信がある、というところくらいで。
だから“ファンに喜んでもらいたい”ということは、単純に武道館で俺たちが演奏して、そこにみんなに居てもらって、最高の時間を過ごすということだけじゃない気がするんです。
僕の感覚としては好きなバンドって、好きな服を着ることとか、好きな趣味とか、そういうものに近い感覚で。「あのバンド好きな俺ってかっこいいよね」って10代の頃とかすごく思ってたし。だからそのバンドのかっこ悪い噂とか聞いて、言った奴に「ふざけんなよ」とか思っていたし。「なんで俺が好きなものを悪く言ってるんだよ」って。
そうそう。Nothing’s Carved In Stoneは、僕が若かったというのもあるし、見られ方でそういう風に言われることが多かったんじゃないかと思ってて、ファンの人たちにちょっと寂しい想いをさせたこともあるんじゃないかなという気が僕はするんです。でもそれを100%払拭できるくらいのパワーを持ってる。その自信がある。それで臨む武道館。
まあね、武道館をやったからって何なんだ? っていう話なんですけど、変な偏見とかをもう気にしなくてもいいというか、手放しで「Nothing’s Carved In Stoneってかっこいいね」って言えるようなきっかけになってくれればいいなと思ってる。まだまだこれから先があるので、みんなが誇りに思えるようなきっかけになるんじゃないかなって。
うんうん。今日はリハ2日目らしいですが、全部で何日間入るんですか?
セットリストは拓さんがある程度たたき台を作ってリハに入ったんですか?
いや、今回は結構早い段階でメンバーみんなで話し合って大枠を決めたんです。そこで全体の流れを作っておいて、この5日間のリハで完成させるという感じです。
当然今までの曲全部が選択の対象になるわけですが、どんな感じになりそうですか?
うーん、9枚分のアルバムからオールタイムで選んだ感じで、説明は難しいですけど、おもしろい感じになりそうな手応えはありますね。踊れるし、ノレるし、歌えるし。そういう全部の要素を詰め込んだセットリストになると思います。明日~明後日でセットリストが固まる予定なんですけど。
あまり気負いすぎても仕方がないし、立ってみないとわからない部分も絶対にあると思うし。きっとステージから見る景色は最高だろうし。
俺たちからしたら、もうそれだけで超最高のプレゼントですよ。それ以上は要らない。
現時点で、3人のメンバーに対してそれぞれれ何か思うことはありますか?
うーん、俺ら4人しかわかんない感覚ってあるんですよ。10年一緒にやってきて。どういう風に見られているかっていうのも俺たちはわかってるし。世間の評価とか、見方とか、そういうものに流されない確固たるものがあるんですよね。
だからこのままやっていこうって思っていて。10年続けてきて良かったなと思うから、このままやっていこうぜって。この答えで合ってる?(笑)
合ってると思います(笑)。というか、僕の質問が間違っていた。今まで僕はこの連載でバンドに対してというより“村松拓”に対して訊きすぎてきたから、「3人のメンバーに対して何か思うことは?」と“村松拓”に訊いたけど、バンドとしての答えが返ってきた。
ああ~、そういう考え方の変化はあるかもしれないです。この10年の中で。もう自分のバンドになったし。そういう意味で、もしかしたら僕の内面も追いついてきたのかな。
4人でスタジオに入るたびに「すごいな」と思うんですよ。3人のパワーに驚くんです。もちろん人柄とかヒューマンスキルにもリスペクトしてる人たちだけど、スタジオに入ったらその演奏がものすごく強烈だなって思うんです。そのたびに「俺はここで歌わせてもらってるんだな」と思うし、「これだけ音楽が好きで、バンドが好きでやっている人たちが選んだヴォーカルだから」って思うと、結構自信になるんです。それだけで。
「俺はここで歌わせてもらってるんだな」と思うし、「これだけ音楽が好きで、バンドが好きでやっている人たちが選んだヴォーカルだから」って思うと、結構自信になるんです。それだけで。
それに対等になるためには、ただそこでいい演奏していい歌を歌って、というだけではないんですよね、たぶん。自分のものにして、自分の思う通りにしゃべって、自分たちのセンスで、自分たちのことを信じて、それを全面に発信していくことが、それが自分の役割っていうか。そういうのは10年でより強くなりましたね。
武道館が楽しみですね。今までインタビューのたびにお客さんに対する想いを訊いてきましたけど、今日の話を聞くとその感覚も少し変わったのかなっていう気がします。
確かに変わりましたね。居てくれるから安心するとかでもないし、お客さんのためだけに歌うとかでもないんだけど、いちばん最近しっくりきている感覚は「同じ音楽を好き」ということ。
俺らも自分のバンドの音楽が好きだし、それがかっこいいと思ってやっていて。その同じ感性を持った人たちが武道館に集まってくるわけで。それってすごく不思議で、“仲間”っていうか、そういう感じなんですよね。
僕はやっぱりいいことを言って泣かせたいわけじゃないし、説法みたいなことを言うつもりもないし。かといって、ライブはすげぇおちゃらけているわけでもない。やっぱり1曲目始まって2曲目に入る時の高揚感とか…俺、お客さんより興奮してるんじゃないかなって思うんです(笑)。そういうものの共有なんですよ。だからお客さんは不思議な“仲間”という感じかな。
昨日リハで何曲か通しでやっていて、2~3曲終わった時点で泣きそうになってたもんね。「うわ~! テンション上がるわ!」って(笑)。それで歌モノを歌ったら「あ、これ歌えない…」みたいな。泣きそうになっちゃって(笑)。
アハハハハハハ(笑)。
Nothing’s Carved In Stone 10th Anniversary Live at BUDOKAN
2018/10/07(日)日本武道館
https://www.ncis.jp/
たっきゅんのキングコングニーオリジナルTシャツ(UMBRO製)
「企画第2弾:ザ・サバイバル! チャリで樹海まで行って野宿!」の動画Youtubeで公開中!!
当連載へのメッセージや感想はyamanaka@hirax.co.jpまで!!