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BACK LIFT

90年代メロコアシーン再び! 僕らはこれを待っていたんだ!

 2007年名古屋の同じ大学で結成されたBACK LIFT。Hi-STANDARDやHUSKING BEE、THUMBなどいわゆる90年代メロコアシーンを席巻したバンドから強い影響を強く受けている彼等は、 現在までにSNAILRAMPやNICOTINE、NOT REBOUND等の大先輩方から同年代のSHANKを始めHEY-SMITH、EGG BRAIN、Boobie Trap、REAL REACH等の名古屋公演のサポートを総なめにし、2010年5月に名古屋にて行われた野外ロックフェスFREEDOM 2010では地元代表として出演し、サブステージながら数百人の観客を前にその存在感を示した。結成から約5年、満を持してリリースされる1stフルアルバム『FOR YOU,FOR US 』には先輩バンドへの敬愛はもちろん、メロコアバンドの名古屋代表としての姿勢、勢いが凝縮されている。全18曲に閉じ込められたBACK LIFTの“FOR YOU,FOR US ”という想いを是非とも体験してもらいたい。

Interview

「『FOR YOU,FOR US』を聴いて一回り上の世代の人達にもう一度ライブハウスに戻ってきて欲しいです」

●初対面で申し訳ないんですが、なんでみんなこんなふざけた名前なの?(笑)。初期設定ミスったんじゃないですか?

KiCHIKU:そうそう! 完全なるミスで。悔やまれてますね。みんな同じ大学出身なんですけど、共通の友人が1人いてそいつが勝手につけたんですよ。しかも3人分のあだ名を(笑)。このあだ名でずっとやってくつもりはなかったんですけど、学生時代の音楽のサークルでは変なあだ名で呼び合う文化があって、「お前らはこれでいけ」と勝手に決められて…。2、3ヶ月くらいで後悔しましたね。そいつは誰にでもあだ名をつけるくせに、そいつだけあだ名がないという。

●ズルいパターンやね。大学を出てから知り合った人達にも、流れで呼ばれてると。

KiCHIKU:完全なる負の連鎖です。「なんで?」って言われますもん。

●それにしても鬼畜はちょっと…(笑)。

YAKiTORI:性癖が鬼畜なんです。

KiCHIKU:初登場なのでこれ以上はキツいです…、CDが売れなくなる(笑)。

●HEAVINさんの名前の由来は?

HEAVIN:ヘヴィな音楽を聴いてるからっていう。

KiCHIKU:いろいろと不憫なんですよ。

●YAKiTORIさんは焼き鳥屋でバイトしてたとか?

YAKiTORI:焼き鳥を主食とした生活を送ってたんです。常に焼き鳥食ってた。スーパーで焼き鳥ばっか買ってたら、そいつに目をつけられて。

●(笑)。それをそのまま受け入れるみんなもみんなですけど。

YAKiTORI:当時はまだ若かったんです。

●今でも充分若いですよ(笑)。結成自体は何年になるんですか?

KiCHIKU:2007年の夏ですね。

YAKiTORI:もう5年目か! 長っ!!

●その5年の間にいろいろ会ったと思うんですけど、フルアルバムリリースおめでとうございます。18曲ってなかなかのボリュームですが、これだけの曲数を詰め込もうと思ったのには、何か特別な想いがあったんですか?

KiCHIKU:僕は日本の90年代の音楽が大好きでよく聴いてきたんですけど、好きなバンドがいっぱい入ってるアルバムを聴くのが好きなんです。僕がCDをリリースする立場になって、1曲でも多く届けたいなという気持ちで詰め込んでたら、いつのまにか18曲になっていました。

●"1曲でも多く聴いてもらいたい"というのは全員の思いでもある?

YAKiTORI:そうですね。

KiCHIKU:当初は15、6曲で考えていたんですけど、"あれもやりたい、これもやりたい"って感じで気付いたら18曲になっていたんで、特に苦労もしませんでした。

●今作『FOR YOU,FOR US』通して聴いた時に思ったのは、キャリアのあるバンドがベスト盤を出して、ベスト版のワンマンライブを聴いているかのような感覚だったんですよ。バラエティに富んでるし、後半になると意外性もある。最後に歓声も入っていたりしますし。

KiCHIKU:ありがとうございます。M-18「LOVING」が頭に浮かんだ時は"これは絶対アルバムの最後にしよう"って決めました。M-1「LOOK UP TOGETHER」も"これは1曲目だな"って。その時点で起承転結を決めてて。アルバムなんで、好きなものにいろいろ手を出しながらやろうという気持ちがありました。

●レコーディングは大変だったんじゃないですか?

