2009年に結成し、関西を中心に活動するインストファンクバンド、ナチュラルキラーズがニューミニアルバム『ニューライト』を会場限定でリリースする。
インストバンドへの注目が高まる中、ルーツミュージックに忠実なアプローチだけではなく、キャッチーなメロディとアグレッシブなパフォーマンスを武器に関西のライブハウスシーンを席巻する彼ら。ガン細胞やウイルスを補食することで知られる“ナチュラルキラー細胞”という正義の細胞から名付けられた彼らが、ファンキーに、そしてハッピーに音楽シーン全体を明るく照らす『ニューライト』となる!
●メンバー表記が面白いですよね。
てっちゃん:普段呼び慣れている名前が一番いいだろうということで、最近この表記にしたんです。ちなみにチャノキは名字で、本名なんですよ。
●camachoは名字ではありませんよね?
camacho:さすがに違いますね。メキシコ辺りにいそうな名前ですけど(笑)。
さっこ:グアムの知事の名前がカマチョなんですよ! そこから名付けたわけではないんですけどね(笑)。
●いきなり脱線してしまいましたが、インストバンドを始めたきっかけは?
てっちゃん:メンバーを集めたのは僕で、もともと同じ音楽の専門学校に通っていたんです。歌モノとかブルースも大好きなんですけど、僕というフィルターを介して生まれる楽曲が、たまたま今のナチュラルキラーズの音楽だったというだけなんです。やっぱりリズムやグルーヴを感じる、踊れる音楽が大好きなんですよね。
●バンド名の"ナチュラルキラーズ"は、「ウイルスを退治してくれるナチュラルキラー細胞からつけました」ということだったので、てっきり理系の人がいるのかなと勝手に思い込んでいました。
チャノキ:理数系は全員苦手ですね(笑)。
てっちゃん:誰かが専門的に勉強していた訳ではないんですが、僕がウィキペディアマニアなんですよ(笑)。知らないことがあったらすぐに調べたい性格なんでいろんなことを調べてきて、初ライブ当日に"ナチュラルキラーズ"でいこう! と決めました。言葉自体もカッコいいし、意味も持たせられたのでよかったと思います。
さっこ:ライブするまでは"てっちゃんBAND"みたいな感じだったもんね(笑)。
●作曲のほとんどは、てっちゃんがされているんですか?
てっちゃん:そうですね。譜面を書いて渡すこともあるし、「メトロ」なんかはストリートで叩き上げられた曲ですね。
●みんな20代前半ですが、どういった音楽を聴いてきたのか気になります。
じゅんじゅん:好きなギタリストはPaul Jackson, Jr.というジャズ・フュージョン系の人だったりするんですが、自分が演奏するということに限って言えばジャンルは関係ないですね。自分が気持ちよくなれるような、勢いのあるギターが弾ければ最高だと思います。
てっちゃん:魂で弾く感じやね。僕もそこは大事だと思うし大切にしたいと思うな。
●ルーツミュージックに近い音楽だと思うんですが、特に意識されていることはあるんですか?
てっちゃん:インストファンクバンドと掲げてはいますが、FUNKに特化しているつもりは特にないんですよ。僕が作った音楽が、他人からすればFUNKという音楽に分類されているというだけなんです。
●単純にFUNKといっても、ジェームスブラウンもいれば、P-FUNKやEarth, Wind & Fireみたいなバンドもあるし凄く振り幅は広いですよね。
てっちゃん:そうなんですよね。僕たちは日本に住んでいるわけだし、ジェームスブラウンやTower of Powerの音楽をそのまま演奏しても受け入れられにくいと思うんです。FUNKのカッコ良さを知ってもらう為にも、キャッチーなメロディを盛り込んだりパフォーマンスを意識したりすることで、FUNKを全く知らない人たちへのパイプ役になろうという想いはありますね。
●楽器の数も多いし、作曲も演奏も大変じゃないですか?
てっちゃん:みんな演奏が上手なので大丈夫です。
さっこ:それ自分で言っちゃうんや(笑)。
てっちゃん:曲をまとめるのは簡単なんですが、あとは細かい微調整ですよね。曲はライブ毎に変化していくし、成長していくんです。曲を作っている側としたら曲は我が子みたいな感覚ですね。
●なるほど。ナチュラルキラーズが目指しているところは?
てっちゃん:世界!
チャノキ:ミュージシャンなら楽器の造詣が深いので、インストバンドを聴くのに抵抗は無いと思うんです。でも普段から歌モノしか聴いたことがない人にとっては聴き慣れない音楽かもしれないですが、そういう人たちが興味を持ってもらえたら嬉しいし、そういうシーンを作りたいですね。
さっこ:メロディ楽器である管楽器が私1人だけなんで、インストバンドを観たこと無い人たちにも、ボーカルと同じ立ち位置として受け入れられたら嬉しいです。
てっちゃん:ナチュラルキラーズがきっかけで、日本でいきなりジェームスブラウンが流行りだしたら面白いと思うんです。やっぱりルーツは大事にしていますし、そんなことが出来たらシブいですよね(笑)。
●ミニアルバム『ニューライト』がリリースされるわけですが、かなり踊れる内容になっていますね。
てっちゃん:クールな曲と、突き抜けた曲の両方とも楽しんでもらえたら嬉しいですね。ライブでも絶対に盛り上がる仕上がりになっているし、僕らも盛り上げたモン勝ちやと思っているんで、早く一緒にライブで揺れたいです。
チャノキ:写真の衣装にも表れているんですが、全員のソロパートもあって基本的に全員目立ちたがり屋なんですよ。
●大阪っぽくていいと思いますよ(笑)。「メトロ」にはギターソロがフューチャーされていますし、メロディのリフレインが強烈で勝手に体が動き出します。
てっちゃん:ギターソロはじゅんじゅんの見せ場だし、リズムもファンキーだし、お酒を飲みながら踊ってもらいたい曲です。
じゅんじゅん:ソロの時は前に出るのでお客さんと近い場所で演奏することになるんですが、やっぱりテンション上がりますね。
●「九龍」はFUNKというよりもサイケな感じもするしクールな曲。
てっちゃん:「九龍」はヒップホップっぽい部分もあるし、クールな楽曲の代表ですね。インストだけど曲にはちゃんとテーマがあって、ぬくぬくと過ごしている僕らのすぐ隣では殺伐とした環境があるんだよってことと、そうは思っても口に出して言うだけなら"机上の空論"だよという、言葉遊びも含んでいます。どんなことでも、口先だけではなくアクションを起こさないとダメだよってことが言いたかったんです。
●アルバムタイトル『ニューライト』にも意味がありそうですね。
てっちゃん:僕たちのようなジャンルって、誰しもが知っているわけではないけど「みんなの心を照らす光のようなバンドになりたい!」という想いを込めました。今年は野外でイベントもしてみたいし、いろんなことに挑戦する年にしたいので、楽しみにしていてください。
Interview:上田雄一朗