今年3月に3rdアルバム『my contents』をリリースし、3/29になんばHatchで開催した自主企画イベント“GOOD LUCK vol.25 at なんばHatch”を大成功させたラックライフ。活動の中心にライブを置き、ライブハウスでたくさんの人の心と心と繋いできた彼らが、ずっと大切にしてきた想いを綴ったシングル『ハルカヒカリ』をリリースする。ライブハウスで生まれ、ライブハウスで成長してきた彼らの、嘘のないまっすぐで純度の高い想いは、心を越えて鳴り響くだろう。
●前回のインタビューは3/29の“GOOD LUCK vol.25 at なんばHatch”に向けてテンションが落ちている時期でしたよね。やる前は不安とか緊張で胃が痛いと言っていましたが、実際に3/29はどうでしたか?
PON:幸せでした(笑)。やって良かったなと思いました。僕、どんなライブハウスでもライブ前にめちゃくちゃ緊張するんです。
●客の多い少ないに関係なく。
PON:関係なく。いつもステージに上る前は吐きそうなくらい緊張するんです。でもあの日は全然しなくて、1日の間ずっと何かに支えられている感じがすごくあったんです。「何をやっても大丈夫やわ」って、初めて自信満々でステージに立てた日だった。めっちゃ気持ちよくて、自分のライブはほとんど覚えていないんですけど。
●何が違ったんでしょうね。
PON:ライブに出演してくれた16バンド、全バンドを走り回って観ていて。物販に行っては誰かと喋って、またライブ観て、転換の間の5分の間だけまた物販に降りて…自分たちの本番30分前くらいまでそんな感じで。他のバンドはホールのど真ん中で全部観たんです。バンドが発信してくれるものもそうだし、お客さんが発信してくれるものもいっぱいあって。いろんな人に「がんばりや」って言われて、やる前から「やってよかったな」って思えるような日だったんですよね。だからステージに立つのが全然怖くなかったんです。力を貸してくれる人たちがこんなに沢山いたんだなって。
●人のありがたみを感じたと。
PON:6周年を振り返りながらのライブでもあったし。めっちゃ楽しかったです。
●あの日のライブの経験は、自分の音楽観とか、バンド観に影響を与えましたか?
PON:すごく与えたと思います。やっぱり、より一層人が好きになった。あんなに大きいキャパでやっても“音楽って素晴らしい!”とか“ライブってすげえ!”とかじゃなくて“人と人やな!”とすごく思ったんです。だから“俺、どこまで行っても大丈夫だ”って思えました。自分の中の芯として、ずっと持って行くんだろうなっていう核心に変わった感じはありますね。「どこまで行ってもきっとそうだな」と思って。
●PONくんは情緒不安定な人ですけど、そういう面でも助けられる経験だったんですね。
PON:そうですね。思い出しては助けられています(笑)。今もそういう浮き沈みはあるんですけど、あの日のことを思い出したら“こんなことで落ち込んでいる場合じゃないな”って思えるし。
●ちなみに最近だったら何に落ち込んだんですか?
PON:人の目とかめっちゃ気にするタイプなんです。Twitterのエゴサーチとか1日8回くらいしています。全部見ます。それで落ち込んでます。
●ハハハ(笑)。人にどう見られるかが気になるタイプなのか。
PON:ステージ上では全然気にならないですけどね。ステージを降りたときにはそれしか気にしていないみたいな(笑)。
●ところで今回の表題曲は「ハルカヒカリ」ですが、この曲をシングルにしようと思ったのは?
PON:曲自体は前からあったんです。それで“いつ出そうかな?”って考えていたときにそういう話が来たので、「もうこれしかない!」って全員一致で。今回、初めてリード曲がバラードなんですよね。
●うん。ラックライフのライブの印象とはちょっと違いますよね。
PON:でもメンバー全員が“これがいい”と思えたというか。
●この曲は“ライブハウスのことを歌おう”と思って作った曲なんですか?
PON:はい。すごく小さいことを歌っています。作ったのは去年末くらいかな…、最近ですね。本当は最初、ライブハウスのことじゃなくて誰もが持っていることを歌おうと思って作り始めたんです。
●いろんな人に当てはまるような。
PON:そう。心の拠り所を探している人はきっとたくさんいるけど、それを表に出せない人もたくさんいるだろうなと思って。そういう人たちの拠り所になれたらいいなと思いながら書き始めたんです。それで最後の一節がパンッと出てきて、人の拠り所みたいな存在になりたいと思って今まで歌っていたけど、逆に、ライブハウスでそう思ってくれることが今度は僕らの拠り所になっているんだということに気づいたというか。だからこの曲はシンプルに、ただ本当に「ありがとう」っていう気持ちばかりですね。
●バンドをやっていく上での核となる想いというか、モチベーションというか。この曲で歌っているような、聴いてくれている人の拠り所になりたいとか、ライブハウスが自分たちの拠り所になっているっていうような自覚は、いつくらいに感じ始めたことなんですか? バンドを始める理由なんて、大体が「モテたい」みたいに、もっと不純じゃないですか。
PON:僕らもそうでしたからね。
●モテたかった?
