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【ライブレポート掲載】神戸在住の若き3ピースガレージロックバンド、がらくたロボットが新宿レッドクロスに初登場。

 2012年に神戸で結成。横並びの同世代バンドとは一線を画するアプローチで一部のマニアの間では話題になりつつある神戸在住の若き3ピースガレージロックバンド、がらくたロボットが2018年5月17日、新宿レッドクロスにてライブを敢行。その模様を急遽レポート掲載する。
 以下ライブレポート(Text:DONUT秋元美乃)。
 

 
 5月17日、新宿レッドクロスがおくるイベント“TOP GEAR SHOW!!”に3ピースのガレージロックバンド、がらくたロボットが出演した。神戸在住の彼らは、レッドクロスでライブを行うのは今回が初。会場がもつヴィンテージな雰囲気もこだわりの機材も、よく似合うだろうなあと想像していたが、彼ら自身もこのステージに立つことは念願だったそうだ。
 がらくたロボットはこの日、3番手に登場。学ランを自ら改造したお馴染みの衣装を着たヤマモトダイジロウ(Vo./G.)、タイトなスーツに身を包んだムラカミフウタ(Ba./Cho.)、イノウエタカヒロ(Dr./Cho.)がステージへ。すぐさまヤマモトはウィルコ・ジョンソンのごとくマシンガンのように抱えたギターでフロアを数発狙い撃ち。彼が焦点をあてたのはこちらの固定観念か、それとも痕跡を残す予告か。「オーライ新宿レッドクロス! 俺らが神戸から来たがらくたロボットや!」。ヤマモトの威勢のいい一声でライブはスタート。
 1曲目は「産叫」。4月にリリースした1stフルアルバム『ツキノアリカ』の冒頭を飾るナンバーだ。ヤマモトが実際に誕生したときの産声が収録されたこのナンバーは、がらくたロボットというバンドが産まれるために叫んでいる、言わば始まりの曲。ほぼ単語で綴られた7行のリリックとシンプルなコード。潔さと壮大さが相俟って、ライブでは音源以上の説得力をもって響いてきた。堂々の幕開けだ。
 一転、骨太なリフでヘヴィなグルーヴを生む「Heartful Murder」、ハードポップな構成でフロアを揺らす「Runaway」と間髪いれずにステージは進む。彼らの楽曲はどのナンバーも突き抜けた衝動があふれているが、ベースラインからもギターのリフからもドラムのビートからも、音に向かう意志を強く感じる。だから、単なる疾走感で終わらないというか、3人のバンド・アンサンブル自体がこのバンドを雄弁に語っているというか。
 融合したりぶつかったり、一時もそこに留まっていない臨場感。それが色濃く浮き出たのが4曲目に披露された「My way」。イノウエの跳ねるイントロからどんどんテンポが早まっていき、次第に思わず目を見張るほどの超高速「My way」に。途中でリズムを整えることも可能だったと思うが、ヤマモトもムラカミもそうはせず、イノウエが叩き出す高速ビートに乗っかった。むしろ「お? そうきたか」と楽しむくらいの勢いで。このパターンで曲が台無しにならないのは、メンバーそれぞれの柔軟な技量と信頼があってこそ。高速テンポに乗ってヤマモトが“Sing my way”とうたう。これががらくたロボットのやり方だ。実に痛快だった。
 

 
 その後は、フレッシュなメロディでドラマチックな世界を浮かべた「Oh yeah」、爆音の中に葛藤を放った「Strawberry Dreamers」と続く。ベースから延びたカールコードを生き物のように伸縮させながら、しなやかな体でラインを刻むムラカミ。ソリッドかつ情緒豊かなビートでトライアングルを結ぶイノウエ。ギターをかき鳴らし、激しくもロマンチックな両極を行き来するヤマモト。この3人のエモーションが重なり合った瞬間に生まれるエネルギーが凄まじい。がらくたロボットのライブの醍醐味はここにある。
 「ロックはいつだって自由なもんだぜ。ツキノアリカを探しに行こう」というヤマモトの言葉に導かれ、ラストは新作のテーマにもなっている「ツキノアリカ」を。ステージ上でひときわダイナミックに展開していくこの曲が、風を吹かせるようにフロアの景色を変えていくのを感じた。気づけば、演奏された7曲はすべて、ニューアルバムからの楽曲のみで組まれたセットリストとなっていた。
 ザ・フーを聴いて音楽に目覚めたヤマモトが結成したこのバンドのルーツは、パンクロック/ブリティッシュビートにある。そして、現在21歳の彼は、抜群のソングライティングの才もあって見事に温故知新を遂げた楽曲を作り出している。それができているのは、この3人で生まれる音を大切にしているからなのだと、今日のライブを見て改めて思った。
 自分たちの物語を紡ぐことでロックンロールが鳴っている。がらくたロボット、初の新宿レッドクロスでのライブは、そんなロマンを見せつけた一夜だった。
 
 がらくたロボットは5/27に京都“いつまでも世界は”、6/3に名古屋“SAKAE SP-RING 2018”など各地のサーキットフェスへの出演も決定。6/12には心斎橋Live House Pangeaでレコ発イベント“Shout To Born〜ツキノアリカ 発売GIG〜”の開催も控えている。ぜひ彼らが鳴らす2010年代のリアルロックンロールを現場で体感して欲しい。
 
 
■『ツキノアリカ』インタビューはこちら→【URL】
 
 
■2018/5/17@新宿レッドクロス  セットリスト
M1. 産叫
M2. Heartful Murder
M3. Runaway
M4. My Way
M5. Oh Yeah
M6. Strawberry Dreamers
M7. ツキノアリカ
 
 
■ライブ情報
がらくたロボット“Shout To Born〜ツキノアリカ 発売GIG〜”
Supported by JUNGLE☆LIFE & Pangea

2018/6/12(火) 大阪・心斎橋Live House Pangea
 
Event Info.
2018/5/27(日) 京都“いつまでも世界は”(※サーキットイベント)
2018/6/03(日) 愛知・名古屋“SAKAE SP-RING 2018”
2018/6/25(月) 東京・下北沢CLUB251
 
 
■WEB
Official Site
 
 

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