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nano.RIPE

揺るぎない軸を持って挑み続ける“ぼくら”の旅。 その行く先には果てしない世界が広がっている

nano_lime_mainメジャーデビュー5周年を迎えた2015年は、nano.RIPEにとってもファンにとってもまさしく充実の1年だったのではないだろうか。初のZeppDiverCityワンマンから始まり、4thフルアルバム『七色眼鏡のヒミツ』リリース後は47都道府県ワンマンツアーも開催。シングルコレクション『シアワセのクツ』のリリース記念として赤坂BLITZ公演を成功させ、最後は初ワンマンの地・渋谷CHELSEA HOTELでのワンマンライブで締め括った。その間の7月にはシングル『こだまことだま』もリリースするなど作品もライブも盛りだくさんだった1年を経て、いよいよ2016年のnano.RIPEが始動する。まずはその第1弾として、ニューシングル『ライムツリー』をリリース。TVアニメ『最弱無敗の神装機竜《バハムート》』のエンディング主題歌となっている表題曲は、新しいnano.RIPEの片鱗を感じさせる1曲だ。揺るがない自分たちらしさを軸にしっかり持ちつつ、飽くなき挑戦を続ける4人を今年も期待して見つめて欲しい。

 

「“新しいnano.RIPEだ”と思う人もたくさんいると思うんですけど、決して変わってしまったわけではなくて。良い意味での“変化”なので、新しいnano.RIPEも見せながら、ちゃんと古き良きnano.RIPEを根底に持った上でやっていきたいですね」

●2015年は初のZeppDiverCityワンマンから始まり、47都道府県ワンマンツアーに赤坂BLITZを経て最後は渋谷CHELSEA HOTELでのワンマンと、本当にライブ尽くしの1年でしたね。

きみコ:ワンマンの年でしたね。最初に年間のスケジュールを見た時は過去に63本のツアーも経験しているから、“大したことないな”と思っていたんですよ。でも63本のツアーの時は(対バンだったので)1本につき25〜30分くらいのステージだったけれど、それがワンマンになると全て2時間〜2時間半くらいになるわけじゃないですか。実際に始めてから、“これは結構大変だぞ”って思いました。

●そういう意味では、47都道府県ワンマンツアーは大きな挑戦でもあったわけですね。

きみコ:ワンマンなのでお客さんは自分たちだけを観にきてくれるわけで、そういう形で47都道府県をまわれたというのはすごいことだなと思います。あと、今回のワンマンがキッカケで初めてライブに来ることができた人たちもいっぱいいたので、そういうところもすごく良かったですね。

●シングルコレクションの発売記念イベントとして赤坂BLITZで行われた5th anniversary program Vol.3「しあわせのくつ」はいかがでしたか?

きみコ:47都道府県ツアー中ではあったんですけど、シングルコレクションのリリースイベントだったのでツアーとはまたちょっと違うテンションでしたね。でもツアーも最後の沖縄を残していたというところで、流れ的にはすごくテンション感も良くて。バンド内のグルーヴもすごくまとまりがあって、良いライブになったんじゃないかと思います。

●その模様が今回のニューシングル『ライムツリー』の初回限定盤同梱DVDに収録されているわけですが、何と142分にも及ぶ映像ということで…。

きみコ:過去最長ですね。MCとかはカットしていますけど、曲の方はアンコールの2曲を削っただけでほぼノーカットなんですよ。シングルコレクションのイベントでこれだけの曲数をやれるっていうのは、それだけシングルを出してきたということでもあって。シングル以外にもライブの定番曲やnano.RIPEの代表曲も並べてやってみて、“すごい5年間を歩んできたんだな”と思いました。

●メジャーデビューしてからの5年間を振り返る感じにもなったと。さらに12/20には2015年を締め括る5th anniversary program Vol.4「世界線」を渋谷CHELSEA HOTELで開催したわけですが。

きみコ:初めてワンマンをやってから6年半経って、また同じ場所でっていう。2015年の最後の1本をどうするかということで色々考えた時に、せっかくだからワンマンで締めたいっていう気持ちがあったんです。47都道府県ツアーを全部まわって、赤坂BLITZもやった後に、“ザ・ライブハウス”っていう感じの渋谷CHELSEA HOTELに戻って、初めてやった時の気持ちも思い出して“ワンマンライブ”を噛みしめながらやりたいなっていうところからでしたね。

●実際にやってみた感覚はどうでした?

きみコ:“こんなにも景色が違うんだな”って思いました。昔と同じ場所でライブをしていて、ほとんど変わらないところに立っていて、同じくらいの目線の高さでみんなのことを見ているのに、全然違う景色が見えて。当時の曲もたくさんやったんですけど、同じ曲を歌っていても全然違う気持ちになったんです。昔のことを思い返すというよりも、“成長したんだな”とか“歩んできたんだな”ということを思いましたね。

●色んな面で、節目になる1年だったと。

きみコ:メジャーデビュー5周年という節目の年ではあったんですけど、5周年と言ってもまだまだ始まったばかりだなと。人生で言えばまだ5歳なわけで、まだまだやっていきたいなと思っているところで。ここでいったん振り返りつつも、次に向かって歩いていくためのキッカケをちゃんと作れた年だったかなと思います。

●そんな1年を経て2016年の第1弾として今回のニューシングル『ライムツリー』が出るわけですが、これはTVアニメ『最弱無敗の神装機竜《バハムート》』のエンディング主題歌という話が決まってから作ったんでしょうか?

きみコ:そうですね。M-1「ライムツリー」は、0(ゼロ)から作りました。これだけたくさんのタイアップをやらせて頂いてきた中でも、こういうファンタジーものってあんまりなかったんですよ。今までは日常生活からそんなに離れていないものが多かったから。

●確かに今までのタイアップ作品とはちょっと色が違いますよね。

きみコ:今までは誰か(登場人物)の気持ちに寄り添ったりとか、“私がこの子だったら”と思って書いていたんです。でも今回は今までやってきたことがない感じというのもあって、世界観がつかみきれないところもあって。アニメの制作側からも「好きに書いて下さい」というお話を頂いていたので、“nano.RIPEの2016年1枚目のシングルはどんなものを作りたいか”ということをテーマにした感じですね。“2015年の1年間を終えて自分たちの新しい1歩目となる作品をどうしたいか”っていうことを考えて作りました。

●曲調的にも今までとはちょっと違う、新鮮さを感じました。

きみコ:メロディとアレンジの面で“今までやってこなかったことをやろう”というのをテーマに作ったんです。今回はあたしとジュン(G.ササキジュン)とノブ(Ba.アベノブユキ)の3人が1曲ずつ書いてきた中から、最終的にジュンの曲が選ばれて。3人とも同じようなテーマで書いてきたんですけど、それぞれに違った感じのものになったんですよね。3曲とも今までやってこなかった感じなんだけど、「こういうのもアリだね」っていうものになりました。

●歌詞でも“草木も眠る”や“差し当たって”といった言葉が、今までにはない響きで…。

きみコ:ちょっと昭和なんですよね(笑)。どちらかと言えば、ファンタジーな言葉遣いが多くて。M-2「希望的観測」やM-3「ティーポットのかけら」のほうが(いつもの)きみコらしい言葉遣いだと思います。今回はメロディやアレンジに引っ張られて、出てきた言葉や言いまわしが結構あるんですよ。

●サビの“差し当たって二人旅”っていうのは、どういうイメージなんですか?

きみコ:“差し当たって二人旅”というのがメロディを聴いた時に浮かんできて、その後で何を書こうと思ってもこれしか出てこなかったんです。だから、もう“これをテーマに書け”っていうことかなと思って。

●このフレーズを軸に歌詞を書いていった。

きみコ:結果的に“ライムツリー”というテーマが見つかって、全て組み立て終わったら1つのストーリーにちゃんと収まったんです。ライムツリーは日本だと“菩提樹”と呼ばれている木で、その花言葉が“夫婦の愛”なんですよ。元になったギリシャ神話があって、それについて歌っている歌詞になっています。

●“夫婦の愛”が最終的なテーマなんですね。

きみコ:永遠の愛というか、輪廻転生みたいなことも歌っていて。死後の世界を信じるようなスピリチュアルな人間ではないんですけど、“あったら良いな”とか“あったらどうしようかな”とは考えるんです。そういうものが今回の曲にたまたま乗っかったという感じですね。

●“きみがノドを痛めなくて済むような姿になろう”という歌詞は、きみコさん自身とも重ねているのかなと思ったんですが。

きみコ:そうですね。楽器担当の人はもし使っている楽器がダメになった時も、代わりが利くじゃないですか。もちろん楽器もメンテナンスはしなきゃいけないけど、それがずっと羨ましいと思っていて。自分でボーカルを選んだとはいえ、代えの利かないものって本当に大変だなということを47都道府県ツアー中にすごく思っていたんです。

●ノドは替えが利かないですからね。

きみコ:だから「あたしは生まれ変わったらドラムになるんだ」とか言いながら、ツアーをまわっていて。でも最終的にセッティングが面倒臭いとか色んな理由から“やっぱりピンボーカルだな”っていうところに落ち着いたんですけどね(笑)。そういうことが、この曲の歌詞にも出ましたね。

●そこはブログに書かれていた「あたしであることをやめたいと何度も何度も何度も思ってきたけれど、それでもあたしでしかいられない。自分からは逃げられない。死ぬまで、ずっと」という言葉とも重なってくるのかなと。

きみコ:ワンマンツアーだったからなおさらなのかもしれないんですけど、ライブをやればやるほど“あたしだから、nano.RIPEだから好きでいてくれているんだ”って思えたんですよね。あたしが“nano.RIPEが楽しい”と思っている以上は、生まれ変わってもまたnano.RIPEがやりたいと思うだろうなって。今もし何かの原因で命を突然絶たれるようなことがあったとしたら、たぶん最後にはnano.RIPEがやりたいと思いながら消えていくんだろうなって思うんです。それくらい今はバンドが上手くいっているということでもあるんですけど。

●生まれ変わってもnano.RIPEがやりたいと思えている。

きみコ:『シアワセのクツ』で再録するにあたって「色彩」を歌ってみたら、まるで今書いたような曲だなと思って。7年前くらいの作品(『空飛ぶクツ』2008年)に入っている曲なんですけど、その中でも“何回生まれ変わってもあたしはあたしを辞めないだろう”みたいなことを歌っていたんです。“結局、あたしは何年経っても同じことを言っていっているんだな”っていうのも再確認できたし、そういうことが色々重なった結果が(「ライムツリー」の歌詞にも)出ているんでしょうね。

●カップリングの「希望的観測」はどんなイメージで?

きみコ:これは3年前に作った曲なんです。プリプロも終わっていて、ほぼアレンジまで固まっていた曲なんですけど、今回アレンジャーに福富雅之さんをまたお招きして一緒にやって頂くことになって。福富さんから「良いところは活かしつつ、新しい引き出しをもうちょっと開けてみたらどうだろう?」という提案を頂いて、生まれ変わった感じですね。

●「ライムツリー」の編曲はnano.RIPE名義ですが、カップリングの2曲を福富さんとやった理由とは?

きみコ:「ライムツリー」を録り終えてから“カップリングをどうしようか?”という話し合いをした時に、また福富さんと一緒にやってみようかという案が出て。前回のアルバム『七色眼鏡のヒミツ』(2015年)に収録していた同期の入っている曲を47都道府県ツアーでやってみたら、お客さんの中に違和感なく染み込んでいたんですよ。だったら今また完全なバンドスタイルに、無理やり戻すこともないんじゃないかなと。特にカップリングの2曲はどちらも世界観のある曲なので、他の人のアレンジや意見とか楽器をどんどん入れることで世界観をさらに広げていきたいなと思ったんです。

●それで福富さんと一緒にやることになったと。「希望的観測」では、ノブくんのベースも目立ちますよね。

きみコ:ノブは器用で上手なので色んなことができるんですけど、nano.RIPEが今までやってきた音楽ではノブの引き出しが狭められちゃっていたところがあって。ノブの中では開いているけど、“これはnano.RIPEじゃない”という括りにあった引き出しを福富さんや色んな方が「それもやっちゃって良いんだよ」って広げてくれたんです。

●今までnano.RIPEでは出していなかった、ノブくんの引き出しが今回は開けられた。

きみコ:あと、「希望的観測」は引き算をしてアレンジした曲だったというのもあって。今までだったらこういう曲はフワフワした浮遊感漂うアレンジにしたり、ジュンのギターを重ねてシンセみたいな音を出して、何となく世界を広げることをしていたんです。でも今回は逆に音を引き算していってボーカルもベースもドラムも出るとこは目立たせるっていう感じで福富さんと一緒に考えていったので、それによってリズム隊が効いてきているなと思います。

●引き算のアレンジによって、リズム隊も引き立ったと。もう1曲の「ティーポットのかけら」はアルバム『涙の落ちる速度』(2014年)の初回盤Aに元々、1コーラスだけ入っていたものですよね。

きみコ:今回はそのフルバージョンで、バンドアレンジにしたものですね。1コーラスだけを入れたまま、2年くらいが経過してしまって…。あたしの弾き語りのライブでも、フル尺で結構やっているんですよ。でもそれをみなさんにお聴かせする機会がないまま、ここまできてしまっていたのを今回ようやく入れられた感じです。

●2番の歌詞は1番の続きになっているんですよね。物語の続きがここで初めて明らかになるというか。

きみコ:この歌詞はフル尺があってのものだなと思っていて。それをあえて1コーラスだけ聴いてもらうことで、“結局どこに着地するんだろう?”っていうところで終わっていたんですよね。それに対する、あたしなりの答えを聴いてもらえる機会がやっときたなという感じです。

●最後の“そしてぼくはいつしかきみになるでしょう”はどんな意味合いで?

きみコ:ライブをしていると、(観客のことを)鏡みたいだと思ったりもするんですよ。あたしは自分のために曲を書いているのに、みんなが“自分と同じだ”って思ってくれたりする。人間ってたくさんいて十人十色なんですけど、“きみもぼくも結局は似たようなものだよ”っていうことですね。ライブハウスだと、それがより一層わかりやすいんです。

●リリース後にはまたライブハウスでのツアーも決まっているわけですが、3月からの2マンツアーを組んだ理由とは?

きみコ:ワンマンって、優しいんですよね。自分たちのお客さんしかいないところで、ちょっと甘え過ぎたというか。特にnano.RIPEのお客さんは本当に優しいので、メンバーがどんなにつまらないMCをしても笑ってくれたりする。演奏やテンションはすごく良いんですけど、そういうちっちゃな甘えをここでいったん引き締めようと。短時間のライブで他のバンドを観に来たお客さんたちを取り込むというのを、ライブバンド・nano.RIPEとしては一番の武器としてやっていきたいというのもあったので、再確認のツアーでもありますね。

●メジャーデビューしてから5周年という節目を超えて、nano.RIPEらしさもしっかり維持しつつ、新たな面も見られる1年になりそうですね。

きみコ:『シアワセのクツ』はシングルコレクションというところで“nano.RIPEってこういうバンドなんだ”ってわかるようなものになっていたと思うんですけど、自分たちが思っていた以上にカラーがしっかりあり過ぎたというか。本当に確立されていたので2016年はそれとは別のことを新しくやっていくという挑戦の年にしたいなと思いつつ、nano.RIPEしか出せないカラーも忘れたくないんです。今回の『ライムツリー』を出したことで“新しいnano.RIPEだ”と思う人もたくさんいると思うんですけど、決して変わってしまったわけではなくて。良い意味での“変化”なので、新しいnano.RIPEも見せながら、ちゃんと古き良きnano.RIPEを根底に持った上でやっていきたいですね。

Interview:IMAI
Assistant:森下恭子

 

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