“Electric Dance Metal”という新たなジャンルを掲げ、日本のみならず世界にその名を轟かせてきたLOKAがニューアルバム『EVO:ERA』を4/6にリリースする。2012年にデビューEPを発表以降、インディペンデントを貫いた独自のスタンスで活動を続けてきた彼らが運命的な出会いを果たしたのが、JAWEYEだ。ロックやパンクが持つ瞬発力に、ダンスミュージックが持つ昂揚感を織り交ぜた比類なきエレクトロ・ロックサウンドを放つJAWEYEもまた現在はDIYな活動を展開している。2016年1月末の初対バン以降、急速に距離を縮めている両者の対談が実現。相通じる特別な“何か”を共有する2組が、大いなる化学変化を引き起こしていく。
●両バンドの出会いはいつ?
Kihiro:この前のJAWEYEのツアー初日(2016年1月31日@渋谷Star Lounge)に、LOKAが誘われたのが最初ですね。
上田:俺はその時が初対面だったんです。
●あ、あの日が初めてだったんですね。
松尾:俺は対バンする前に、LOKAのライブへ挨拶に行ったので面識はあって。あと、KEN'ICHIくんとは使っているドラムのメーカーが同じなので、試奏会で会ったことはありました。だからLOKAのことは知っていたけど、「ボーカルが怖ぇな」と思っていて…。
Kihiro:なんでやねん(笑)。
上田:俺も共通の知り合いはいるからLOKAの話は聞いていたし、PVを見たりして「カッコ良いバンドがいるな」とは思っていて。でもやっぱり怖そうだから一生交わることはないだろうな思っていたんですけど、遂に触れてしまいましたね(笑)。
Kihiro:実際、そうでもないでしょ?
松尾:話してみたら、意外と優しかったです(笑)。
●見た目のイメージどおりではなかったと(笑)。
Kihiro:ちなみにJAWEYEは活動を始めて、どのくらいになるの?
上田:6年くらいだね。だから、実はLOKAとほとんど同期なんだよ。
Kihiro:LOKAが始まったのは2012年なんですけど、俺とKEN'ICHIが出会ったのは2010〜2011年頃で。そう考えると、本当に同じくらいに始まっているんだね。
●バンドとしての歴史は同じくらいというか。
Kihiro:6年前だと、ちょうど30歳くらいで。「バンドを続けようかどうしようか…? やっぱりやるか!」みたいなタイミングだった。
松尾:節目だよね。
上田:大体このくらいの年齢の人たちがいったん落ち着いて、また新しいことを始めるタイミングだったと思うんです。30歳くらいになって、自分の人生を見つめ直すというか。「これからどうしていこうか?」というところで、やっぱりバンドをやろうとなった感じで。
Kihiro:俺も前のバンドが解散した時に「これからどうしよう?」っていうところで本当に悩んでいて。でもKEN'ICHIと出会えて、「やっぱりまたバンドをやろう」という気持ちになれたんです。
●KEN'ICHIくんと出会えたことが大きかった?
Kihiro:大きかったですね。そこの出会いがなかったらLOKAをやっていなかったと思う。あと、一緒にやってくれる人が他にいなかったっていうのもあって…。
松尾:やっぱり、怖いんだよ(笑)。
Kihiro:そうなんだよね…って、やかましいわ(笑)!
