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PEACE$TONE

何度でも立ち上がる。新たな旅立ちのための“Door's”

アー社前作『ダブル・ファンタジー』のリリースから約3年半、待望の新作『Door's〜夢の住人〜』を発売するPEACE$TONE。彼らのルーツであるブリットポップ色の強い、キャッチーで力強いアルバムとなった今作は、1つの時間軸を中心に様々なストーリーが綴られた2部作となっている。その第1部となる今作は、過去を思い返す楽曲が中心に構成された、いわば序章とも言える作品だ。今作から再び始まるPEACE$TONEのストーリー。JUNGLE LIFE初となるインタビューは、今作のこと、そしてバンドという枠組みを越えつつある今の活動スタンスについて、Vo.TERRAとG./Prog.やまんchangに語ってもらった。

 

●2011年の『ダブル・ファンタジー』から約3年半ぶりの新作『Door's〜夢の住人〜』がリリースされますね。今回は2部作になっているとのことですが。

TERRA:そうですね。前作のリリース後はずっと制作に入っていて。そこで作った曲を、以前やっていたラジオ番組で掛けたり、ライブでやってみたりしたんです。その中で好評だった曲が今作に収録されたんですけどーー。

やまん:選ばれた楽曲を見て行ったら、過去を思い返す曲と、未来を見て明日へ踏み出そうとしている曲との対比があることに気がついて、「じゃあ、これを2部作にしよう」という話になったんです。

●本誌1月号のセルフライナーノーツにも“過去から現在へと変わる時間の流れの変化にも注目して欲しいです”と書かれていましたよね。

TERRA:客観的に見たら、そういう共通点があったんです。僕は何かに導かれるまま曲を生み出していくというか。だから、あまり作為的に作ったわけではないんです。歌詞を書く時も、本能的や動物的という言葉が一番近いと思います。“魂の解放”みたいな感覚があって、それが自己浄化にも繋がる。そのためにも書き出すんです。

●そうやって完成した楽曲を、このタイミングでリリースするきっかけは何だったんですか?

やまん:制作スピードの関係もあったんですけど、2部作にすると決まってから「このタイミングで出そう!」という話になっていきましたね。

TERRA:今まであやふやだったものが、ようやく明確な形で見えてきたんですよ。僕らは最近ライブに出演する時にも12〜13人くらいのチームとして動くんです。そうやって活動していく中で、それぞれの役割や新作のサウンド感とか、そういったものがバチバチッとパズルのように合わさり始めたんです。

●明確なビジョンが見えてきたと。

TERRA:前のレーベルから離れて、路頭に迷っていた時に今のプロデューサーに出会って、我々を救い上げてくれたんです。それが大きかったんですよね。前作は“再起”がテーマだったんですが、今作もまた“再起”がテーマなんじゃないかな(笑)。「もう一度戦うんだ」って。

やまん:それこそ(映画の)ロッキーみたいにね。

●サウンド的には、ルーツに挙げられているUKロックのテイストを感じますね。

やまん:昔自分が聴いていたオアシスのような、もう一回CDを聴いて熱を上げられる音源を作りたかったんですよ。学生の頃、ギターアンプをガンガン歪ませて弾いてましたから。それが今の僕らを作っていると思うので。

●原点に立ち返っていると。ライブでは緑のサイリウムを配布したり、ダンサーが出演したりして、観客との一体感に重点を置いている印象がありますが。

TERRA:お客さんと一緒に盛り上がって、みんなが1つになることは楽しい。その感動を味わっちゃうと止められなくなっちゃうんですよね。だから「どうしたら今より(ライブが)良くなるか?」っていうことを常に考えてライブをやっています。緑色をPEACE$TONEのカラーと決めているんですけど、あれは森をイメージしていて、“自然回帰”をテーマにしてライブをしているんです。

●え、じゃあ今後は裸でライブしたりとか?

TERRA:さすがにそれはないです(笑)。

●ライブが終わったら森に帰っていくみたいな。

TERRA:ハハハハハ(爆笑)。

●冗談は置いといて。実際ステージでは、みなさん笑って演奏していますもんね。純粋に楽しんでいるなっていうのが見ていて分かる。

TERRA:その瞬間をみんなで味わっているんですよね。だから、ライブが終盤になってくると、逆に寂しくなってくるんですよ。

●リスペクトされているアーティストにジャック・ジョンソンを挙げられていますよね。その辺りの影響があったりする?

TERRA:前のバンド(THETAθ)で活動していた頃は、常に数字を気にしていて、胃が痛い思いをしながらやっていたんです。そんな時にジャック・ジョンソンの音楽と出会いました。そこで、子供の頃にザ・ビートルズを初めて聴いた時くらいの衝撃を受けたんですよ「こういうベクトルで生きている人がいるんだ!」って。

●それだけ衝撃的だった。

TERRA:彼の音楽はシンプルだからこそ、バックミュージシャンが入れ替え制でできちゃうじゃないですか。ああいうところも憧れたんですよ。音楽で人との繋がりを作っていけるっていう。だからPEACE$TONEを始めるにあたって「自分たちも自由な音楽表現の場を作りたい」と思ったんです。

●それで今、大所帯でライブをやっていると。

やまん:そうです。だから、このインタビューを読んでくれた人も参加対象者なんです。

●じゃあ未来のPEACE$TONEって、どんな姿を想像しているんですか?

TERRA:スライ&ザ・ファミリー・ストーンみたいに、みんなでステージにいたい。だから今、メンバーを募集しています。なんと“全パート募集”っていう(笑)。みんな遠慮してボーカルの応募はしてこないんですけど、そこにボーカルが沢山いても構わない。メンバーもお客さんもひっくるめてコミュニティーを作りたいんです。

●最終的にPEACE$TONE村ができているかもしれないですね(笑)。

TERRA:そうそう。それで演奏が終わったら、みんなで裸で森に帰っていく(笑)。

一同:ハハハハハ(爆笑)。

●同じ志を持った人たちと活動を広げていきたいと。

TERRA:それこそパズルのピースみたいに。お互いいびつな、非完全な欠片が集まって1つの絵を作るような、そういうコミュニティにしていきたいです。

Interview:馬渡司

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