2011年上半期は、片山ブレイカーズにとって地獄のシーズンでした。
バンドの演奏力、創造力、知識や音楽に対する嗅覚。それは年数を重ねるごとに成長していくもんや、と信じてた。
「ああ、何かが減ってんなぁ」と気づいたのは春の終わり頃。メンバー間の関係性が変わるとか、単にだらけてるとかではなく、バンドのルーティンがマンネリ化してきた。そら、そうよ。同じ事もう10年以上やってんねんもん。
今まで無かった方が不思議よね。年の始めにシングル三部作を発売する事だけは決めていたが、とてもそれに向かって動いてる雰囲気では無かった。
そんなこんながありまして、我々は次の事だけを決めました。
①取り敢えず、シングルは無理矢理やりきる
②ツアーを止めない
③曲出来たら即ライブでやる
昔は当たり前の話やったのにこの感覚忘れてました。新曲をすぐライブでやる。そして、怒濤のツアーの中、日に日に曲が育っていくのです。アレンジが変わり、構成が変わる。歌詞もメロディーも変わってしまう。ライブを意識して曲を作り、録音を意識してライブをする。そうやって封じ込めていったのが、会場限定シングル三部作で御座います。重たい雰囲気が、ライブによって一変する。片山ブレイカーズは何年経ってもそういった類いのバンドの様です。恰好いいでしょ。
8月には第一弾『終末のクレイジー』、11月には第二弾『PORNO/ACTION』。そして、現在のツアーから第三弾シングル『けのけもののけ』をリリース。前作のアルバム『サカサマデアル』はスタジオワークに時間を割いた作品だったのに対し、この三作品は全てライブを意識した。サウンドも5人だけで出来る事に拘り、二作目以降は地元京都でのレコーディングを開始した。特別に変わった録音をした訳ではない。シンプルに今の片山ブレイカーズを落とし込んだ。
現在も我々は三作目『けのけもののけ』のツアー中であります。つまり、現在進行形で新曲が変化しており、ライブごとにイメージが膨らんでいくのを実感しながらツアーを回ってます。4月後半からは福岡を皮切りに、名古屋、大阪、東京とワンマンツアーがスタート。そこに至るまで、新しい曲が、演奏力が、センスが、駆け引きが、どこまでバンド力が成長するのか…今は、自分たちでも楽しみでならない。
2012年上半期は、片山ブレイカーズにとって飛躍のシーズンになるでしょう。
会場で目の当たりにしてくれ。よろ。
文:片山尚志