ツインヴォーカル擁する京都出身のロックバンド、LOCAL CONNECT。自らの今までと未来を繋ぐ1stミニアルバム『過去ツナグ未来』を昨年6月にリリースした彼らは、リリースツアーやたくさんの人との出会いを経て、メンバー同士の繋がりをより確かなものにし、待望の2ndミニアルバム『7RAILS』を完成させた。2人のヴォーカルはより叙情的に、バンドのアンサンブルはよりしなやかに、熱く激しいライブはよりタフで強靭に。彼らが放つ7つの歌は、たくさんの人と人の出会いを紡いでいくだろう。
●2015年6月にリリースした1stミニアルバム『過去ツナグ未来』は、まさにタイトルの通り、LOCAL CONNECTの今までとこれからを繋ぐような作品にしたいということで、前身バンドのときの曲から昨年作った曲まで収録されていましたよね。
Daiki:はい。
●その後ツアーをまわりましたけど、前作及びツアーの手応えはどうでしたか?
Dailki:全国をライブでまわったのもそうですけど、こうやって様々なメディアで取り上げてもらったり、アニメのタイアップをさせてもらったことも大きくて。名前がバッとひろがった1年だったなと思います。それに去年Natsukiが加入して、それまではメンバーの間で詰め切れなかったものも1年でガッと詰めることができるようになったし。
●というと?
Dailki:Natsuki以外は同級生で、友達の延長線上っていう感じがあったんです。でも人間関係よりも、曲を大事にするとか、いい曲を作るために思ったことを言い合える仲になったなという実感があって。
ISATO:友達から入ったが故に、仲が良いからこそ“いい関係を崩したくないな”とか“これ言ったら傷つくかな”とか考えて、本来だったらいい音楽を作るために言わなければいけないことが言えなかったり。
●お、なるほど。
Daiki:でも去年1年を経て、いい曲を作るために切磋琢磨して意見を言い合えるようになったんです。去年1年はずっとメンバーと居たんですよ。だから話す機会が多くなったのがデカくて。
Natsuki:飯も風呂も、寝る時も一緒とか。
Daiki:必然的に、バンドの話をすることがめちゃくちゃ多かったんです。そこで新しい発見というか、“こいつこういうこと考えてたんや”みたいなこともたくさんあったんです。そこが大きく繋がったのかなと思います。だから曲の作り方も少し変わったというか。基本的には僕がデモを作ってきてバンドで合わせるんですけど、作曲の時点から各自が「こういう風にしたい」という意見を出し合って、それで作るようになったんです。
●いいことですね。
Daiki:今作は去年のツアーが終わる辺りから作り始めたんですけど、ツアーを通してみんなの熱もどんどん高くなってきて、その熱を持ったまま作曲に入れたんですよね。骨組みを作るのは僕ですけど、みんなの色が楽曲にどんどん入るようになって。それがおもしろかったですね。
●今作は前作と同じく7曲入りですが、どういう作品にしようと考えていたんですか?
Daiki:前作は「それまでのいい曲を集めたアルバム」という感じだったんですけど、今回は7曲のバランスをしっかりと考えて、1曲1曲の色を変えようというところを意識したんです。何回も聴いてもらえるものにしたいなと。
●確かに楽曲の幅がひろがっていますよね。それは例えば去年のツアーとかで、“ここでこういう曲があったらいいな”みたいなアイディアから作ったということ?
Daiki:あ、まさにそうですね。去年のツアーで感じたことをそのまま形にしたというか。
ISATO:移動しながら機材車の中で話したこととかが反映されているんです。
●まさに今回のアーティスト写真みたいな。
ISATO:まさにそうです(笑)。例えばしゅうまが運転していて僕が助手席に居て「今日のライブでこういうの欲しいよな」「ああ〜、欲しいよな」みたいな会話をしたとして、それをそのまま放ったらかしにするんじゃなくて、それをスタジオに持って行ったり。
●例えばメンバーの意見からできた曲ってあるんですか?
Daiki:M-7「piece」です。
●え! マジで!