HEAVIN:結構大変でしたね。

KiCHIKU:ただでさえレコーディングに時間のかかるタイプなのに、これだけ曲数が多いと予定してた時間よりも押しちゃって…。

●その分いいものが出来たぞと。ドラムの勢い、ツーバスも凄く気持ちいいですね。

HEAVIN:めっちゃ大変でしたけどね! ヘヴィな音楽が好きだったので、ツインペダルでいろいろ真似をしてきたのが活かせました(笑)。

●「LOOK UP TOGETHER」は歌から始まって勢いもあって、"BACKLIFTってどんなバンド?"って聴かれた時、この曲を聴かせれば分かりやすいなって思ったんです。

KiCHIKU:実は、あの曲は18曲の中でもかなり後の方にできた曲なんですが、この曲が出来たとき凄い手応えがあったんです。もともとはM-4「LIFTING ME UP」という曲が1曲目に収録予定だったんです。この曲は、僕が影響を受けてきた90年代の音楽の影響が色濃く出ていて、やりたい事に近い事をやった曲。

●「LIFTING ME UP」は序盤からサークルモッシュが起こりそうなイメージの攻める楽曲ですね。KiCHIKUさんが言う、90年代の音楽というのは具体的にバンドで言うと?

KiCHIKU:Hi-STANDARDやTHUMBなど、90年代に一時代を築いた邦楽メロコアバンドですね。

●世代的にオンタイムで経験されていませんよね? 出会いのキッカケはなんだったんですか?

KiCHIKU:僕は今年30歳になる兄貴がいるんですけど、僕が小5くらいからずっとHi-STANDARDを聴いてたんです。最初はただ流れてくるのを聴いていただけだったんですけど、中1になって兄貴の持ってるCDばっかり聴き漁って激ハマりしましたね。

●3人の聴いてきた音楽が上手くミックスされてるなと思って。

KiCHIKU:そうですね。逆に3人が同じような音楽を聴いてなくてよかったと思ってます。僕がベースで曲を書いてるんですけど、頭の中で"これだけは絶対に入れたい!"というフレーズだけ伝えて、あとは全部みんなに任せているんです。その方がいいものができると思うし、そうじゃなきゃ僕色の曲になるじゃないですか。

●ほとんどの曲はKiCHIKUさんが書いてるんですよね。

KiCHIKU:歌詞も曲も、全曲そうです。

●そうやって渡された曲を自分なりにアレンジするのはどうですか?

YAKiTORI:結構難しいですね。HEAVINはどう?

HEAVIN:別に難しいと思わないし。

YAKiTORI:あれ? 俺だけ?

一同:あははは(笑)。

KiCHIKU:逆に僕が難しかったんですよ。出来たフレーズを弾いただけで"それは嫌だ"って言われて。10曲くらい連続で言われた時は軽くトラウマになりかけましたよ。

●「お前らが作れよ!」と思ったり。

KiCHIKU:"これはっちょっと違うかな?"って感じで作った曲が逆によかったりとかね。でもずっとそんな事をしてたら俺が凄いブレちゃうんで、今は俺が好きな曲を持っていって納得させてやろう! くらいの気持ちはあります。

●なるほど。それぞれ思い入れのある曲ってありますか?

YAKiTORI:僕は最後の「LOVING」っていう曲なんですけど、ラストに相応しい、あったかい曲。ギターに関しても珍しくソロがあるんですけど、そこが大好きで。曲とマッチしてて、聴く度にニヤニヤしてます。

●「LOVING」は初期Hi-STANDARDっぽい感じが好きで僕も好きな曲です。

KiCHIKU:まさにそれです!! Hi-STANDARDの初期の感じを出したくて。

●Hi-STANDARD世代の僕は小躍りしちゃいそうだし、23歳という歳でそれをやってるのが凄く共感を持てます。HEAVINさんは?

HEAVIN:僕はM-17「SUN OVER THE SEA」ですね。

●この曲は他の曲と群を抜いて毛色が違いますよね。まずアコギの音に耳を奪われて、"ここからいつものBACKLIFTに戻るのかな"って思ってたら"あれ?"みたいな(笑)。コードもM7系のオシャレな感じだし、HEAVINさんがこの曲を選んだのがちょっと意外(笑)。

HEAVIN:いつも叩いてないドラムだから新鮮で楽しかったんです。

●なるほど。みんなにとってもチャレンジだったんじゃないですか?

