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ChouCho

新たな扉を開きながら進んでいく彼女の“今”を捉えたニューアルバム

ジャンルを問わないナチュラルで艶のある歌声が評価され、これまで数多くのアニメ主題歌を担当し、高い人気と支持を得てきたChouCho(ちょうちょ)。海外のアニメイベント出演やハイレゾ配信など今後も幅広い音楽シーンでの活躍が期待される彼女が、3rdアルバム『color of time』をリリースした。タイアップ曲を満載しつつ、自身の作詞作曲による楽曲を多数収録しているところも今作の大きな聴きどころと言えるだろう。アーティストとしての進化を続けるChouChoの魅力に迫る、JUNGLE LIFE初インタビュー!

 

「“もっと深く自分のことを探っていったら、色んな曲が作れるかもしれない”と思えたし、自分の可能性に期待したいなっていう気持ちがあるんですよね」

●ご出身は大阪なんですよね?

ChouCho:生まれは大阪なんですけど、そこから父の転勤で色々なところを転々としていて。でも大阪が大好きなので、大学は大阪の学校を受験したんです。

●アーティスト写真を見る限りでは、あまり大阪っぽくないなと勝手に思っていました(笑)。

ChouCho:何ですか、それ(笑)。でも大阪だと言うと、「意外だね」とは言われます。引っ越しが多かったので、それぞれの土地に馴染めるように合わせたりもしていたからなのかな。学校ではその地域の言葉に合わせたりもしていたんですけど、お母さんは大阪出身なので、家に帰ったら関西弁で話していました。

●ちなみにその当時は、どんな子どもだったんですか?

ChouCho:小学生になったばかりの頃はすごく積極的で、前に出るほうだったんですよ。でも小学校の途中で転校した時に“あまり出しゃばると良くないな”と思って、急にそこから前に出ない子になりました。そうしているうちに自然とリーダー的な役割にも興味がなくなってきて、性格もどんどん変わっていったというか。

●転校が多かった幼少期の経験が、性格にも反映されているんですね。

ChouCho:友だちと仲良くなっても(転校によって)離れてしまったりというのは、普通はあまり経験しないことじゃないですか。やっぱり仲の良い友だちと離れ離れになってしまう経験って自分の中ではすごく大きなことだったので、そういう時の感情が曲の中に現れたりもしますね。

●ライブを拝見した時に、すごくクールな印象に見えたんです。アニソンのライブって、もっと動きが激しいイメージを個人的に持っていたんですが。

ChouCho:そこは性格も出ちゃっているのかな。(自分の中では)テンションが上がっているのに、低いように見られることが多いんですよね。テンションが上がっているのに、「行くぞー!」とは言えないというか。「かかってこれんのか!?」とか、絶対に言えない(笑)。

●ChouChoさんがそれを言ったら、面白いですけどね(笑)。

ChouCho:楽曲自体は幅広いですし、曲ごとにお客さんは「あのアニメの曲キタ!」っていう感じで盛り上がってくれたりもして。よく見たら、私も表情に違いがあったりするんですよ。だから、よく見てみて下さい(笑)。

●ハハハ(笑)。ライブでは、どんなことを意識しているんでしょうか?

ChouCho:ライブはわりと同じメンバーでずっとやっているので、バンド感をすごく重視していて。その時にしか出せないものを大切にしています。

●バンド感やライブ感を大事にしていると。

ChouCho:そうですね。昔からバンドをやっていたこともあって。デビューする前にニコニコ動画で活動していたんですけど、その前はアニソンのコピーバンドを大阪でやっていたんです。

●アニソンのコピーバンドをやっていたんですね。

ChouCho:コピーバンドの前から、バンドはやっていて。元々はビートルズがすごく好きだったんです。

●そこからアニソンに興味を持つようになった理由とは?