しゅうま:めっちゃびっくりしてる(笑)。
●いや、メッセージ性が強いし、パーソナルなところから生まれたのかと。
Daiki:確かに歌詞はメッセージ性が強いですけど、特にサウンド面ですね。僕らみたいなロックバンドは、例えばワンマンライブとかだったらバーン! とした曲で始めるのが一般的なのかもしれないけど、「じわっと感動するような曲からワンマンライブを始めたいね」と言っていて。「そういう曲がほしいな」と。
●こういうタイプの曲は今までなかったんですね。
ISATO:そうなんです。
Daiki:激しいライブをしてお客さんを引き込むっていうのが僕らの今までのスタイルだったんです。だからワンマンライブをイメージして…例えば大阪城ホールとかで(笑)、幕が閉まったまま歌が聴こえてきて、演奏が始まって、幕がバッと下がってワンマンライブが始まる…みたいな話をISATOとかしゅうまとかとしていて、「これは作りたいぞ」と。なおかつ、アルバムの最後に収録してエンディングにもなるような曲にしようと。
ISATO:こういう曲をすごくやりたかったし、なんとなく描いていたんですけど、やっぱりバンドって自分1人でやるもんじゃないし、Daikiと2人でしゃべっているときの考えだけでは無理なわけで。
●はい。
ISATO:でも「piece」はヴォーカルがストンと聴こえるような曲調じゃないですか。そこで楽器陣に対しての遠慮というか、もっとはっきり言うと“こいつら納得してくれるかな?”みたいな不安があったんです。でも楽器陣の3人は僕らの歌を必要としてくれているし、「それがLOCAL CONNECTの武器だ」と言ってくれるからこそ形になった曲なんです。
●信頼関係があったからこそだと。リード曲はM-1「Gold」とのことですが、この曲は今作の中でいちばんパンチがあるというか、ライブのLOCAL CONNECTの印象に近いですよね。全員がグイグイ迫ってくるというか。
Daiki:「Gold」は、この7曲の中でいちばん最初に出来たんですよ。
Natsuki:2014年の末くらい…僕が加入する前にはもうありましたよね。「幸せのありか」や「君の右手」(共に『過去ツナグ未来』収録)と同じくらいの段階で出来てた。
●なぜ前作には入れなかったんですか?
Daiki:前作に入れるとロック色が強すぎる可能性があるなと思って、ライブでもせずに温存していたんです。
●あ、そうなんですね。
Daiki:だから今作は「Gold」ありきで、他の曲を作っていった感じなんです。1曲目かどうかは決めていなかったんですけど、ここから広げていった世界観ですね。
Natsuki:最近ライブでやり始めたんですけど、勢いがあってすごくやりがいがあるというか。
Daiki:ライブで歌いたい曲、というイメージで作ったんですよね。歌詞の内容としては、人付き合いの中で本当に信頼できる人というのは、嘘くさい表情や言葉を全部取り払って、たぶん本気でぶつかれると思うんですよ。そのことを強く言える曲にしたかったんです。それをライブで叫びたい。
●その話を聞いてふと思ったんですけど、ヴォーカルは2人とも、気持ちの込め具合が強くなっていますよね? そう思いません?
しゅうま:思います。
Daiki:歌に込めた気持ちはかなり強くなりましたね。今回はISATOと「この曲はこういう風に歌いたいね」という話をいっぱいできたんです。それが本番のレコーディングで活かせたかなと。
●ということは、より自分たちがイメージする歌い方が出来たし、より楽曲の世界観に入り込んで歌えたと。
ISATO:はい。
●「Gold」のような勢いのある楽曲だけじゃなくて、M-4「おやすみ」みたいなミドルな曲でも感情が伝わってくるのがいいなと思ったんです。上手く歌っているんじゃなくて、伝わるように歌っているというか。
Daiki:何回も歌い直したんですよ。
ISATO:それもエンジニアさんから「もう1回歌ってみようか」と言われたとかじゃなくて、僕らが「もう1回歌いたいんです」みたいな。自発的に出来たのが良かったのかなと思います。
●今回の7曲は歌モノもあればライブ感が強いものもあり、かと思えばR&Bっぽいファンキーなものもあって、どれもタイプが違いますよね。LOCAL CONNECTが持ついろんな側面が1枚にギュッと凝縮したというか。
Daiki:そうですね。位置付けをはっきりして作ったから、曲作りはあまり悩まなかったんですよね。例えばM-5「内緒」はアルバムだからこそ作れたんですよね。“こういう歌も歌うんだよ”っていうのを出しやすかった。
●でも「内緒」は今言ったようなファンキーなノリの曲で、演奏面は難しかったんじゃないですか?
