G./Vo.新藤雄介が創り出す、性別や年齢を超越し様々な表情を見せる唯一無二の世界観と、一聴でリスナーの心を掴むキラーフレーズ、そしてシンプルなスリーピースよりはじき出されるタイトなサウンドとが融合したネオロックンロールバンド、昴-SUBARU-。JUN☆KOBA(from.JUN SKY WALKER(S))・THE SESELAGIES・THE SLUT BANKS・CURIOといった歴戦の雄達と共演を果たすなど、その勢いを加速させている。ロックンロールを基調に、様々な要素の音楽を取り入れた"ネオ"ロックンロールを体感せよ!
●昴-SUBARU-はこれまで何度かメンバーの入れ替わりがあったそうですね。テイストとしてはロックンロールの空気を感じますが、音楽性も昔とは変わってきましたか?
新藤:そこにこだわっているわけではないですが、音楽は一貫していますね。いろんな音楽をつまみ食いしてきているんで、ロックンロールを基調に様々なテイストがぽんぽん入っているかなと思います。
藤原:曲の合間に「こういうのがあったら面白くない?」と思うものをどんどん加えていくんですよ。練習していたらいきなり知らないフレーズを弾き出して「これええやん!」とか言い出す時もあります(笑)。
●フィーリングで決まる事もあると。
新藤:例えばM-5「カメレオン」はフィーリングですぐに出てきたし、M-3「裸のランチ」も歌詞までパパッとできました。スタジオで適当に歌っている時に出てきたフレーズでハマるものがあれば、そのまま採用するんですよ。だから「裸のランチ」では“踏ん反り返って「yeah,yeah,yeah,yeah」”とか、意味がわからない歌詞があるんですよね(笑)。
●そうだったんですね! この曲は同名の小説や映画があるので、それがモチーフになっているのかと思っていました。
新藤:上手い事結びつけました(笑)。歌詞としてかっちりした意味を作るより、カッコいいセンテンスを書けたらなと思ってやっています。その中で、映像が浮かぶような曲にしたいんです。
●作品タイトルでもあるM-1「ヌーベルバーグの夜に」は、最初からイメージが決まっていたんですか?
新藤:この曲はありました。それに部分的にフレーズが出てきた時点で「これは絶対にリードトラックにできるくらい良い曲になるから、アルバムに入れよう」というのは決めていて、レコーディング2週間前くらいから各々のパートを作っていきました。その時はまだ歌詞も無かったから、レコーディング前日に考えたんですよ(笑)。
山内:短期集中で、作り出してから完成までの密度が濃かったですね。
●かなりの自信作だったわけですね。でも山内さんと藤原さんは、まだ完成形のイメージが見えていない状態で作るのは難しかったのでは?
藤原:めっっっちゃ難しかったです。しっかりしたイメージを持ってる割に、説明がふわっとしてるんですよ。「フランス映画のイメージで」とか、「ここで波がきます」とか。
●なるほど。ひとりは明確なイメージを持っているから、そこに至らないと完成できないという(笑)。
藤原:そうなんです。最終的にフレーズは出てきたんですけど、今度は叩くのがすごく難しくて(笑)。
●ドラムは相当苦労されたようですが、ベースはどうでしたか?
山内:ベースは割とすぐでしたね。一発で「あ、いいじゃん」ってなって。
●そこはスムーズだったんですね。作品タイトルには様々な作品のオマージュを感じる部分もありますが、これまで影響を受けてきたものはあるんですか?
新藤:明確にこれの影響を受けているというよりは、今まで見聞きしたもの全てですね。本や映画はよく見る方でしたし、小さい時からエレクトーンを習ったり中学ぐらいにアコギを触り出したりと、音楽が近くにある環境だったので。ジャンルもフォークやブルース、アイドルの曲やビジュアル系も聴いていたので、むしろ明確なルーツはわからないです(笑)。多種多様なテイストは、そういうところから入っていると思います。
山内:私はおばあちゃんの影響で、演歌や歌謡曲をよく聴いていました。盛り上がる感じよりは、割と暗い曲の方が多いかな。性格も暗いので…。
新藤:でもせっちゃん(山内)がたまにスタジオで遊びでメロディや歌詞を作ると、絶対に明るい曲になるんですよ。結構ポップだと思うよ。
藤原:しかも歌詞がすごくキャッチーで耳に残るんですよ。やたら食べ物系の曲が多いんですけど、「オムライスの歌」とか頭から離れなくなる(笑)。
山内:そう? じゃあポップってことで。
●そのノリの良さは確かにポップです(笑)。
藤原:私は逆に音楽と縁のない家庭で育っているんで、一般的に流行っていたものを聴いていたくらいでしたね。ドラムを始めたのも、元々ダンスをやっていたからリズム感を鍛えるのに良いかなと思ったんです。純粋に叩くのが楽しくなってからは、ジャンルにこだわらず誘われたら何でもやってました。
●全員が間口が広いというか、いろんな音楽を受け入れられる要素を持っているんでしょうね。
新藤:ロックンロールにいろんなジャンルを取り込めるバンドって中々いないだろうし、こういうバンドは自分たちにしかできないだろうなという漠然とした自信はあります。リードトラックの「ヌーベルバーグの夜に」は、ナチュラルにそういう曲ができた結果だと思いますし。
●きっとそれがバンドのキャッチコピーである"ネオ"ロックンロールになっているんですね。今作を作る際、何かテーマってあったんですか?
山内:全体のテーマはないんですが、自然とライブっぽさが出たように思います。このままのセットリストでライブができるような作品ですね。
●今作を引っさげたツアーも決まっているんですか?
新藤:ツアーの初日が11/11で、バンドの周年イベントと合わせてあります。毎年アコースティックからポップまで、ジャンルレスのメンツでバチバチな試合になるので、共演者にも注目してほしいですね。もしかしたら、せっちゃんがベース弾き語りをするかもしれないし(笑)。
山内:ここでそんなこと言ったら、本当に実現しそうだから止めて(笑)。
Interview:森下恭子