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INUUNIQ

“100年後の25時、2人が帰る場所は…”プロジェクトで挑む、アートな試み

INUUNIQharuka_22011年11月に結成し、様々な編成やアイデアで枠に囚われない活動を続けているプロジェクトチーム、INUUNIQ(イニュニック)。これまで高い演奏力で独自の世界観を表現してきた彼女達が、来る12/2に次なるステージへと足を踏み入れようとしている。それはライブの概念を飛び越えた“SOUND THEATER(サウンドシアター)”という新しいイベントの在り方。13人編成で紡がれる音楽・増設したスピーカーからの音響効果・プロジェクションマッピングを積極的に取り入れた映像などを用い、非現実を現実へと変える試みだ。本インタビューではプロジェクトの中心人物であるVo.竹下氏に、SOUND THEATERの意図と懸ける想いを訊いた。

 

 

 

●今回がJUNGLE LIFE初のインタビューということで、活動スタンスから聞いていきたいと思います。INUUNIQはソロから大人数の編成まで様々なかたちでライブを行っていますよね。

竹下:私と朝香(Pf.)を中心に森澤(Ba.)と沖田(Dr.)を含めた4人が本メンバーなんですが、活動していくうちにプロジェクトというかたちに変わっていったんです。もともとは朝香と2人でやっている時に、どうしても私たちの頭の中で鳴っている音に対してパートが足りないと。それで森澤と沖田をメンバーに誘ったんですよ。そこからさらにイメージが膨らんでいって、今のかたちになりました。12/2に行うイベント“君と僕のかたちのない世界 終章 遥”(以下、“終章 遥”)では「INUUNIQ(orchestra)」という形で13人編成で演奏します。

●今回行われる“終章 遥”では、舞台の音響や映像に特殊なものを使っているんですよね。

竹下:ライブハウスの常設のスピーカー以外に、音響効果として客席の周りに6つ、天井に球体のスピーカーを2つ並べます。そこであらゆる位置から音を飛ばしたりして…。映像に関してはプロジェクションマッピングを使うんです。今回の“終章 遥”は一貫してストーリーがあるんですけど、ミュージカルではなく、今まで作った楽曲を演奏して物語を展開させていきます。だから(ストーリーは)曖昧なものになるんですけど、視覚的、聴覚的な部分を両方使って“SOUND THEATER”として表現したいんです。

●イベントのコピーに“100年後の25時に流れ星で帰るよ”とありますが、これは「25時の宇宙」(1stミニアルバム『魂響(たまゆら)』収録)の歌詞にも出てくるフレーズですよね?

竹下:そうですね。「25時の宇宙」という曲は、傷をおった少年と少女がすべてを捨てて地球を飛び出して逃げるという話なんです。その曲の最後に、“100年後の25時に流れ星で帰るよ”というフレーズがあるんですけど、これはSF映画に出てくるような浦島効果的な話で、「100年の後の25時、誰もいなくなった地球に帰ってもいいけど、帰る気もないよ」と言って2人は出て行くという。

●“終章 遥”の内容は、そういう音源の歌詞とリンクしている?

竹下:例えば“君と僕”という要素が引き継がれたり、繋がっている部分はあるんですけど、全部が全部リンクしているわけではないんです。歌詞というよりはINUUNIQの世界観を表現していますね。

●音源は音源で描いている物語があって、それとは別に“終章 遥”ではINUUNIQの世界観を表現したストーリーがあると。11月にリリースされる1年振りの新作『遥』に収録されている曲にも、そのストーリーに繋がる要素があるんですか?

竹下:そうですね。特にM-2「遥」は、ストーリーの核になる部分ですね。

●そんな『遥』を作り終えてみて、どうですか?

竹下:すごく楽しかったです。“終章 遥”の構想もあったし、メンバーのイメージもはっきりしていたから、今までで一番やりたいことができたんですよ。楽曲的な難しさは今までで一番あったんですけど、それが苦ではなくて「うわ〜、なんでこんな曲作ったんだろう。面白いわ〜」みたいな感じで(笑)。

●自分で課題を作るというか(笑)。

竹下:前作の『音伽(おとぎ)』は空間をたっぷり使った曲が多いのに対して、前にポジティブに飛んで行くような曲を積み重ねるように収録できて。前作との違いができて良かったなと。

●確かに『音伽(おとぎ)』に比べると『遥』は疾走感がありますね。

竹下:私と朝香だけでなくバンドで作り上げた曲も多いので、新しい風が入って違うものを作っていける感覚がありました。自分がもっとアイディアを出していけば、より面白い事ができるという確信も生まれたし、成長が感じられたというか。

●INUUNIQはいわゆるバンドの活動とは少し違いますよね。“良い音楽を作って良い歌を歌う”っていうことだけではなく、活動をアートとして捉えているところが強いように思います。

竹下:そうですね。でも、アートに寄っているからといって突き放したくはないんですよ。どうしても「分かる人にしか分からない」って言われがちですし、「100人いたら99人嫌いな可能性もある」と言われたこともあります。

●おお…そこまで言われますか。

竹下:でも、自分たちがやっているような音楽を聴かない人から「自分にも分からない感情に満たされて心が動いて泣いてしまった」って言ってもらえた時もあって。そこで「こういう感想を増やしていけたら、それが一番良いな」って思ったんですよ。

●なるほど。そうやってプロジェクトとして活動の幅が広げていく中で、目指しているものはありますか?

竹下:これからは“総合芸術”としてINUUNIQというプロジェクトを作り上げていきたいです。“終章 遥”はそのきっかけであり、今までの集大成です。“総合芸術”としてのINUUNIQはここからスタートすると思っています。

Interview:馬渡司
Edit:森下恭子

 

 

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