音楽メディア・フリーマガジン

Cold Retriever

より強くなった想いはバンドを大きく成長させた

photo_cold-retriever高知を拠点に活動し、メロディアスかつパワー感のあるサウンドと、日本語詞を中心に深く突き刺さる歌が魅力のCold Retriever。2015年2月に前作『Get your Gragment!!』をリリースし、初のツアーやたくさんの現場を経た彼らが、その中で培ってきた経験や生じた想いをギュッと詰め込んだ新作を完成させた。“みんなと一緒にライブで楽しみたい”という感情は更に強く、“この想いを伝えたい”という気持ちはより強く。ライブバンドとして駆け続けるCold Retrieverの進化は止まらない。

 

●前作『Get your Gragment!!』(2015年2月)のツアーの後、2015年9月に戸田さんが加入されましたね。

川村:はい。戸田はまだ大学生なんですが、もともと後輩のバンドでドラムを叩いていたんです。前のドラムが抜けることが決まって、タイミングが良かったというか。

津野:ちょうど戸田のバンドも解散することが決まっていて、そのときに声をかけたんです。

●前作のツアーは2015年3月〜4月にかけて20本くらいの規模だったと思いますが、「ライブをやるために作品を作った」と公言しているCold Retrieverにとっては、かなり貴重な経験だったんじゃないですか?

川村:そうですね。ツアー自体が初めての経験だったし、最初は不安もあったんですけど、一方で期待も大きかったんです。実際に各地にライブをしに行ってみると、自分たちの現実を目の当たりにしたというか、バンドを改めて見直す機会になったんです。

片岡:それに前回のツアーでは「嘘やろ?」って思うくらい仲良くなったバンドもできたんですよね。それが今にも繋がっていて。初めて行くから当たり前のことなんですけどお客さんが少ないときももちろんあって、反省する日もありましたけど、今に繋がっている部分も多くて。その両方があったからこそ“これから俺ら大丈夫だな”と思えたというか。

●戸田さんはいちばん年下らしいですが、Cold Retrieverに加入してみてどうですか?

戸田:実際に入ってみて感じるんですけど、お客さんとして観たときの印象とまったく同じなんです。バンドをやっていること自体が楽しいし、メンバーの仲もいいし。

片岡:たぶん僕らはステージの上と、普通に会ったときとの差があまり無いと思います。

川村:戸田のドラムはすごくパワフルなんですよね。だから加入してすぐに“これはイケるんじゃないか”っていう直感があったし、実際にすごくバンドにマッチしていると思います。

●今回の『carry on』は戸田さんが加入後に制作を始めたんでしょうか?

片岡:その前から作っていた曲もあるんですけど、戸田が叩くことによって雰囲気が変わった曲もありますね。もともと居た3人の気持ちも新鮮だったし。一方で、戸田が入ったことによってインスピレーションが湧いてできた曲もあるんです。

●前作はライブに対する気持ちというか、“ライブでみんなと一緒に楽しみたい”という想いが強い作品だったと思うんです。対して今作は“伝えたい”という想いが強い作品ですよね。M-1「STELLA」やM-5「More Than Words」から特にそう感じたんですが。

川村:ああ〜。そうですね。

●それはメンバーチェンジがあったり、2枚目という現在の意識の表れなのかなと。

川村:前作をリリースして以降、いろんなバンドを観たんですよね。そんな中でいろいろと考えて、やっぱり自分が伝えたいことやメッセージ性が大事なんじゃないかなと思ったんです。歌詞にもすごくメッセージを込めて書いたし、より“伝えたい”という気持ちが強くなりました。

●リード曲の「STELLA」は無料サンプラーにも収録していたらしいですが、この曲はどういうきっかけでできたんですか?

川村:この曲はスタジオで休憩中に、何気なく1人でギターを弾いてて思い付いたフレーズから作ったんですが、歌詞を書くときに“2015年の1年間で自分にとっていちばん印象的なことは何だったんだろう?”と考えたんです。そのことを題材にした歌詞を付けたんですけど、でもあまりパーソナルなことばかり書いてもわからないだろうから、やや抽象的にしてみんなが聴いたときに共感してもらいたいなと思って。

片岡:前作には「STELLA」のような曲はなかったんですよね。今作の中で「STELLA」がいちばん最初にできたんですけど、僕らの中ではこれが希望の1曲になったというか。

●情景描写しつつ、いろんな人の心に染み込んでいくようなこの曲が希望になった。

片岡:はい。それにライブで初めてやったときの反応もすごくよくて、「あの曲よかった」と言ってくれる人もたくさん居たんです。

●前作から今作に至る経緯の中で、ツアーで現実を知ったとか、メンバーチェンジを経て新鮮な気持ちになったという話が先ほどありましたけど、まさにM-2「Start from here」やM-4「Hello,my Life」にはそういう心境が綴られていますね。

片岡:変わっていく大事さと、変わらずに居続ける大切さ…その両方を再認識したんです。悪いところは改善すべきですけど、良いところは伸ばしていけばいいだろうし。今回の5曲はまさに僕たちがいま思っていることが出ていますね。

川村:「Hello,my Life」とかは、サウンド的にはポップパンク系の音楽を聴いててそこからの影響が大きいんですけど、歌詞については…TwitterとかInstagramとかを見てると、自分を偽っている人がめちゃくちゃ多いなと思ったことがきっかけなんです。もっと楽な気持ちで自信を持っていけばいいのになって。

●“伝えたい”という気持ちがより強くなっていると。ところで「More Than Words」は歌に焦点が当たっている楽曲ですが、女性コーラスが入ってますよね? あれ誰ですか?

片岡:高知で活動しているシンガーソングライターの知り合いが居て、その子に頼んだんです。実はあのコーラス、もともと僕が同じキーで歌っていたんです。

●あ、そうだったんですか。

片岡:でもやってみたら、全然ダメだったんです。

●ハハハ(笑)。

片岡:そのときにたまたまその子に別の曲のコーラス録りで来てもらっていて、試しにやってもらったらすごくよくて。

●新鮮だし、楽曲にすごくマッチしてますね。

片岡:そうですね。今後に作っていく曲にも繋がっていく可能性を感じたんです。

●うんうん。まさに次に繋がっていく作品になったと。

片岡:今回の作品もツアーも今の体制になって初めてのものなので、前回の経験も活かしつつ…もしかしたら打ちのめされるかもしれないけど、僕らは挑戦していかなくちゃいけないタイミングというか。だからすごくワクワクしてます。

interview:Takeshi.Yamanaka

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj