「“Warped Tour”で目の当たりにした奇跡を日本のライブハウスで起こしたい」という主催者の想いから2010年にスタートしたライブイベント“REDLINE”が放った新たな化学反応は、これからのラウドシーンを作り上げていくニューエイジ4バンドによるスプリットアルバム『REDLINE RIOT!!』。同作に参加したSurvive Said The Prophet、wrong city、NOISEMAKER、Crystal Lakeという4組は、次代の旗手と言っても過言ではないだろう。1/10の札幌BESSIE HALLからスタートし、7本目となったツアーファイナル。同じメンツでライブを重ねてきたバンド同士が火花を散らすようにして作り出すグルーヴの凄まじさと、同世代ならではの剥き出しの気迫を全身で感じるために、恵比寿LIQUIDROOMには多くのキッズが詰めかけて熱気を充満させていた。
まずステージに登場したのはSurvive Said The Prophet。全国流通音源が『REDLINE RIOT!!』という彼らのキャリアに似合わぬ堂々とした佇まいに観客は一気にヒートアップし、たくさんの腕が振り上げられる。5人が勢いよく音をぶつけ合い、Dr.Sho以外の4人がステージ最前まで身を乗り出すほどのアグレッシブなライブに歓喜の声があがる。Vo.Yoshが「“RIOT”は“暴動を起こす”という意味がある。俺たちはラウドシーンで、音楽シーンで、そういう空気を作っていきたい!」と叫び、「If You Really Want To」の壮大かつ深遠なメロディで包み込む。その後「Mirror」「Uplifted」で大きな一体感を作り出し、生のストリングスを交えた「I Guess I won't Tell」の深遠なる世界観で魅せる。勢いだけではなく、表現力だけでもない。魂に訴えかけるようなそのステージは、オーディエンスの胸をどこまでも熱くした。
たくさんの手拍子が降りしきる中、「Perfect Duty」でライブをスタートさせたwrong city。タイトにギュッと締まったアンサンブルから放たれる爆音がたまらなく心地よく、楽曲自体が持つエネルギーの量が半端ない。Vo.Victorが「踊れ!!」と煽り、情熱的なビートでオーディエンスの気持ちをシャッフルした「Your Warmth」、キャッチーなメロディで客の身体を上下に揺らす「Love Goes Over」と目まぐるしく展開していくステージに、会場は大盛り上がり。Victorが「自分の居場所がなくて、どうしたらいいか悩んでいたときの曲。だけど今は居場所がある! だから此処で力いっぱい歌いたいと思います!」と「My Shape」で感情を爆発させる。最後の「The Everything」まで1秒たりともオーディエンスを飽きさせないステージはまさに全力疾走。汗にまみれたVictorの「時代を作ろうぜ! 音楽を愛している俺たちと、ここに居るみんなで!」という言葉がとても印象的だった。
Vo.AGが「東京!」と叫んでライブをスタートさせたNOISEMAKER。初っ端の「THE NEW ERA」からAGが客席エリアに身を乗り出したテンションはフルスロットル。フロアが揺れ、4人が繰り出す楽曲に身を任せて客が飛び跳ねる。そのスケールの大きなラウドロックは、オーディエンスの様々な感情をすべて包み込み、客席では大きなサークルモッシュが沸き起こる。AGは人を惹き付けるカリスマ的な魅力でライブを引っ張っていく。ダイバーが興奮に身を投じ、客席からステージに向けられる歓声の数がどんどん増えていく。「でっかい花火を上げるにしても、誰かが火を点けなくちゃ花火は上がらない。火を点けるのはPCの前にかじりついてインターネットやっている奴らじゃなくて、こうやって息を切らしてライブハウスで暴れているお前たちだ」とAGが叫ぶ。最後は大きなコール&レスポンスでタフな一体感を作り上げた「SOMEBODY WANTS DAYS YOU CLOSE」。“REDLINE RIOT TOUR 2015”ファイナル、いよいよ手がつけられなくなってきた。
そしてイベントはいよいよ大詰め。Crystal Lakeの5人が一斉に登場し、Vo.Ryoの号令で「Matrix」がスタート。この4バンドの中で最も攻撃的なステージに、フロアはカオスへと突入する。聴く者の心臓に太くて鋭い杭を打ち込むかのような「Ups&Downs」、まるで頬を何度も平手打ちされているかのような心地いい轟音が胸に響く「Rollin'」と、キラーチューンを惜しげも無く連発する。Ryoが「お前ら! 最後に暴動を起こせ!!」と叫び、テンションはMAX。汗だくのオーディエンスは疲れを一切みせずに暴れ、共演者たちがステージダイヴを繰り返す。本編最後はRyoが客の上に乗ってスタートさせた「Twisted fate」、そしてアンコールは4バンドのヴォーカルが乱入し、ステージの上も下も関係なく、出演者と客の境界を取っ払って全員が感情を爆発させた「The Fire Inside」で大団円。19時にスタートし、終わったのは22時すぎ。3時間が一瞬のことのように感じる濃厚で濃密な一夜だった。
新たなムーブメントを作るのは並大抵のことではないだろう。しかし、エネルギーと熱い想いに溢れる彼らなら、きっと何かを起こしてくれるに違いない。そう感じさせてくれた“REDLINE RIOT TOUR 2015”。4バンドのこれからが更に楽しみになった。
TEXT:Takeshi.Yamanaka