2016年11月、セルフタイトルを冠した1stアルバムのリリースに合わせて初のワンマンライヴを行い、活動をスタートさせたReFrain ReFrain。共に上京しながらも一度は袂を分かち、7年ぶりに再会を果たした2人はそこからまた新たな目標に向かって歩み始めた。そんな彼らが約10ヶ月のインターバルを経て、新作ミニアルバム『Breezing』をリリースする。等身大の自分たちを表現した前作では幅広いサウンドと大いなる可能性を見せつけたが、新作のテーマは“夏”そして“夢”となっている。タイトル通り“そよ風”のように優しくリスナーの背中を押してくれる、ポジティヴかつ2人の人間性を投影した作品だ。決して止むことなく吹きつける追い風に乗って、現在進行形の進化を続けるReFrain ReFrainの真摯な想いに迫る、10,000字スペシャル・ロングインタヴュー。
「“ヴォーカリスト”になった感じはします。手探りな状態だった前回と比べると、迷いなく歌っているなと思いながら僕は聴いていましたね」(吉田 啓一)
●前作の1stアルバム『ReFrain ReFrain』から約10ヶ月ぶりの新作リリースになりますが、制作する上での変化もあったんでしょうか?
啓一:今回も前作と同じく岸(利至)さんをプロデューサーに迎えたんですけど、関わり方が変わって。前回は岸さんから頂いたアドバイスを吸収して作品に反映していたところから、今回は頂いたアドバイスを吸収した上で自分たちなりに変化させたものを投げ返して…というやり取りが何度かあったんです。そこが前回とは大きく違うところかなと思います。
●プロデューサーの方との関わり方に変化があった。
禎:前回はアレンジに関しても岸さんのアドバイスを基にしていたんですが、今回からは僕のほうで基本的にフィックスさせてもらっていて。たとえばドラムのフィルみたいな細かい部分まで自分の中でいったん完成させてから、「どうですか?」と訊くようにしたんです。だから今回はサウンド・プロデュースを岸さんにお願いして、楽曲面に関してはほぼ自分でやらせてもらった感じですね。それによって今回は自分たちの色と音を活かして、よりReFrain ReFrainらしさを出せたかなと思います。
●前作を作ったことで、自分たちのやりたいことがより明確になった部分もあるのでは?
禎:前作を経て、“もっとこれが表現できた”とか“もっとこういう表現がしたい”というものが出てきたんです。前回はまず“作品”として作り上げるというところが一番大きかったんですけど、今回は“このCDを聴いてライヴに来た人にどういうふうに感じてもらえるか?”とか“どういうふうに共有できるか?“というところを意識した上で作っていきました。
●そこは前作リリース後にライヴを重ねてきた経験も大きいんじゃないですか?
禎:すごく大きいですね。オーディエンスと一体になれる曲と、じっと聴き入るような曲が両方あるというのが、ReFrain ReFrainの良さだと思っていて。今回は僕らが前面に出したいメロディーをメインにしつつ、さらにアグレッシヴで共有できるようなビートの曲を絶対に作りたいと思っていました。
●今まで以上にオーディエンスと共有できるような曲を作ろうと意識したんですね。
禎:ライヴをしていく中で、自分たちから一方的に伝えていくんじゃなくて、みんなの声や楽しんでいる顔をもっと感じたいと思って。それが音だけではなく、歌詞やアレンジにもたくさん反映されていますね。初めて僕らのライヴを観る人でも身体が勝手に動いてしまうようなわかりやすさとすぐにノれる感じを意識したので、イベントで他のバンドを観に来たお客さんにも楽しんでもらえるんじゃないかなと思っています。
●ワンマンだけではなく、イベントで対バンのライヴを観たことも大きかった?
禎:対バンのライヴを観ることで“こんなやり方があったのか!”と勉強させてもらうことが多くて、すごく刺激を受けましたね。だから今はそこで出会った人たちに感謝しつつ、新しいReFrain ReFrainとして進めているなという実感があります。
●そういう意味では、今作はライヴ感が楽曲制作のキーになっている感じでしょうか?
啓一:そうですね。たとえば“フェスに出たら、どういう曲が盛り上がるんだろう?”と考えながら作ったりもして。今作の中でもM-1「loveless」は最初のほうにできた曲なんですけど、これまでにないくらいBPMが速いんですよ。この曲ができたことで、今作の完成図が見えた気がします。
●「loveless」が最初のほうにできたんですね。
啓一:今回、2曲目にできた曲です。M-6「一秒先のキミへ」が最初にできたんですけど、この曲は前作の延長線上にあるものだと感じていて。「loveless」以降は、新しいReFrain ReFrainを出せたかなと思っています。
禎:その次にM-2「夢花火」ができて、M-4「everything」、M-5「BLUE」と続いて、最後にM-3「We gonna go!!」ができた感じですね。
●つまり、どの曲も前作以降に作った新曲ということ?
禎:そこがReFrain ReFrainの変わっているところで(笑)。2人合わせたらストックが50曲近くあるのに、それを一切使っていないんですよ。
●それはなぜ?
禎:(ストックに関して)それはその時に書いた曲であって、今の自分たちの気持ちや等身大の想いを表現したいと思っちゃうんです。だから、ストックは1回全てナシにしてしまって。啓一は「えっ、本当に良いの!?」っていう感じでしたけどね(笑)。
啓一:曲のストックもたくさんあった中で、今の自分たちが出したい言葉と音をこの6曲の中に詰め込んだという感じです。
●“今の自分たち”を表現することを一番大事にしたと。
禎:たとえばスタッフの方が「良い」と言ってくれた曲でも、今のメンタルと出したい表現が合っていないと感じたら僕は外してしまうんです。“今の自分たちを伝えたい”という言葉に尽きますね。日々感じたことや思っていることをそのまま歌詞や曲にしているので、それぞれの曲のアレンジをフィックスさせないまま「こうしよう、ああしよう」とギリギリまで考えた結果、今の形になりました。
●そういう部分での悩みもあってか、今回のレコーディング中は悪夢にうなされるくらい大変だったそうですが…。
禎:色んなことを日々やらなきゃいけないので、どうしても何かに追われている感じにはなってしまって。どんどん自分の精神状態がキツくなってしまった結果、悪夢にうなされたりもしたんです。でもそれって自分が好きで、やりたくて始めたことだから、“なんて幸せなんだろうな”って改めて感じましたね。どんなに悪い夢を見ようが、辛い夜があろうが、ライヴや作品を聴いてもらえるというその一瞬が自分にとっては本当に幸せだなと思います。
●だから、辛いことも乗り越えられる。
禎:這いつくばってでも、夢を掴みにいきたいんです。何としてでもアルバムを完成させたいという気持ちが、今回は特に強かったですね。
●実際に苦労したことも多かったんですか?
禎:今回は喉の炎症を起こしてしまったり、突発性難聴で右耳が聴こえなくなってしまったりと、色々大変な状態でレコーディングに臨んだんです。それこそ声が出ない日もあって、ずっと不安な気持ちで歌入れしていましたね。
●歌に関しては今作を聴いて、禎くんのヴォーカリストとしての個性が確立されてきたように感じていたんですが。
禎:そういう状況だったので自分的には“余裕がない感じに聴こえてしまっているんじゃないか…?”と不安だったんですけど、そう言って頂けると嬉しいですね。“これが自分のオリジナリティなのかな?”というのは、未だに日々考えているところではあって。そんな中でヴォーカリストとして、今回は思うがままに歌ってみました。
啓一:“ヴォーカリスト”になった感じはします。手探りな状態だった前回と比べると、迷いなく歌っているなと思いながら僕は聴いていましたね。
●喉や耳の調子を崩したのは、精神的な原因でしょうか?
禎:ほぼ精神的なものが原因だと、お医者さんにも言われましたね。やっぱりミュージシャンとしては、スタッフの方も含めて“良い”と思ってもらえる作品を作り上げなきゃいけないという気持ちが強すぎて。作り始めた当初は、本当に思い通りにいかなかったんですよ。頭で鳴っている音をDTM上では全然上手く再現できなかったり、そういう部分での葛藤を繰り返していく中で次第にプレッシャーを感じるようになってしまったんです。
●自分の中でプレッシャーをかけてしまっていた。
禎:もちろん〆切もあるわけなので、そこに遅れそうな状況になると余裕がなくなってきて。それを誰かに打ち明けたりもしないまま、1ヶ月くらいはろくに寝ない生活をしていたんです。そしたらどんどん体力も落ちていって、色んな病気が重なってしまって…。精神的にも肉体的にも追いつめられた状態で歌ったんですけど、逆にそこで抱いた強い気持ちがちゃんと前に飛んでいったのかなと思います。
●追い詰められていたからこそ、逆に強い気持ちや感情を歌に乗せられたというか。
禎:前作の時なら「声が枯れちゃっているから、これはやめておこうか」と言っていたようなテイクも、今回は「でもこっちのほうが気持ちが伝わって良いよね」という理由でOKになったりもして。そういう意味では、“人間がちゃんと気持ちを持って歌っている”というものが今回は表現できているなと思います。
●人間らしいものが表現できていると。思い悩むのも、こだわりが強いからこそでは?
禎:今回ギターは啓一にお願いしているんですけど、ドラムやベースといった全体のアレンジは僕がやらせてもらったので、そこに関しては責任を持ってやり遂げるしかないなと思っていて。前回よりもっと幅広い層の人たちに聴いてもらうには、ドラムのビートやベースとギターとの絡みだったり、何から何まで詰めなきゃいけないところが多かったんです。
●考えるべきことが本当に多かった。
禎:僕は“何となくそういう進行になった”というのが大嫌いなんですよ。“なるべくしてなった”というか、10個も100個も試した上で“これしかないよね”という進行になることを目指していて。結果として回り道はしましたけど、自分のベストな状態をお届けできたかなと思います。
●啓一くんのギターに関しては、どうでしたか?
禎:音楽のことに関しては僕は1ミリも譲らない人なので、啓一に対してもズバズバ言っていて。今回のギターソロは「最後まで自分で考えて欲しい」と言って、プリプロの段階で50テイクくらいやり直しをしてもらったんです。
啓一:前回は「こうしたほうが良いんじゃないの?」とアドバイスをくれたりして、禎が考えたフレーズもいっぱい入っていたんですよ。でも今回は、ギターソロを全て自分に任せてもらっていて。本当に50回くらいデータをやり取りしている中で心が折れそうになった時もあったんですけど、結果的には納得できるソロが弾けたので良かったです。
●50回もやり直しをしたら、心も折れますよね…。
啓一:ギターに関して、ここまで追い詰められたのは初めてでした。“楽曲に対して、ギターはどうあるべきなのか?”ということをここまで考えたことはなくて。でもそのおかげで今作の曲をライヴでやる時も気持ち良くソロが弾けているし、ギタリストとして一皮剥けた状態でステージに立てているので、無駄ではなかったですね。
禎:今回、僕は演奏全体で曲や歌詞を表現したいなと思っていたので、ギターに関しては啓一に全部任せたくて。自分で弾く以上にカッコ良いものを表現して欲しいという想いもあって、今回はすごく厳しく言わせてもらったんです。
●そこで啓一くんに任せられるのは、信じているからこそでは?
禎:ギターソロも僕が弾くことで良いものを作れるという自信はもちろんあるんですけど、それをやってしまったら2人でやっている意味がなくなってしまうから。それだと啓一の個性やReFrain ReFrainの良さというものもなくなって、何も化学変化が起きないと思ったんです。音楽に関しては自分のジャッジに自信を持っているので、今回は“啓一に嫌われたとしても言い続けよう“と思っていて。その結果、本人が今「良かった」と言ってくれたのを聞いて、“間違っていなかったな”と改めて思えました。
●あえて厳しいジャッジをしたことで、啓一くんもギタリストとして進化することができたんでしょうね。
啓一:そうですね。今回は、自分のギタリスト像が見えたレコーディングでした。
禎:普通に考えたら50回も「はい、これダメ」と言われたら、心が折れますから。でもそれに耐えてくれたからこそ、ようやく個性が出せてきたのかなと思います。あとは、日々精進あるのみですね。
「自分だけじゃなくて、みんなと一緒にもう一度走り出したいんです。“君の夢も一緒に叶えに行こうよ”ということを歌っています」(中村 禎)
●歌詞に関しても、前作からの変化はあったんでしょうか?
啓一:基本的に、たたき台となるものは僕が出してきて。前回はそれをより良くするために禎が色々とスパイスを加えて完成させてくれていたんですけど、今回は本当に僕の書いた原型がなくなるくらい変えたりもしたというのが一番変わったところですね。
禎:自分の中では、テーマがあって。でも啓一自身にも伝えたいことがあるだろうから、それを受けた上で自分の世界観を全曲に渡って出させてもらった感じですね。前回と同様に対“君”ではあるんですけど、その中に込められたメッセージが違っていたりするんです。あと、情景を歌うものも今までにはなかったので、前作以上にバラエティーに富んでいるかなと思います。
●今回のテーマは、“夏”と“夢”だったそうですが。
啓一:“夢”に関しては、途中まで僕も知らなくて。
禎:実は2曲目にできた「loveless」の時に思い付いたんですよ。この曲では、音と言葉に関して“今までやっていないことをやろう”と思ってトライしたんです。“覚めない夢のように”という言い方もそうなんですけど、そこから“夢”というものを題材にして歌詞を書こうと思いました。
●「loveless」がキッカケで、“夢“をテーマにすることを思い付いたんですね。
啓一:その次に「夢花火」ができたので、そこは確信犯だったのかなと。“夢花火”というのも禎が持ってきたワードで、これも必然だったんだなと思います。
●“夏”はどこから浮かんだんですか?