YAKiTORI:間違いないですね。アコギでレコーディングするのは初めてだったんですが、"へたくそ"って言われましたもん(笑)。ギターのカッティングも、まさか自分らの曲で使うとは思わなかったですね。

●この曲のイメージは?

KiCHIKU:車で5分もかからないくらいの場所に海があるんです。昔から小さい事を気にして考え込むタイプでそういう時に海に行きたくなるんですが、海に行くと凄く癒されて、この気持ちを音楽にしたくて。ひとりじゃないし、泣いてもいい。俺らは全員でひとつだっていうのを最後のシンガロングで伝えたかったんです。

●海に向かって叫ぶみたいな?

YAKiTORI:叫ぶキャラじゃないよな。三角座りしてる感じ。

KiCHIKU:ペタって感じですね。フルートやいろんな楽器の音を、キーボードを使って知り合いに弾いてもらってるんですが、とてもいい雰囲気が出せたと思っています。

YAKiTORI:アコギも知り合いに頼みたかったな。

一同:あはははは!

KiCHIKU:それはダメでしょ! Aメロは朝っぽくして、だんだん夕方になって夜が更けるような感じで弾いてもらうようにお願いして。曲のイメージを一番伝えやすかったし、一番伝えた楽曲ですね。

●KiCHIKUさんの思い入れ深い曲は?

KiCHIKU:やっぱり1曲目の「LOOK UP TOGETHER」ですね。CDが売れなくなったとかで音楽の価値が問われる時があって、いろんなバンドが解散してしまった。それに嘆き悲しんでいるリスナーがいるんですけど、"バンドだけじゃなく、リスナーにも原因があるかもしれない"って思ったんです。リスナーにも原因があるかもしれないから、それを分かって欲しいなと思って。かといって、悲しんでる人をそのままにはしたくなかったんで、"悲しい事もあるけど、もう一回見直して全員で乗り越えていこう"という想いが込められています。

●なるほど。今作でみんなが伝えたい事ってどんな事なんでしょうか?

KiCHIKU:僕個人としては、すべてにおいて平等にしたいんですよ。昔バイトしてた時に思ってたんですが、レジでおつりを返した時に無言で帰っていく人もいれば、逆に「ありがとう」って伝えてくれる人がいると凄く嬉しくて。みんな今の日常が当たり前にあるものだと思っちゃってるけど、当たり前の事なんてなくて、すべての物事が自分らのためにあるってことを知ってもらいたいし、そのありがたみを分かって欲しい。

●YAKiTORIさんはどうですか?

YAKiTORI:タイトルが『FOR YOU,FOR US』という事で、聴く人達の為でもあるし、自分らの為でもある。さっきKiCHIKUが言ってたような意味なので、これからのツアーも感謝の気持ちを忘れずに回りきれたらいいなと思います。

●ツアーは9/25のワンマンからスタートなんですね。

YAKiTORI:…しんどいっす(笑)。初ワンマンなんですけど、果たして無事生きていられるのかという。普段の30分のライブでも死にそうになるのに、1時間半ってどうなるのか全く想像ができなくて。

KiCHIKU:体力作りをしないとね。予定では2月頃まで時間をかけて50箇所くらい回りたいなと。

●なるほど。

HEAVIN:とにかくたくさんの人に聴いて欲しいですね。俺のドラムを聴いて欲しい。

KiCHIKU:運のいい事に、周りに同世代バンドが結構いるんです。僕らの1発目はミニアルバムだったんですけど、周りのバンドはフルアルバムで出してて。他のバンドのインパクトをはじき飛ばすくらいのインパクトが出せれば嬉しいですね。このチャンスを存分に活かしたいですし、いろんな年代の方に聴いてもらえたらと思います。

●僕の世代(30台前半)でもて共感できるところがいっぱいありますよ。

KiCHIKU:今は年下のお客さんが多かったりするんですけど、一回り上の世代の人達にもう一度ライブハウスに戻ってきて欲しいですね。本当に最高のアルバム『FOR YOU,FOR US』を聴いて一緒に会場で汗をかきましょう!

Interview:上田雄一朗
Assistant:森下 恭子

 
 
 
 

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