音楽メディア・フリーマガジン

25市(ニーゴーイチ)〜25日の革命〜

強烈な個性を放つ6組の競演で25日の革命が幕を開けた。

“25市(ニーゴーイチ)〜25日の革命〜”
2018/6/25(月) 下北沢CLUB251

Act:The Doggy Paddle / がらくたロボット / ANFILMS / alca / フラスコテーション / SEENA SHEEP SKIN

今秋で25周年を迎える下北沢CLUB251がアニバーサリーイベントの一環として、ニューカマーを中心としたショウケースイベント“25市(ニーゴーイチ)〜25日の革命〜”を6月から開催。その記念すべき第1回が、6/25に開催された。

 

SEENA SHEEP SKIN

ピアノとストリングスの壮大なSEに乗ってトップバッターのステージに立ったのは、SEENA SHEEP SKIN。“私はアコギ1本で全力で歌っていきます”と宣言した通り、感傷的でありながらも前向きなメッセージを、バンドサウンドに勝るとも劣らない力強さで歌い上げていく。MVにもなっている「巡りの月」では静かに始まりつつ、後半はハウリングからファズを踏みっぱなしでノイズを放ち、劇的な変化と表現力で圧倒した。

 

 

フラスコテーション

続いて登場したのは神戸発3ピースバンド、フラスコテーションだ。ポエトリーリーディング的な始まりの「vivid」から、いきなりその唯一無二の世界観でフロアを制圧した。華奢な身体からは想像できないVo./G.佐藤摩実のスケール感の大きな歌と、ダイナミックなギターロック。透明感溢れる歌声に潜ませた狂気や苦悩が見え隠れする楽曲と、自分たちのやりたいことを明確に提示するような演奏にバンドの芯の強さを感じずにはいられない。

 

 

alca

女子メインの2組を経て、3番手で音を奏でたのは千葉・都内を中心に活動中のオルタナティブロックバンド、alca。ここから一挙に男たちが、それぞれの生き様を叩きつけていく。エモやUSインディーの匂いを漂わせるサウンドに乗せ、優しくも刹那的な歌詞を歌い上げるVo./G.がちゃ。ぎこちないながらも懸命に話すMCも人間味が感じられ、オーディエンスとの距離感を詰める。“次はどんな曲がくるんだろう”とワクワクさせるライブで魅了していった。

 

 

ANFILMS

ショートチューンの1曲目でガッチリとフロアの心を掴んだのは、ANFILMSだ。ラウドロック的なルーツを感じさせるサウンドではあるが、伸びのあるハイトーン・ボイスを聴かせるアレンジにバンドとしてのセンスを感じる。全体的に英詞が多い中、ライブ中盤では日本語詞のストレートなチューンも披露して、音楽的に深い一面も垣間見せた。MCの言葉数は少なくとも、楽曲が持つ説得力によって最初から最後まで観客たちを引き込んだ。

 

 

がらくたロボット

神戸からやってきた、がらくたロボットは個性的な出演者揃いの本イベントでも異色の存在感を放つ。今時珍しい、本気で世間に上等をかましているようなガレージ/ロックンロールバンドだ。1曲1曲奏でる度に、“ロックはこうじゃなきゃ”と思い起こさせてくれる。つい口ずさみたくなるメロディセンスに、観る者を知らないうちに巻き込むカリスマ性。多くを語るよりも“黙ってライブを観ろ!”と言いたくなる。久しぶりに、こういうバンドに出会えて嬉しい。

 

 

The Doggy Paddle

トリを務めたのは、The Doggy Paddle。“透明感のあるしゃがれ声”という、矛盾したような形容が相応しいVo./G.恵守佑太の歌がまず印象的だ。MCも含めて言葉が1つ1つ、すっと身体に浸透してくる。ノリの良い楽曲で踊らせながらも、しっかりと聴かせるべきところは聴かせるという絶妙なバランス感覚を持ったロックンロールバンドは貴重な存在と言えるだろう。全身全霊の熱演で、CLUB251の25周年を祝う祝祭にクライマックスをもたらした。

Text:有馬ゴウジュン
Photo:千佳 / 葛西かなみ

 

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj