朝型か夜型かと聞かれたら、私は完全なる夜型人間である。毎日の楽しみは深夜ラジオを聞きながら酒をちびちび飲むこと、そんな私がこの度リリースするCDのタイトル曲が、「朝」なのである。一体これはどういう風の吹き回しなのか。
この曲は、朝のニュース番組のテーマソングとして書き下ろした。お話をいただいた時、すぐに「やります!」と言ったものの、いざ歌詞を書くとなると、朝の景色がまったく思い浮かばないことに気付いた。それもそのはず、私は普段、二度寝三度寝を繰り返し、昼過ぎにようやくノロノロと動き出す、ろくに朝日を浴びない生活をしてきたのである。
これはいかんと思った私は、なるべく7時に起きて散歩をしてみることにした。するとどうだろう、寝ぼけ眼に映る見慣れた景色の、まあ美しいこと。根拠もなく、今日は良い日に違いない、と思えた。
そりゃ、ちょっと朝日を浴びたからと言って、あらゆる「めんどくさい」ことをすっかりリセットできるわけではない。しかし、朝が来たというだけで、そこに朝があるというだけで、「なんとかなる」気がしたのだ。「朝」には、そんな不思議な力が確かにある。そして、このCDにも、きっと。
関取 花