2016/3/5@下北沢GARDEN
“絶対大野-東宴-”
昨年12月に初の全国流通盤『絶対大野』をリリースし、全国ツアーのファイナルとして心斎橋JANUSと下北沢GARDENという東阪でのワンマンライブを決行した大野賢治。G.溝下創(ラブハンドルズ)、Ba.山口剛幸とDr.ヤマグチユキヒコ(共にハックルベリーフィン)といった、大野賢治自身がテレビやラジオで見聞きしていたバンドのメンバーが今回は盤石のサポートメンバーとして参加したことで、よりエッジの効いたバンドサウンドになった。
バンドメンバーがセットし、大きな搔きまわしの音の中で大野賢治が登場。湧き上がる歓声と拍手の中でスタートした「僕じゃない君」 はサビのフレーズから始まるアレンジに変わり、1人歌い上げる姿が印象的だ。いつも堂々としたステージを繰り広げ“1人エンターテイナー”と呼ばれる大野だが、この日はよりステージ上に君臨しているように感じた。
一旦ステージには大野賢治のみになり、「きずくすり」や「クーリムパスタ」などを緩やかな空気の中で演奏。この1年での大野賢治の変化は、「心に鍵をかけました」や「いつでもあなたは」のように淡々と歌う楽曲に顕著だ。感情の流れがより明確に感じられる、優しい歌を歌うようになった気がする。
バンドメンバーも戻ってきて、演奏は一気にヒートアップ!「言葉ノチカラ」ではコール&レスポンスで会場中から大きな声が響く。TVアニメ『幽遊白書』のOP主題歌でもあり、作曲者の馬渡松子もカヴァーでのCD収録を喜んでくれたという「微笑みの爆弾」も披露。「カーニバル」では、会場中が両腕を上げて飛び跳ねる。最後に披露したのは「世界はいつも」。彼にとって上京してからの1年が全て詰まった曲といっても過言ではない曲だ。
アンコールにはリリース時の特典として配布された「夢の街」をツアーファイナルで初披露。「世界はいつも」のアンサーソング的楽曲を「大好きで大っ嫌いな東京に向けて書きました」と歌い始める。憧れと現実の葛藤も、今の大野賢治を作っているのだ。感情の起伏や人生観がより明確に現れたこの日のライブは今夏、DVDとしてリリースされることも決定。より進化していくキッカケとなりそうな夜の模様を映像で観るのが楽しみでならない。
TEXT:柴正明 / PHOTO:鈴木友優