音楽メディア・フリーマガジン

Kidori Kidori

気心知れた仲間たちと共に生み出す、最高の空間がそこにはあった

2015/2/25@新代田FEVER “1989”
Kidori Kidori / フレデリック / go!go!vanillas

encoreKidori Kidoriが2015年、新たにスタートさせる自主企画“1989(イチキュウハチキュー)”。平成元年(1989年)生まれのメンバーをメインに活動するアーティストを対バンに迎えての新世代イベント、その第1弾が新代田FEVERにて開催された。今回のゲストはgo!go!vanillasにフレデリックという、勢いに乗る2組だけに会場は超満員の観衆で膨れ上がる。2バンドがそれぞれに“らしい”ライブでフロアの温度を上昇させた後、いよいよKidori Kidoriの登場だ。おなじみのテーマに合わせて、まずは川元直樹(Dr./Cho.)がステージ上に飛び出して、客席を煽っていく。

どこか“おとぼけ”感のある佇まいから、演奏が始まると空気が一変するのもKidori Kidoriの大きな特徴だろう。切っ先鋭いエッジィなギターがザクザクと切り裂くと、オーディエンスは一気に熱狂の渦へ。「もっと来い!」と言わんばかりに、フロアに向かって吠えるマッシュ(Vo./G.)。「Say Hello! (I'm not a slave)」「Everytime I See You」と立て続けに叩き込んでいく。そして「原作のマンガが1989年に連載されていた映画の主題歌」というマニアックな情報入りのMCに続いて、「Take Me Home, Country Roads」(John Denver)のカバーを披露。

誰もが知っている名曲をパンキッシュにカバーするセンスも、ロックのマナーを解する彼ら一流のものだ。後半の日本語パートでは川元が歌うのに合わせて、会場からも大合唱が起こる。さらにはMCを挟んでの「ホームパーティ」で、フロアはまさしくハッピーなホームパーティ状態に。「みんな踊れるかな?」という呼びかけに続いて、とびっきりのダンスチューン「Watch Out!!!」。続いて「メタろうぜ! かかってこい!」という叫びからの「Mass Murder」と、ヴォルテージはどこまでも上昇していく。「めっちゃ楽しいやん!」というマッシュのMCは、本当に心の底から出た言葉だっただろう。気心知れた仲間たちと共に生み出す、最高の空間がそこにはあった。

「Come Together」で本編を終えた後、アンコールの声に応えてステージに再び登場したKidori Kidori。普段はアンコールをあまりしないと語りつつも、「今回はすごく楽しかった。今日のことを忘れない」というマッシュの言葉がこのイベントの充実度を物語っている。自分たち以外のバンドを目当てに来た観客も含めて、会場内にいる全ての人を巻き込んで生み出した一体感。そこに、彼らの大いなる成長と進化の一端を見た。らしさもありつつ、今までにない曲調の新曲「なんだかもう」で新たな方向性を垣間見せると、最後は他のバンドのメンバーをステージへと呼び込む。全員で「テキーラと熱帯夜」を和気あいあいと演奏し、盛大に幕を下ろした一夜はいつまでも幸福感を伴って記憶の中に残るだろう。

TEXT:IMAI

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