日本を代表するシューゲイザーバンド、cruyff in the bedroomが毎月最終日曜に開催している
シューゲイザー特化イベント「Total Feedback」が10周年を迎え、10年ぶりとなるコンパイルアルバム第2弾をリリースします。当スタジオもcruyff in the bedoroomの楽曲レコーディング、ミックスと、参加12バンド全曲のマスタリングを担当させていただきました。12バンド中4組が海外勢ということも大変話題になっています。
イベント主催者であるcruyff~のハタ ユウスケ氏をはじめ、参加バンド4組よりメンバーなど5名、進行役にdisk unionの小野氏を迎えたJUNGLE LIFE SPECIAL TALK SESSIONに、私 樫村も参加させていただきました。この対談の模様はJUNGLE LIFE本誌250号P22・23とJUNGLE LIFE WEB 9月更新分に掲載されています。ぜひご一読ください。
「Total Feedback 2018」2018/10/10 Release
Only Feedback Record JCSS14-19 ¥1,500+税
参加バンド紹介およびライブ情報は公式youtubeチャンネルをご覧ください。
【大学生バンドのセルフREC】
セルフRECも終盤に差し掛かっているが、MIXにはまだ1曲も手を付けていない。全6曲中2曲は全てのパートを録り終わっているので、今回は【4つ打ちダンスロック】をとりあえずMIXしてみようということに。
MIXにおける重要なポイントは「完成形がある程度、頭の中で描けているか」。
ゆえに一連のRECでは、常に完成形を想定して録音してきた。
【4つ打ちダンスロック】のMIX完成予想図
また、どういうシステムでMIXをするべきかを考える。通常ならPCとインターフェースだけで完結するところを、下記のようなセッティングで進めることにした。
数あるトラックをある程度グループ分けして束ねることを「ステムミックス」と言うが、今回が8系統に分け、オーディオインターフェースのパラアウトからアナログミキサーに出力。いわゆる「サミングミキサー」的にアナログミキサーを活用する。これによりPC内部でのMIXでは実現しにくい、ファットでリッチな質感が演出しやすくなる。
裏面
次にアナログミキサーのステレオアウトを、Finalizer96kまたはDBX Quantum、ForcusriteのMIXマスター系のマルチバンドコンプなどのアウトボードに通し、音圧を少々稼ぎつつリミッター的に使用しピークを抑える。
マルチバンドコンプ
その信号をマスターレコーダーなどに入力し、アウトプットの音を聴きながらMIXをすると、バウンス時における音の変化を極力抑えることが出来る。
また、スピーカーも専用スタンドやインシュレーターを使用し、しっかりと音像が見えるよう努力することを忘れてはならない。
これらを実行するには予算、スキル、根気、センスなどの全てが必要になるのだが、やっただけの価値が充分にある。
【今月のちょいレア】 MACKIE DESIGNS CR-1604
【今月のMV】 S.H.E(Struggle-Head,Emergence)「hiria」
トリプルギターをフィーチャーした、女性Vo.オルタナ・エモロックバンド。マニアックだがノーマルすぎない落としどころが印象に残る。年内に2年ぶりとなる新作を発売予定。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!
V.A 「Total Feedback 2018」
シューゲイザーバンドcruyff in the bedroomがオーガナイズする、アジア4か国のハイエンドシューゲイザーコンピの決定盤。濃密な内容にネクストステージのあらゆる可能性を感じる。2018年10月、日本およびアジア圏で発売。
Jam en drop 「MONSTER」
80~90年代のアメリカンハードロックを基調とした、女性Vo.ロックバンドのシングル。常に攻めているSAXの存在が、バンドサウンドに絶妙にマッチして素晴らしい。ワン&オンリーな世界観が、着実に構築されつつある。
LITTLE RED PUZZLE 「TREBLY」
15年のキャリアを誇る、ベテランR&Rバンドのミニアルバム。Vo.YUのハスキーな歌声に磨きがかかって、更に全方位に存在感を増している。大御所バンドとの対バン経験の多さにも目を引かれる。
Beadroads 「SUNSHINE」
70年代アメリカンポップスに現代のフィルターを通すことにより、モダンJ-POPなるジャンルを確立させた活動歴20年Beadroads。シュガーベイブの進化形とも解釈できる意欲作。良質なポップスを求める人に特におすすめ。
Boyish 「めざめ」
90年代ソフトオルタナティブを通過した、はっぴいえんど系ポップグループのアルバム。バックグラウンドの広さと深さが自然とにじみ出てくる、等身大のマスターピース作品。2018年10月全国発売。