ダイドーブレンドコーヒーのCMソングに抜擢されたメジャーデビュー曲「誓うよ」が現在、全国で鳴り響いている沖縄の6人組バンド・ JaaBourBonz。
偶然の出会いから一気にビッグチャンスをつかんだ彼らが、その勢いのまま1stアルバムをリリースする。インディーズ時代から全 国各地のフロアを盛り上げてきたアゲアゲのパーティーチューンから、真摯な言葉と優しいメロディが心打つ“聴かせる”楽曲まで、彼ららしさの詰まった今 作。
不遇の日々も乗り越えてきた“今”の6人が鳴らすサウンドは、もっと大きな夢へと続く道のりを照らし出しているようだ。
「1人で頑張らないで、出会いを求めてほしいんですよ。支えてくれる人たちとたくさん出会うことで、夢に近付けると僕らは思っているから」
●遂にメジャーデビューアルバムが完成したわけですが、制作進行はかなりタイトだったみたいですね。
TAKANO:メジャーデビューより先にまずダイドーブレンドコーヒーのCMタイアップが決まって、そこから何もかもがすごいスピードで決まっていったんです。だからアルバムのレコーディング期間も、本当に短くて…。
YASU:沖縄に帰ってまたすぐ東京に来て、という繰り返しでしたね。本当にバタバタしていて、自分がどこにいるのかもわからないくらいでした。
●曲自体はメジャーデビューが決まる前から作っていたんですよね?
YASU:曲はあったので、その中からどれを今回のアルバムに入れるかという感じでしたね。ライブで既にやっているのでファンは知っている曲もあれば、今作で初めて世に出す曲もあって。
KO-G:デモ段階なら、もっとたくさんあったんですよ。
●その中から曲を選んだ基準は何だったんですか?
YASU:全体のバランスも考えながら、今入れたいと思う曲を選びました。僕らは夏っぽい曲も多いんですけど、それはこのタイミングじゃなく次回に出せたらということで残していて。
●リリース時期が冬というのもあって、あえて夏っぽい曲は外したんですね。
TAKANO:逆にM-9「ビジョン」は、今しか歌えない曲だと思ったので収録したんですよ。今もあまり変わらないんですけど、インディーズ時代の僕らはバイトもしながら、炊飯器を持って機材車でツアーを回ったりしていて。でも夢を追いかけている人って、絶対にそういう大変な時期を過ごしているんですよ。この曲は今の自分たちのことでもあるので、世に出すんだったら今しかないなと。
●自分たちのリアルな今を映し出している曲。
TAKANO:もし出すタイミングが違えば、歌詞も変わっちゃうだろうなと。今リリースして今後もずっと歌い続けることで、周りが育ててくれると思うんです。
●歌詞の中でも同窓会で10年ぶりに会うという情景が描かれていますが、たとえば高校を卒業して10年後くらいの年齢ってちょうど夢を追い続けるかどうか迷う時期でもありますよね。
YASU:不思議な偶然なんですけど、先月にちょうど同窓会があったんですよ。高校を卒業して以来10年ぶりくらいに会う友だちがスーツを着こなして、喋り口調もちょっと敬語混ざりになっていたりして、本当に「ビジョン」の歌詞と同じ状況だったんです。この曲をレコーディングする前に同窓会があったというのも、やっぱり流れがあったのかなと。
●本当に今しかないというタイミングだった。
YASU:その同窓会で会った友だちが「お前らがそうやって音楽を続けていることを誇りに思うし、俺たちにとっても夢なんだよ」と言ってくれたんです。レコーディング前にその同窓会があったことで歌詞のイメージにグッと入り込めたし、僕の中ではめちゃくちゃデカい出来事でしたね。
TAKANO:「ビジョン」はライブでもよくやっているんですけど、対バンしているバンドや仲の良い友だちはみんな僕らと同じ年頃なんですよね。だから、この曲はお客さんだけじゃなく、身近で一緒に頑張っている仲間に向けても歌っているんです。
●この曲以外で既にライブでやっている曲は?
YASU:M-6「虜ロール」とM-10「お疲れ様でした!」はよくやっていますね。特に「虜ロール」はみんなで踊って一緒にワイワイできる曲なんで、ライブでも盛り上がっています。
●M-2「Say Yeah!」もライブで盛り上がりそうな曲ですね。
TAKANO:かなりアゲアゲの曲なので、ライブでやるのが楽しみですね。これとM-5「Dancing Queen」、M-7「島レゲ」はライブでもまだやっていないんですよ。
●打ち込みのトラックを使った「Dancing Queen」は、今作でもちょっと異色な感じがしました。
TAKANO:「Dancing Queen」は今作の中でも、聴いた人が"えっ?"と思うような曲でしょうね。みんなと一緒に歌って踊れる曲にはなっています。
●「島レゲ」は故郷の沖縄への想いを歌っている?
YASU:この曲に関しては結構前からあったんですけど、大事に温めていたんです。実は僕らには元々、沖縄のことを歌った曲が少ないんですよね。「島心~しまぐくる~」(2ndアルバム『年中無休』収録)はツアーに出て改めて沖縄を振り返った時にできた曲だったんですけど、「島レゲ」も沖縄の大切さがわかってきた今だからこそ歌える曲なのかなって。この2曲には違った感じの濃さやインパクトを持たせたかったんですよ。
TAKANO:『年中無休』を出すときにも、その2曲のどちらを入れるかメンバー間で話し合って。その時に「島レゲ」は自分たちがもう少し成長してから出そうと決まったんですけど、ちょうど今のタイミングにばっちりハマりましたね。
●「島レゲ」はメッセージ性の強さを感じます。
TAKANO:「島心~しまぐくる~」より、もっと奥に踏み込んだ内容になっていますね。
YASU:沖縄って街中の川はゴミが捨てられてあったりして、すごく汚いんですよ。自分は大学生の時に東京から沖縄に行ったので、ナイチャー(本土の人)とウチナンチュ(沖縄の人)と両方の目線を持っていて。でも別にどっちだからとかは関係なく、"島が好きな人だったら同じ気持ちで共に沖縄のことを思えば、変わっていくんじゃないかな?"っていうことを描きたかったんです。
●他にも沖縄に関する曲はある?
YASU:M-3「冬に咲く向日葵」ですね。沖縄の中城(なかぐすく)というところでは、1月頃に向日葵が一面に咲くんですよ。そんなに大きい花ではないんですけど、すごく強さを感じて。これは沖縄にいるからこそ書けた曲だと思いますし、自分自身も大好きなんです。
●太陽と向日葵に、人と人との関係性をたとえている感じの歌詞ですよね。
YASU:"どこかしらで支えてくれている人がいるから頑張れる"っていうのが、太陽と向日葵の関係だと思うんです。遠くから太陽が照らしてくれる光のおかげで、向日葵は咲くことができる。でも、もしかしたら太陽も向日葵が咲くことを必要としているのかなと思って。向日葵が咲いてくれるから、太陽は頑張って光を照らそうとしているのかもしれないから。
●お互いの存在がお互いを支えているというか。
YASU:そういう関係って、人間でも絶対にあると思うんです。向日葵って1つの大きな花に見えるんですけど、実は小さな花がたくさん集まってあの形になっているんですよ。それって小さな夢がいっぱい集まって、1つの大きな夢になるのと同じことかなって。初めてライブでやった時も反響が大きかったし、自分自身も歌詞について"よっしゃ!"と思えた数少ない曲の1つですね。
●歌詞としても会心の出来になっている。
YASU:色々と考えて苦しみながらもようやく書き上げたら、メンバー全員が第一印象で「良いね」と言ってくれて。
TAKANO:まずタイトルを見た時に、"え!?"っていう感じで目が惹きつけられると思うんです。
KO-G:タイトルを見た瞬間に伝わるものがあったし、僕もすごく好きな曲ですね。
●アルバム全体として見ると、じっくり聴かせる曲とライブで盛り上がれそうな曲というJaaBourBonzの魅力がどちらも伝わる作品になっていると思います。
TAKANO:今回のアルバムはすごくバランスが良いんです。メジャーに行っても根本は変わらないけど、新しいことにも挑戦していくというスタンスも見せられていて。JaaBourBonzの"今まで"と"これから"が両方入っているアルバムですね。
YASU:新しい部分も取り入れつつ、バランスのとれたアルバムになったと思います。今の僕らを知ってもらうのに、ベストな10曲ですね。
●自分たちの"今"が詰まっている。
YASU:写真にその時の姿がそのまま写るのと同じように、今現在できることとやりたいことがそのまま詰まったアルバムだと思います。
TAKANO:毎回、今のベストを出していきたい気持ちがあって。どの曲をシングルにしてもいいと思えるくらいだし、本当にベスト盤みたいなアルバムです。
●タイトルの『JaaLBUM 01』は、"JaaBourBonz"と"ALBUM"をかけてあるんですよね?
TAKANO:僕とYASUがそれぞれ考えてきたタイトルがこれで、全く一緒だったんですよ。2人とも良いタイトルだなと思っていたんですけど、事務所に伝えたら「ふざけてんのか!」って言われました(笑)。
一同:(爆笑)。
TAKANO:しかも考えた僕たちにじゃなくて、なぜかKO-Gに電話がかかってきたんですよ(笑)。
KO-G:僕も上手い言い訳が浮かばなかったので、とりあえず「楽しいタイトルですよね~」と言っておきました(笑)。
●(笑)。でも最終的にこれに決まったのはなぜ?
YASU:別にふざけているわけじゃないし、良い意味でのユルさがあって良いんじゃかなと。僕らがカッコ良いタイトルを付けるのも何か違う気がして。
TAKANO:メンバー間でも散々話し合ったんですけど、真面目さは曲で伝わるはずだからタイトルくらいは遊ぼうという結論になりました。
●JaaBourBonzの魅力は、遊び心や良い意味でのユルさがあるところですからね。
TAKANO:逆にそれがなくなったら、JaaBourBonzは終わりだと思うから。このタイトルはすごく良いし、これしかないという感じでしたね。
●今作を完成させたことで、自分たちの中でもさらに夢が広がったんじゃないですか?
TAKANO:僕たちが今まで一番迷惑をかけているのは、やっぱり親なんです。だからまずは自分の親を安心させたい気持ちがあって。紅白歌合戦に出たら、親の目にも"頑張ってるんだな"っていうのが届くと思うんですよ。国民的な音楽番組だから誰にでも伝わりやすいし、そういうみんなが認めてくれる舞台に出ていきたい。まずはそれが今の夢ですね。
●これからその夢に向かって進んでいく。
TAKANO:夢に向かって頑張っている人たちはいっぱいいると思うけど、そういう人たちにもメッセージを届けたいですね。1人で頑張らないで、出会いを求めてほしいんですよ。支えてくれる人たちとたくさん出会うことで、夢に近付けると僕らは思っているから。
●ツアーでの新たな出会いも楽しみですよね。
TAKANO:"今までの僕たち"と"これからの僕たち"が詰まったアルバムをみんなに聴いてもらって、ツアーでも一緒に遊びたいです。今作を聴いて"真面目な曲も歌うんだ"と思った人にはライブに来てもらって、"やっぱりバカなんだ"と思ってもらえたらいいかな(笑)。
YASU:このアルバムの曲はみんなと一緒に育つものだと思っているので、1人でも多くの人に聴いてもらってツアーでぜひ僕らと一緒に育ててもらいたいですね。生活の一部にもなれるような曲たちだから、今作を聴きながら生活もしてほしい。僕ら自身もいつでも人の隣にいるようなバンドでありたいと思っているので、今後もよろしくお願いします!
Interview:IMAI
Assistant:森下恭子 / HiGUMA