TVアニメ「けいおん!」の田井中律役を代表作として数々の作品で声優として活躍中の佐藤聡美が、スターチャイルドレコードよりアーティストデビュー! 今年2月に発表したデビューシングル『ミライナイト』を発売したばかりの彼女が、早くも1stミニアルバム『☆(スター)』を6/18にリリースする。前作にも参加していたエンドウ.(GEEKS)が引き続き楽曲提供しているのに加えて、今作にはHawaiian6やlocofrankのメンバーが制作した楽曲も収録。持ち前の明るい歌声を活かしたポジティブなバンドサウンドは、さらにヴァラエティを増している。アーティストとしての幅を広げている彼女の魅力に、初のインタビューで迫った。
●佐藤さんは今年2月にシングル『ミライナイト』でアーティスト・デビューを果たしたわけですが、歌や音楽をやりたい気持ちが元々あったんですか?
佐藤:元々は音楽があんまり得意ではなくて、実はどちらかと言えば苦手意識があったんです…。でもここ1〜2年で色んなバンドの曲を聴いたり、ライブの映像を見たりしていたら、すごく楽しそうだなと思って。だんだん音楽に対してポジティブな気持ちを持ち始めた時に、ちょうどデビューのお話を頂いたんですよ。
●他のアーティストの音楽やライブを見ている中で、刺激されたわけですね。
佐藤:楽しそうにしている人たちを見ていると、「楽しい!」という気持ちが伝染するんだなというのを改めて実感して。私も楽しく音楽をやれたらいいなと思ったし、楽しく表現していれば「別に上手くやらなくてもいいんだ」とわかったというか。自分がそうすることで「楽しみたい」と思っている人たちがついてきてくれて、楽しめる空間を作れるんだなと。だったら私もそういうことがやってみたいなと思えたのが、キッカケでした。
●音楽をやる上で、影響を受けたアーティストはいますか?
佐藤:中島みゆきさんですね。小さい頃にドラマ「家なき子」の主題歌で知って、初めてカラオケで歌ったのがその曲(「空と君のあいだに」)だったんです。「“歌”って、技術じゃなくて“心”だな」というのを中島みゆきさんから勝手に学んだ気がしていて。椎名林檎さんも好きなんですけど、お二人ともすごくソウルフルな歌い方をされるというか。そういう感じの人たちに、すごく影響を受けているなと思います。その曲を聴いて何かを感じるということが、お二人の歌には多い気がするんですよ。
●単に技術的な部分ではなく、感情を上手く歌に乗せる感じというか。
佐藤:以前から声優として、アニメのキャラクター・ソングは歌ってきたんです。でもキャラクター・ソングって、お芝居の延長線上にあるようなイメージがあって。お芝居はどれだけ感情をキャラクターとリンクさせられるかが大事で、喜怒哀楽の感情をすごく繊細な部分までコントロールする部分があるんですよね。そこは歌にも通じる部分じゃないかと思います。
●キャラクター・ソングを歌う時とは感覚が違う?
佐藤:キャラクター・ソングを歌っていた時はそこに私のクセや色みたいなものは出しちゃいけないと思っていたので、自分の色を抑えるということをずっとやってきていて。だから逆に私自身がアーティストとして歌うとなった時に、最初は「どういう歌が自分にとって基本のラインなのかな?」という感じだったんです。色んなキャラクター・ソングを歌ってきているので、そういう中で「自分が一番歌いやすい声って、どれだろう?」というのを模索する作業から始まりましたね。
●初めてだから、わからない部分も多いですよね。
佐藤:「どうしたらいいんだろう!?」みたいな。でもそこはレコーディングの時にディレクターが色んなアプローチを教えてくれたので、「こんな歌い方があるんだ!」とか自分の中で色んな発見があったんです。これからアーティスト活動をしていく上で、ちょっとずつ見えてきたものもあったりして。だから『ミライナイト』収録の2曲を歌い終わった時は、達成感みたいなものをすごく感じられましたね。
●今回のミニアルバム『☆』にも、その成果が反映されているのでは?