禎:前作には色んな季節の歌が入っていたんですよ。でも今回はそこから1つに絞ろうとなった時に、夏に起きた出来事を書いてみようと思いました。
●今作で最初にできたという「一秒先のキミへ」も、曲調が夏らしく感じられました。
禎:音作りとしては、夏を意識しています。プリプロの段階では違うアレンジだったんですよ。でも疾走感があって爽やかな曲なので、これも含めて“そよ風感を出そう”ということでアレンジを変えました。
啓一:「一秒先のキミへ」はギターのアレンジも歌詞も、何度も変わった曲ですね。歌詞も何回書き直したことかっていう…。
●この歌詞は自分たちのことを歌っているのかなと思ったんですが。
禎:冒頭の“「変わりたいんだ」”という歌詞が、全てを物語っていますね。もっともっと前に進みたいし、自分が変われば周りの世界の全てが変わって見えるわけで。それって僕だけじゃなくて、日々生活をしている皆さんにも言えることだと思うんですよ。僕たちなりに“進化したよ”というのを、音でも見せたいなと思っていたんです。だから悩みながら、何回も変えていきました。
●“「自分らしさ」何を見てそんなことばかり言うの? 素直になりたいって心は泣いてるよ”という部分も、心の葛藤がすごく率直に表れている部分かなと。
禎:“自分”が本当はちゃんとあるのに、それを表に出せていない人が多いんじゃないかなと思ったんです。自分では一言も言っていないのに、“「これが良いね、あれが良いね」ってなぜ勝手に決めるの?”という想いがあって。それに対して「はい」と何となく言ってしまう人が多い中で、“1秒あれば変われるよ”というメッセージを対“君”というところに落とし込んで書いてみた感じですね。“自分を大切にして欲しい”という想いと、“変われるよ”という気持ちを強く込めています。
●この曲の歌詞にも“夢“という単語が出てきますが、ほぼ全ての曲に出てきますよね?
禎:夢に関しては色んな意見があって、「叶わないから夢なんだよ」と言う人もいれば、「一生追い続けるのが夢なんだよ」と言う人もいる。僕は自分の夢を叶えている途中だと思っているんですけど、その中でも“夢は残酷だな”とか“夢って怖いな”と思う瞬間があって。寝ている時に見る夢に関しても、すごく怖いものがあったりするじゃないですか。
●楽しい夢もあれば、悪夢を見ることもある。
禎:ただ全ての夢に対して言えるのは、一瞬だけ切り取ってしまえばすごく輝いていてきれいで、爆発的な力を持っているということだと思うんですよ。そういう力を持っている“夢”というものについて改めて考えてみるところから、歌詞や音を作ろうというのが今回のテーマで。だから歌詞でも色んな夢を表現しているし、“夢”が音作りの参考にもなっているくらいなんです。
●歌詞だけではなく、音でも“夢”を表現している?
禎:僕の中で“夢”は切なくてすごくきれいなイメージがあって、今作ではエフェクター1つをとってもそれが表現できていると思います。逆にそのイメージがなかったら、今回の音は1つもできていないなと思っていて。夢には残酷な部分があるからこそ、切なさも表現できているんです。“1つのワードから音が作れたり、何かを表現できるんだな”と初めて実感しました。
●切ない面もあるという意味では、“夏”も同じですよね。
禎:“夏”と言えば元気で明るいイメージがありますけど、終わってしまう淋しさや切なさもあって。今回は、その両方を伝えられたのかなと思います。アルバムタイトルに『Breezing』と“ing”をわざとつけたのは“今もこの先もずっと風は止まずに優しく吹き続けるよ”という意味なので、このアルバムが終わっても夏は終わりませんけどね。
●“そよ風”という意味のアルバムタイトルにもつながっている。
禎:風はどんな季節でも変わらずにずっと吹き続けるものなので、冬でも今作の曲を聴いて“こんな夏だったな…”というのを思い出して欲しいなと思います。
●「We gonna go!!」というタイトルも、夏を思わせるものかなと。
禎:今までの歌詞はどれも対“君”というところでまとめてきて、それはそれで素敵な世界観を表現できたかなと思っているんです。でもそれと同時に、その場にいてくれる“君”のことも歌いたいなと思って。“自分だけじゃなくて、みんなで夢を叶えようよ。みんなで行けば怖くないでしょ?”という想いを込めて、「We gonna go!!」というタイトルを付けました。
●“君の居場所はここ”というのは、ライヴのことですよね?