●ハハハ(笑)。
松尾:そういえば、俺は前にもKihiroくんと会ったことがあって。渋谷gee-ge.で飲んでいた時に酔っ払ったKihiroくんが入ってきて、その場にいた大先輩と「イェー!」みたいな感じで挨拶しているのを見て「すごいのが来たな」と思ったんです(笑)。その時に初めて「あれがLOKAか」と認識しましたね。
Kihiro:俺と初めて出会った時の話を聞くと、みんな「酔っ払っていた」って言うんですよ。何とかその印象をなくしたいのに、全然なくならない…。
●逆にそういうキャラクターだから、仲良くなれるのかなと。
上田:俺は最初に話した時のファーストインプレッションで「こいつは大丈夫だ!」っていう人とはすごく仲良くなるけど、そうじゃなければ基本的に人とあんまり仲良くならないんですよね。昔は一緒にお酒を飲んだりして誰とでも仲良くなろうとしていたんだけど、歳を取るにつれて変わってきて。よく「ジャンルの壁を破壊しようぜ」みたいなことを言うけど、それとは逆で自分たちとジャンルや精神性が共通する人たちと一緒に何かを作っていくということも大事だなと思っているんです。だから最近は自分の中で線引きをして、一緒に何かをできる人たちとそうじゃない相手をきっちり取捨選択していくという生き方に切り替えていたところがあったんですよ。自分の軸がブレた状態では、あんまり人と話したくないというか。
松尾:その度合が今はさらに深くなっている気がする。簡単に言えば、好き嫌いをはっきり出すようにはなっているなと思いますね。
Kihiro:俺もそこはすごくわかる。ただ、バンドの動き方にも関わってくる部分なので、難しいところではあると思うんですよ。メンバーそれぞれに色んなつながりを持っているし、自分たちの周りにはものすごい数の人たちが関わっているから。その中で「こいつは好きだけど、あいつは嫌いだ」とか色んなことがある。他のバンドとどう付き合うかというところでは、俺らの場合はメンバー4人が同じ気持ちだったら良いって思う。
●メンバー全員が共感できる相手なら構わない。
Kihiro:そういう人たちと関わっていけば、“ジャンルを超える”っていうよりも“ジャンルを作る”っていうことができるんじゃないかなと最近は考えていて。JAWEYEも初めてライブを観た時に、“ずっとやってきているんだな”ということがひしひしと伝わってきたんです。そうやって通じ合うところがあるのなら、「一緒にやっていこうぜ」っていう気持ちになれると思うんですよね。
上田:LOKAは、孤高なバンドだなと思っていて。つるみもしないし、音楽性が大きくブレることもなく、1つ1つを真摯に取り組んでいるバンドというイメージを勝手に持っていたんですよ。その姿勢を尊敬しているし、そういうふうにJAWEYEもやっていきたいと思っていたから、初めて会った時も「俺はおまえのことをリスペクトしているぜ」っていう姿勢から入れたんです。
●交流ができる前から、相通じるものを感じていた。
Kihiro:JAWEYEも俺らも自分たちで全部やってきた経験のあるバンドだから、そのつらさや痛みをすごくわかり合えるんですよ。LOKAは始まった当初から俺とKEN'ICHIの2人で事務所も付けずにずっとやってきたから、JAWEYEとは絶対に話が合うだろうなと思っていて。いちいち具体的に話さなくても、お互いに「こういうことだろ?」っていうだけで通じ合えると思うんです。
上田:話しているだけで、わかるよね。
松尾:たとえば自分たちがリハーサルをしている最中に、ライブハウスに入ってくる姿勢だけでもわかるから。そこを見ただけで「なんか違うな」と思う人たちとは仲良くできない。別に媚びているとか世渡りが上手いという話じゃなくて、芯がある人や考えをしっかり持っていそうな人というか。それはLOKAを見ていても感じましたね。
●直感的に通じ合えるとわかった。
Kihiro:俺たちは会場入りした時に別のバンドがリハーサルをやっていても、絶対に話しかけないんですよ。相手のリハーサルを見て「どんなもんやねん?」と思っているし、次に自分たちのリハーサルをやる時は「オラァ! 俺たちだってやるぞ、この野郎!」っていう気持ちでやっているんです。実際、JAWEYEと初めて対バンした時はそんな感じだったけど、その後で楽屋で初めて(上田)浩平と話した瞬間に「いや〜、責任をとれるバンドマンになりたいよね」と言われて、「そうなんだよ!」って共感しまくって(笑)。リハーサルの時点から会話が始まっているんですよね。