佐藤:まさか初めてのシングルのすぐ後にミニアルバムが来るとは想定していなくて…(笑)。
●あ、想定外だったんですね(笑)。
佐藤:私がライブをやりたいという話を前からしていたので、スタッフさんが「ライブをすぐできるようにするためには曲が必要だ」と。
●ライブをやるために、曲が必要だったと。
佐藤:そうなんです! 「ライブをやりたい!」というのが大前提としてあったんですよ。曲数がないとライブもできないので、ミニアルバムをこのタイミングで作らせてもらえて嬉しかったですね。
●元々は音楽に苦手意識があったけど、今はライブをやりたいという気持ちにまでなれている。
佐藤:『ミライナイト』を録り終えて、やる気が出たというか。一歩踏み出せたという実感が湧いたので、「じゃあ、二歩目にはどんなことができるだろう?」と考えたんです。アーティストとしてこれからどうしていきたいかを考えた時に、自分が良いなと思ったライブを思い返して「こういうことをやりたいな」という欲求が出てきたんですよ。
●やりたいことが自分の中から湧いてきたと。
佐藤:自分でもちょっとビックリなんですけど、音楽に対してすごく前向きで色んなことをやりたいと今は思えているんです。今はどうやってみんなが楽しめる空間を作ろうかなとか、みんなが楽しい思い出を作れるにはどうしたらいいのかなと考えていて。楽しむためにどうしたらいいのかを考える時間が、最近は長くなってきた気がしますね。そういう中でも色々とやりたいことが出てきました!
●ギターも始めたんですよね。
佐藤:ライブをやると決まった時に「バンドサウンドが好き」という話をしたら、「せっかくだし、この機会にギターを弾いてみませんか?」とスタッフから提案して頂いて。楽器選びも去年の年末に行ってきて、その様子も今回の複合DVDにドキュメント映像として入っているんですよ。ウチのバンド“しゅがぁず”のバンマスをしているエンドウ.さん(GEEKS)に楽器屋へ連れて行ってもらって、説明してもらったり色々と試し弾きさせてもらったりした上でテレキャスターに決めました。ギター選びも楽しい時間でしたね。そういうデビューまでの歩みもわかる内容になっているので、DVDを見た人には楽しんでもらえると思います。
●エンドウ.さんは今作の中でも3曲提供されているわけですが。
佐藤:(前作収録の)「Brave Morning!!」もそうだったんですけど、エンドウ.さんの曲って日本語の歌詞でもリズムに乗って歌うことで洋楽っぽく聞こえるのが魅力というか。そういう部分も、今まで私は挑戦したことがなかったんです。エンドウ.さんの仮歌に忠実に歌ったほうがカッコ良いなと思ったので、そこは今回も意識しました。M-5「sweet! sweet!! sweet!!!」はいきなりのシャウトでもビックリするかもしれないですが(笑)、序盤は今までの私っぽい歌い方が出ている中で「シグナルは運悪くレッド〜(中略)〜解き放たれたらロケットスタート」の部分が来たら「オッ!」と思ってもらえると思います。
●この曲は、歌詞も面白いですよね。
佐藤:夜中コンビニに行ってお菓子を買う曲なんですけど、私はこの曲がすごく好きで。私も夜中にちょっとお腹が空いてコンビニへ買いに行ったりもするので、それをこんなにもカッコ良く歌うなんて…っていうギャップが面白いですね(笑)。皆さんもぜひコンビニへ買い物に行く時は、この曲を聴きながら行って欲しいです。
●他にも今作には、Hawaiian6やlocofrankのメンバーから提供された曲も入っています。
佐藤:今回のアルバムは歌詞も含めて前向きな感じが多くて、明るくて元気なガールズロックがほとんどです。その中でもHawaiian6やlocofrankに書いて頂いた曲はちょっと毛色が違っていて、今までと違う“自分”が出せているというか。
●色んなタイプの曲を歌ったことも、今後につながる経験になったのでは?
