優れた音楽性とシーン最強のアンサンブルを武器に目覚ましい成長を遂げ、11/2にシングル『Adventures』、12/14にはアルバム『Existence』をリリースしたNothing's Carved In Stone。同バンドのVo./G.村松拓の“自らの故郷である千葉県八千代市に流れる新川を綺麗にしたい”という想いがきっかけとなってスタートした当連載『たっきゅんのNEW RIVER PROJECT』、2017年の幕開けとなる今回は、2016年に行ってきた活動を振り返り、今後の方向性を見定めた。
Vol.8:2017年の幕開けに2016年のNEW RIVER PROJECTを振り返る
おめでとうございます! 今回は2016年の『たっきゅんのNEW RIVER PROJECT』を振り返ってみようと思います。
この活動を始めたことが、僕にとってはすごく大きなことだったんです。これからずーっと長くやっていくことが見つかったなっていう感じ。バンドの他にもう1つ。
自分自身の個性というか、生き方みたいなものがわかってきたかなって。もともと僕が持っていたことだけど、別にこんなことは音楽に関係ないことだし、こうやって誰かに見てもらう必要もないんだけど、とりあえず現時点の成果としては、前回で数は少ないけれど賛同してくれる人ができて。僕自身が始めたことで、自分の生きていく道が見えてきたというか。だからすごくありがたいです。
前回ごみ拾いにご協力いただいた拓さんの親友・木村さんがおっしゃっていましたけど、2〜3年前から新川のごみ拾いを考えていたんですよね?
そう。2人で釣りに行ったんですよ。そしたらごみが今以上にあって、びっくりして。「これはひどいね」って2人で話をした覚えがあるんですけど、その後に“ここを綺麗にすることを人生の夢にしよう”と思って。それからずっとやる機会を伺っていたんです。
それまで、ごみ拾いとか地域貢献とか考えたことはあったんですか?
いや、そういう考えじゃなくて。僕は“汚いのヤダ”っていう考えがいつからか根本にあって。若いときはポイ捨てとか当たり前だったけど、いつの間にかそれが変わって落ちているごみを拾ったりしていたんです。別にそれを特別とも思っていなくて。
うん。別に大それたことをしようとは思ってなかったけど、やるとなったときは当然考えましたけどね。中途半端ではできないことだし。
2016年は、本当に数えるくらいしかごみ拾いに行けていないですけど、少しずつ進むべき方向が見えてきたっていう実感があって。この活動の2016年の目標は、自分が手の届く範囲で活動を続けてみて、そこで見えてきたものから目的や目標を見つけて少しずつ規模を広げていくっていうところだったんです。
だからまずは自分1人で始めてみるっていうのが絶対的な条件だったんです。何十回も来れなかったけど、それはまずできたし、新川の歴史を学んだりとか、荒川クリーンエイド・フォーラムでお話を聞いたりとか。ごみ拾いすることで新川を綺麗にしているおじさんにも出会ったし。そういう出会いがあって。2016年の目標としていたところは達成できたんじゃないかな。
この連載が始まった頃、いろんな話をしたじゃないですか。「この活動どうしていこう?」「どうやって規模を広げていけばいいか?」「人はなぜごみを捨てるのか?」みたいな。
不安がある中で“とにかく動いていくしかない”というノリで始まりましたけど、でも前回4人の賛同者に来ていただいて、彼らにNEW RIVER PROJECTの進むべき道を見せてもらったような感覚があったんです。
そうですよね。本当に素晴らしかった。ごみ拾いをやって刺激を受けて、自分の身に置き換えて考えてくれる人たちでした。たぶん僕の立場になっても考えてくれただろうし、ごみを捨ててしまっていた自分の立場でも考えてくれただろうし、自分の生活に戻ったときにどうするのかも考えてくれただろうし。もう本当に…素晴らしいと思います。
ごみ拾いが終わったあとにみなさんの話を聞いて、感動しましたもん。
あの日、解散した後で帰り際にトイレに行ったら阿部さんと一緒になったんですけど、「今日はありがとうございました。何かあったらまた誘ってもいいですか?」って言ったら「いやいや、当然だよ」って言ってくれて。
「ありがとうございます」って言ったら、「そうじゃなくて、僕から拓くんにお礼が言いたい」って。「今日みたいに誘われてここに来たことで、気づけたことが本当にいっぱいあった」って。「だから僕は本当に拓くんに感謝してる」って言ってくれたんです。
みんな実際そうなんだろうなって思ったんです。ひねくれている人や天邪鬼の人はいっぱいいると思うけど、要は気付いているけどできないことっていっぱいあるんでしょうね。阿部さんもおっしゃっていましたけど震災のこととか…やっぱり700km離れていたら行けないし、地球の裏側で大変なことがあっても簡単には行けない。もちろん1000kmが近い人もいるとは思うんだけど、その距離感って人によっては全然違うじゃないですか。
自分の身近にあるものだと思えることに気付いて、自分の力でなんとか変えていくっていうのは、すごく必然っていうか。でもそれもできない人が多くて、そのきっかけになることができるんだったら、すごく嬉しいし、僕のこの活動もその1つになれるのかなということを感じて。それはすごく意味がありますよね。そういうことを教えてもらいました。
それに、荒川クリーンエイド・フォーラムに行った後だったから、更に強くそういうことを実感できたような気がする。
そうなんですよ。だから荒川クリーンエイド・フォーラムに行ったこともすごく大きかったんです。素晴らしいよね。だから2017年はNPO法人の代表をやってくれる人を見つけないといけない(笑)。
前回、みんなにごみ拾いをしてもらったとき、僕はずっと土を掘っていたじゃないですか。
みんなには見えるごみを拾ってもらって、僕は土の中にあるごみを綺麗にしようと思っていたんです。でも実際のところ、みんなが袋20杯分くらいのごみを拾っている間に、テーブル4〜5個分くらいの面積しか綺麗にできなくて。だから地道に活動を続けることが必要なんですよね。
確かに土深くからフライパンが出てきたり、太いパイプが出てきたりして。あれどういうことなんでしょうね。
雨が降って増水したら河原まで水が来るから、土もシャッフルされるのかもしれない。
そういうことか。土手にごみを捨てるだけでは、あそこまで埋まらないですもんね。
先は長いですよ。だから荒川クリーンエイド・フォーラムで学んだことを真似して、少しずつやっていく必要があるよね。無駄なことを考えずに、あそこを目標にやっていくことが有益だと思う。
この活動は長い目で見ているから、10年とかじゃなくて、20〜30年くらいと考えてるから、無理せず地道にやっていければいいかな。
当連載へのメッセージや感想はyamanaka@hirax.co.jpまで!!
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