上田:その感じはあるね。特にLOKAみたいに自分がカッコ良いと思っているバンドには、自分たちも「カッコ良い」と思われたいから。だから、こっちもリハーサルから全力でやるわけで。そこがファーストコンタクトだから、絶対にナメられたくないんですよ。
松尾:リハーサルの段階から空気が違いますね。ピリッとしているんです。
●相手を認めているからこそ、リハーサルから緊張感がある。
Kihiro:あの緊張感が良いなって思うんです。それで実際に話してみたらもうバッチリだったから、すごく自然に仲良くなって。
松尾:気付いたら、楽屋でこの2人(上田とKihiro)がすごく仲良くなっていたんです。それが珍しいなと思って。
●浩平くんがそんなに短期間で仲良くなることは珍しいと。
上田:それはKihiroが良いヤツだからですよ。
Kihiro:おまえもだよ〜(笑)。
松尾:実はKihiroって良いヤツなんですよ。対バンをする前に俺がLOKAのライブへ行った時も楽屋で挨拶をした瞬間に、(Kihiroが)満面の笑みで「やっと会えたよ!」って言ってくれて。「こいつ、超良いヤツだな」って思いましたね。
上田:普通はそんなこと言えないですよね。アメリカ人ですよ。
Kihiro:いや、アメリカ人ではない(笑)。
松尾:“Nice to meet you”がすごく深くて。
●本心からの「会えて良かった」という気持ちが伝わってくるというか。
松尾:そうなんですよ。すごく良いヤツなんですけど、この部分は誌面では全部カットしておいて下さい。
一同:ハハハハハ(笑)。
●出会ってまだ1ヶ月足らずとは思えない仲の良さですね(笑)。
松尾:俺らが他のバンドと出会ってから、これくらいのスピードで仲良くなることは珍しいですよ。
上田:年下や年上はどちらも気を遣うし、同い年くらいのバンドってなかなかいないんですよね。
●同世代というのも大きかった?
上田:俺ら世代は、音楽に対して根付いている夢がデカくて。思春期の頃に音楽が一番のバブル期を迎えていて、その時に「音楽エンターテインメントはすごいんだ!」というのが自分たちの中に根ざしちゃっているから。それだけにもう音楽を捨てられないんですよね。そういう人がこの世代は多いんじゃないかな。
●ちゃんと好きなことをやって売れた人を見てきているというか。
Kihiro:そうなんですよね。CDがメチャクチャ売れる時代も見てきたし、そこからどんどん落ちていく姿も両方を見ていて。
上田:1回バーンと上がったところから落ちていって。その落ちていく中でもまた輝く人もいたりして、そこがまた希望になっちゃったりするから。もう辞められないんだよね。
松尾:それがまた自分の周りにいたヤツだったりすると、「俺らもやれるんじゃない?」となったりして。
●実際、両バンドとも諦めていないから、今も続けているわけですよね。
Kihiro:そうですね。社会にいる他の同世代の人たちにも、そういうのが伝わると良いなと思っていて。
上田:視点は色々と変わっていったのかもしれないけど、結果として自分の人生の先にはやっぱり音楽があるし、まだまだ辿り着きたい場所があるから。そういうのがまだあるっていうのが良いですよね。
●お互いに目標を失わずに進み続けている。
Kihiro:目指すところは一緒なんじゃないかと思います。
KEN'ICHI:LOKAは「スタンドアローンだね」とずっと言われてきたんですよ。わざとそうしているつもりはないんだけど、周りにはそう見えるんだなと思っていて。今日、JAWEYEもそうだったというのを聞いて、やっと同じようなスタンスでやっているバンドと出会えたんだなと感じたんです。もちろん他にもいるだろうし、そういう人たちともこれから出会っていけたらなと。自然体で距離感を保てる人たちが集まって、何かを一緒にやれたら楽しいんじゃないかなと思います。
松尾:たぶん俺らが知らないだけで、リスペクトできるバンドは他にもいるはずなんですよね。
●その出会いからまた新しいものが生まれていく。
Kihiro:今はメジャーもインディーズもごちゃ混ぜになっているんですけど、本当の“インディーズ”とはどういうことなのかを俺らは改めて提示していきたくて。そのカッコ良さって絶対にあると思うから…あとは結果ですね。
松尾:結果を出すことで、説得力も増すと思うんですよ。急には良くならないだろうし、そこは1歩ずつの積み重ねなのかなと。
KEN'ICHI:だから「これからのLOKAとJAWEYEを見とけよ!」っていうことですね。
Interview:IMAI