ChouCho:コピーバンド時代に最初にやったのが、Zガンダムの「Z・刻をこえて」(鮎川麻弥)だったんです。その曲を当時のメンバーがすごく好きで、バンドでコピーすることになって。元々はJ-POPや洋楽を聴いていたので、そういうものとは全然違う曲にそこで初めて出会ったというか。“アニソンって、すごく面白いな”と気付いたんですよね。

●「Z・刻をこえて」がキッカケでアニソンにハマっていった。

ChouCho:それで色んな曲を聴いていく中で“アニソンってノージャンルなんだ”ということに気付いてから、さらにのめり込みました。元々見てはいたんですけど、アニソンに興味を持ってからアニメを見ることも多くなりましたね。楽曲が良いと、アニメの内容も気になってくるんですよ。

●ノージャンルというお話もありましたが、アニソンの幅広さに惹かれた感じでしょうか?

ChouCho:ジャンルがいっぱいあって、J-POPよりも多彩に感じたんですよね。ジャズっぽい曲やブルースっぽい曲もあれば、いわゆる“アニソン”っていう感じの電波っぽい曲もあったりして。あと、歌ってみるとアニソンってすごく難しいんですよ。でもそれが歌えるようになると、すごく楽しいんです。難しいからこそ楽しくて、歌いこなしたくて練習するみたいな感じですね。

●ChouChoさんの歌声はナチュラルでクセが強すぎないので、色んなジャンルの曲にも対応できるのかなと思います。

ChouCho:クセがないぶん、色んな楽曲に合わせて歌えるところが私の声の特徴だと思っていて。だから幅広いジャンルの曲に対応して、声を変化させたりしながら表現できているんじゃないかなと思います。

●曲ごとに声を変化させながら、歌っている。

ChouCho:特にアニメの主題歌は、作品ごとにすごく個性があるんですよ。でも(自分の声なら)全然違う個性のアニメを担当したとしても、作品に寄せていけると思っていて。そこが自分の強みというか、武器だと思います。

●今回の3rdアルバム『color of time』に収録されている楽曲も、すごくバラエティ豊かですよね。

ChouCho:今回はアニメ主題歌も色々と収録している中に、自分のオリジナル曲も入っているという構成なんです。アニメ主題歌はアップテンポで前向きな明るい曲が多いので、それとは違う部分をオリジナル曲では出したいなと思って。だから普段は出せない部分を出したり、ミドルテンポでエモーショナルな曲を入れたりもしました。

●ご自身で作曲したものも、今回はとても多いわけですが。

ChouCho:今回のアルバムが初ですね。今までのアルバムでも作詞はしていたんですけど、作詞作曲は表題曲だけで、他は提供して頂いていたんですよ。だから今回の『color of time』で初めて、たくさん曲を書きました。

●表題曲のM-1「color of time」でも“宇宙から見下ろしたら 地球さえ無数の星の一つで”というフレーズがありますが、宇宙的なスケールの大きな世界観があるように感じました。

ChouCho:今までに関わってきたアニメ作品で『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』や『翠星のガルガンティア』には宇宙が出てくるので、そういうものに影響を受けているのかもしれないです。短い期間なんですけど、留学をしたこともあって。そういった経験もあるので、歌詞についてスケールを大きくしたいなと思っているところはありますね。あと、私は夜型なので、夜明けとかも好きなんですよ。

●夜型なんですね。

ChouCho:そうなんです。作詞をしていて、夜が明けちゃうこともよくあります。

●歌詞を書くのは夜が多い?

ChouCho:夜中が多いですね。曲をひたすら聴いたり、景色を見たりしながら書いていく感じで。M-6「セフィロトの木」は、目を閉じて曲を聴いていた時に自分が森の中にぽつんといるような映像が頭に浮かんだんです。そこから“自然”や“地球”について書きたいと思いました。

●メッセージ性を感じる曲だなと思いました。伝えたいことを曲の中に込めたりもしているんでしょうか?