佐藤:これだけ色んなジャンルの曲を歌わせて頂いたのである種、この『☆』というアルバムが1つの“佐藤聡美”の基準になるんじゃないかなと思っていて。今後どういう曲を歌うのか私もまだわからなくてドキドキですけど(笑)、また今回と同じ人たちに楽曲提供して頂くことがあったら「『☆』の時よりカッコ良くなっているぞ」といったことを感じてもらえたら嬉しいですね。『ミライナイト』の時も、次での成長が楽しみになるような余白のある一枚にしたいなと思っていたんです。皆さんもアーティストとして一歩・二歩を踏み出した私の今後を想像して、楽しみにしてもらえたらなと思います。
●自分自身も、今後が楽しみになる作品なんじゃないですか?
佐藤:ボーナストラックのM-9「ミライナイト -Studio Live ver.-」も入れると9曲歌わせてもらったんですけど、「まだもうちょっと歌っていたい」と思えるほど、このアルバム制作がすごく楽しかったです。自分の中でよりポジティブな気持ちになれたので、ぜひ聴いて下さる人たちも同じ気持ちになって欲しいですね。
●「ミライナイト -Studio Live ver.-」からは、すごく楽しそうな雰囲気が伝わってきました。
佐藤:すごく楽しかったです! 自分の中でこの曲はキラキラしているイメージが強かったんですけど、今回バンドサウンドになったことでより力強さが増したというか。良い意味で、新しい「ミライナイト」だなと思います。今後バンドサウンドでやっていくと考えた時に「こういう方向性なんだな」っていうのが見えると思うし、聴いて下さった皆さんがツアーをイメージするのにちょうど良い道標になったんじゃないかと思います。
●リリース後は東名阪ツアーも予定されていますね。
佐藤:私もこの曲のライブバージョンを録った時はものすごく楽しかったので、ツアーでの本番がどうなるのか今から楽しみです。他の曲がどういうふうになるのか想像してもらったりして、ライブへの期待をふくらませて欲しいですね。今はもうツアーに向けての準備が始まっているんですけど、みんなと一緒に練習やリハーサルをすることで一種のグルーヴ感みたいなものを自分の中でも感じられていて。ツアーではみんなと一体になって、楽しむことができたらいいなと思っています。
Interview:IMAI
参加アーティストによる『☆』リリース記念コメント
エンドウ.(GEEKS)
容姿端麗、頭脳明晰、さわやか笑顔で幸せを運ぶみんなのアイドル佐藤聡美さんのことや、リスナーさん達のことを考えながら六角君7号を駆使して一生懸命曲を作りました。それを聴いた皆さんがどんな感想を抱いてくれるのか、私、気になります! ライブなどでも皆で一緒に歌ってくれたら嬉しいなーと思います! というわけで、多くの人々が『☆』を聴き、佐藤さんの素晴らしき歌と共に毎日を過ごして下さる事を願って、リコピン・・・
森勇介(locofrank)
今の気持ちを率直に言いますと、「夢だけど〜、夢じゃなかった〜」的な感じです。だって、自分が普通に観てたアニメの声優さんが、自分の作った曲を歌ってくれるなんて…すごくない? いや、絶対すごいよね? ちょ、ちゃんと聞けって、マジすごいことなんだって! あっ、すいません。取り乱しました。てな感じで、テンションはかなりあがってます(笑)。楽曲に関して言いますと、さとさと様の元気一杯な感じをどストレートに、そして、キャッチーな部分も存分に含まれている、そんな素敵な1曲になってます。皆様、ぜひぜひ、聴いてくださいね。
安野勇太(Hawaiian6)
今回楽曲制作する上で考えたことは、いかにしてこれから歌い手として羽ばたいてゆくであろう佐藤聡美さんの背中を押すお手伝いをするかということでした。微力ではありますが精一杯気持ちと敬意を込めて作らせて頂きました。レコーディングの前日にベースの原氏とシュガミの素晴らしさについて語り合ったりもしましたw。兎にも角にも、皆様に楽しんで頂けたら幸いと思います。何卒よろしくお願いいたします。
追記: 歌録りの際、わけのわからない注文ばかりだしてすみませんでした(某週刊少年誌風に歌えなどww)。佐藤さんの気さく且つ真摯な人柄がなければ完成し得なかった作品だと思っています。本当にありがとうございました。