禎:今までは一方的な表現にしたくなくて、断定していなかったんですよね。でも“僕らはいつでもここでやっているから、聴きたくなったら来れば良い。君もここにおいでよ”ということをどうしても伝えたくて。そういう気持ちがこの曲にはそのまま入っているので、レコーディング中もライヴで早くやりたいとずっと思っていました。
●君の居場所である“ここ”をどんどん大きくしていきたいという想いもあるんじゃないですか?
禎:まさにその通りですね。「everything」にもつながってくるんですけど、“ここの思い出が増えたね。じゃあ、次はここだね”という感じなんですよ。どんどん“ここ”という場所をみんなで共有すると同時に、もっと増やして大きくしていきたいんです。
●それが“夢“でもあるわけですよね。
啓一:「We gonna go!!」は、“リトライ”という面もあると思うんです。夢は挫折したり、見失ったりするものだと思っていて。それも“一度きりの人生だから諦めずに、みんなで掴みに行こう”という想いが込もっていますね。
禎:自分だけじゃなくて、みんなと一緒にもう一度走り出したいんです。“君の夢も一緒に叶えに行こうよ”ということを歌っています。
●“みんなと一緒に”というところを今はすごく大事にしているのかなと感じます。
禎:前は“俺にはこういう夢があるから、よろしく!”で話が終わっちゃっていたと思うんですよ。でも今はたとえばTwitterでリスナーの方から“夢に向かって毎日頑張っています”というメッセージが届いたら“僕ももっと頑張ろう”となったりして、みんなの夢を共有した上で歌いたいと思っているんです。
●みんなの夢を共有して、それを音楽で表現していきたい。
禎:リスナーの方が何となく投げかけてくれた言葉だったり、ふとした時に送ってくれたメッセージって、僕にとってはすごく大きくて。その1つ1つを背負って心に入れた上で、音楽で表現したいなと思っているんです。いつも楽しいわけじゃないし、たまには悲しいことや切ないことも日々の中ではあるだろうから。それを受け取った上で“こんな過去があったけど、どうする? 未来に行こうよ!”と僕は言いたいですね。
●『Breezing』というタイトルにもつながりますが、何があっても止まらずに進み続けていくという意志は一貫していますよね。
禎:ライヴだったり今までの活動を経て思ったことでもあるんですけど、聴いてくれる人たちの明日や1秒先の未来を少しでも明るく前向きにさせられるように僕らは歌っているし、バンドとして音を伝えているんです。“今もこれからも前に進んでいくよ”という気持ちを1ワードで表現したかったので、この言葉を選んで。“前に前に!”という強さだけじゃなくて、優しさも感じられるというか。曲調や僕らの性格も含めて『Breezing』という言葉が一番似合うなと思って、タイトルに付けました。1人でも多くの人に聴いてもらいたいという想いが強いアルバムですね。
●自分たちの音楽を広めたいという想いが、今まで以上に強くなっている?
啓一:本当に2人で頑張って作った作品なので、たくさんの人に聴いてもらいたいんですよ。前作もそういう想いは強かったんですけど、今回はそれが強すぎて“どうしたら良いんだろう?”ということばかり考えていますね。ReFrain ReFrainというユニットをもっと広めていきたいです。
●今回のリリースツアーもその大事なステップになりますよね。
啓一:やっぱりライヴに来てもらったからには、“一体になりたい”ということを前回のツアーで強く感じて。
禎:ライヴに来て頂いた方からTwitterとかを通じて、ダイレクトに色んな気持ちを聴くこともできて。そこで自分たちはライヴに来てくれた人たちをもっともっと楽しませて、心を豊かにさせなきゃいけないと思ったんです。音楽は人の気持ちを動かせるものだと思うし、行き着くところまで行けば世界を変えて1つにする力すら持っているなということをツアーやライヴで感じたんですよね。自分たちの中に本当に強い気持ちが芽生えてきたので、そういう夢も新たに見つけられた。だから今回のツアーでは自分だけじゃなくて、みんなの夢や毎日頑張っていることを共有して、その上で音楽を一緒に楽しみたいなと思っています。
Interview:IMAI
Assistant:室井健吾