ChouCho:そうですね。このアルバム全体を通してのことなんですけど、“今という瞬間を大事にして生きたい”という想いを込めていて。表題曲では特にそれをダイレクトに歌っています。

●“今”という言葉が象徴的に使われている曲ですよね。

ChouCho:私が歌って、それを聴いてくれる人たちがいるっていうのはものすごく特別なことじゃないですか。たとえ歌えないとしても、元気に毎日生活できていること自体が当たり前のことじゃないなと思っていて。だから、瞬間瞬間を大事にしたいと感じているんです。

●自分が生きていることを当たり前ではないと、日頃から意識できている人は少ないと思います。

ChouCho:そうなんですよ。私は去年少しだけ入院したんですけど、そこでそのことにすごく気付かされて。それが今回のアルバムのテーマにもつながりました。

●実際に入院を体験したことで、“今という瞬間を大事にして生きたい”という想いが強くなった?

ChouCho:元々あった気持ちだとは思うんですけど、やっぱり普通に生活していたら忘れがちというか。デビューしてから5年以上も経って、ステージに立つことにもだんだん慣れてきて。でも(入院によって一時的に)それができなくなったから、より強く思うようになったんだと思います。

●元々はニコニコ動画に“歌ってみた”動画を投稿するような活動をしていたところからデビューが決まったわけですが、いつの間にか大きなステージに立つことに慣れてきてしまっていた。

ChouCho:ニコニコ動画に投稿し始めた頃は、“もう自分にはプロは無理かな”と思っていたんですよ。“趣味で音楽を楽しもう”くらいに考えていたんですけど、視聴者の方からのコメントを見ていたら、褒めてくれる人もいたりもして。そこからカナダに留学して視野が広がった時に、“まだ可能性があるのに自分はなぜ諦めているんだろう?”と思うようになったんです。

●留学したことで視野も広がって、考え方も変わったんですね。

ChouCho:その留学中に“やっぱりプロになりたい”と思って。日本に帰ってきてすぐに上京して、1年くらいで(デビューの)連絡を頂いた感じです。そんなに早く連絡を頂けるなんて思っていなかったので、最初はビックリしましたけどね。

●そこからデビューを果たして今まで活躍されてきたわけですが、現在の活動は充実している?

ChouCho:ツアーを重ねる度に、自分の成長を実感できていて。ライブをやればやるほど表現の幅も広がるし、聴いてくれる人たちによりダイレクトに届けられるようにもなっているというところでの達成感はありますね。これから今作のツアーも始まるので、1公演ごとに成長していけるんじゃないかと思っています。

●ステージでの表現もどんどん進化していっているんですね。

ChouCho:ステージに関しては毎回、100点満点とは思っていないんです。“もっとこうしたい”という想いが毎回あって。そういうところでも、どんどん成長していきたいなと思っています。

●今回のアルバム『color of time』に関しても、今まで以上のものになった感覚があるのでは?

ChouCho:今回のアルバムにはアニメ主題歌以外にも、自分で作詞作曲した曲がたくさん入っていて。私の中にある新しい扉がどんどん開いていくような感覚があったし、今まで以上に自信を持ってお届けできる色とりどりな楽曲が完成しました。アニメファンだけじゃなく、音楽好きの方にも楽しんでもらえるように1音1音こだわって作っているので、ぜひ手に取って聴いて欲しいですね。

●今作を作る中で、自分の中にある新しい扉が開いていくような感覚があったんですね。

ChouCho:今回初めて半分以上の楽曲を作詞作曲したんですけど、自分の中にこんなに“作りたい”っていう欲求があることに今まで気付いていなかったんですよ。実際に作り始めてみたら、曲もどんどん書けて。歌詞は苦戦した部分もあるんですけど最終的に完成させることができて、すごく自信になりました。“もっと深く自分のことを探っていったら、色んな曲が作れるかもしれない”と思えたし、自分の可能性に期待したいなっていう気持ちがあるんですよね。だから、これからは自分をもっと探っていきながら、メッセージを届けられたらと思っています。

Interview:PJ
Edit:平井駿也 / IMAI

 

 
 
 
 

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