Natuki:リズムはファンキーというか裏ノリなんですけど、ドラム的にはやっていることはすごくシンプルなんですよね。でもテンポがミドルだから1音1音がはっきりと聴こえるので、雑なことはできないんです。だから簡単やけどいちばん丁寧にしなければダメという曲で。
●ああ〜、なるほど。
Natuki:それに加えて、淡々とやったらおもしろくないんですよね。だからグルーヴを作らないといけなくて、まーきーさんとしゅうまさんと3人で合わせたり、話し合いをしたり。めちゃくちゃ苦労しました。
●あ、そうなんだ。
しゅうま:ベースもNatsukiと一緒に苦労した感じですね。この曲だけではないんですけど、今回は自分の引き出しにない色を出す必要が多くて、苦労した分、かなり勉強になりました。
●ギターはどうだったんですか?
まーきー:難しかったです(顔をしかめながら)。
●そのニュアンスは誌面では伝わらないです(笑)。
まーきー:僕はもともとハード系がルーツなので、「内緒」みたいなノリは全然引き出しにないんですよ(上着を脱ぎながら)。
●あ、暑くなってきたんですか?
まーきー:はい。そもそもほぼクリーンな曲なんて今までもなかったし。“Daikiは遂に俺を殺しに来たか”と思って。
●大げさだな。
まーきー:でも僕は負けず嫌いなので軽くクリアしてやろうと思って、今までにやったことがないプレイを色々とやったんです。だから楽しかったです。終わったときに“俺、この曲をやってよかった”と思いました。
●かなりのチャレンジだったけど、楽に乗り越えたと。
まーきー:ザ・チャレンジです。チャレンジしたね! っていう感じです。
●この人、独特な空気感があるな(笑)。
ISATO:飲みに行ったらずっとこんな感じです(笑)。
●あとびっくりしたのがM-3「ねぇ ねぇ」なんですけど、タイトルだけ見てミドルなバラードかなと想像していたら、全然違うかった。かなりアッパーな曲ですよね。
Daiki:そこを狙っていたんですけど、曲はかっこいいけどめちゃくちゃダサいタイトルの曲が欲しかったんです。
Natsuki:言えないくらいダサい候補あったよな。
●誌面には載せないので、他にどういう候補があったか教えてください。
Daiki:僕が考えてきたんですけど、「フトコロスナイパー」とか「クレイジー・レイジー・ダンサー」です。
●うわ! ダサッ!
一同:ハハハハハ(笑)。
●“ふところ”は漢字ですか?
Daiki:全部カタカナです。
●うわっ! ヤバい!
一同:アハハハハハハハハ(爆笑)。
ISATO:でも仮タイトルが「ねぇ ねぇ」だったのでそれでいいじゃないかと説得して。
●もし「フトコロスナイパー」に決まっていたら、インタビューでこの曲のことは触れなかったと思います。ガチでイタい人だと思って。
一同:アハハハハハ(爆笑)。
●さっきも言いましたけど、LOCAL CONNECTが持ついろんな側面が凝縮された作品になりましたね。リリース後のツアーはどのようなものにしたいですか?
Daiki:今回のツアーは、去年繋がった仲の良いバンドを誘って出てもらうんですよ。そういう意味でも楽しみだし、ファイナルは初めてのワンマンなので更に楽しみです。
interview:Takeshi.Yamanaka