PON:僕らの場合は“とりあえず目立ちたい”でした。今もそれは変わらないですけど。うーん、いつからですかね、そういう風に歌を捉え始めたのは…。高校卒業くらいかな。
●今の音楽性になる少し前の、ラックライフがまだメロディックパンクだった時期。
PON:すごく刺さる歌を歌う先輩がいたんです。全然有名じゃなくてアコースティックで弾き語りをやっている人なんですけど、僕はその人の歌に出会ってすごく変わったんですよね。
●ほう。
PON:その人の歌を聴いて「そんなに歌って届くんだ!」と思って。僕はライブハウスで騒がしい音楽を聴く方が好きだったし、モッシュもダイブもめっちゃしていたんですけど、でもその人の歌がすごく刺ささったんです。上手くもないし、声もガサガサなんですけど、すごく心にグッとくる歌を歌っている人を観て「俺もああなりたいな」って。「あれができたら、どんなにおもしろくなるんだろう?」みたいな。自分もそういう風になりたいなと思って。
●歌の力みたいなものを目の当たりにしたと。
PON:その人はすごく人と人を大切にする人で、僕自身もすごく可愛がってもらったんです。そのときに感じたことを今もずっと大切にしている感じですね。
●歌やライブが人に響くかどうかの違いって、理論的に説明するのはとても難しいですよね。演奏が上手くても“全然面白くない”と感じるライブもあれば、下手くそなのに心が震えることもある。
PON:ありますよね。
●それはたぶん、この「ハルカヒカリ」の“心はなぜこの目に見えないんだろう”や、“言葉はなぜ心を越えないんだろう”という歌詞に集約されている気がするんです。
PON:そうですね。僕の場合、どれだけ言葉にしたところで「すればするほど嘘臭い」とずっと言われていたんですよ。
●え? 「嘘臭い」って言われてきたんですか?
PON:そう。見た目がチャランポランだから(笑)。
●髪型だけじゃなくて?
PON:ライブのキャラクターもチャランポランだから(笑)。誤解されやすいまま来たんです。ずっと昔から、そのときに思っていたことを全部ちゃんと言葉にしているつもりなのに「全然届かない!」と言われてきて。
●めっちゃ薄っぺらいと(笑)。
PON:「自分、めっちゃ薄っぺらいで」とブッキングの人に言われたこともあります(笑)。「何がやねん!」と思ってましたけど(笑)。
●面と向かって言われたんですか?
PON:そうです。「君の言葉は重みがないね」と言われた時期があって。そのときも本気で思ったことを歌っていたんですけど、そういうことを言われ続けてきて、やっと今になって少しずつ届くようになってきた感じがあって。だから聴いてくれる人にはありがたみを感じながらも、僕の思っている100%が、聴いてくれている人に100%届くことは絶対にないということはわかっているんです。もし100%届いたとしても、それを僕が分かることはないんです。そういう状態をすごくもどかしいなと思っていて。でももどかしいと思いつつ、それでも伝えたいから100%で行くしかないっていう。
●もどかしさを乗り越えたと。
PON:「やりたいからやるしかない」みたいになった結果、こうなりました(笑)。
●模索というか迷いがあってたどり着いた境地だったんですね。
PON:そうですね。歌詞では“言葉はなぜ心を越えないんだろう”と言っているので、結局は越えないんですけど(笑)。
●言葉を使っている以上は。
PON:切ないですね。でも最近のライブで、心を越える言葉はあると思ったことがあって。音楽に言葉が乗ることによって、それを心に押し出すことによって100%に近いものが生まれる瞬間ってあるんだなって。MCとかじゃなくて、それをみんなで一緒にバッ! とやっているときというか。「ハルカヒカリ」を書いたときは“越えないんだろう”と歌っていましたけど、最近越えることができるということに気付いたんです。そういうのって面白いですね。だからずっとバンドをやっているのかも。
●ところで「ハルカヒカリ」というタイトルには何か意味があるんですか?
PON:深い意味はないんですけど、カタカナが好きなんですよね。造語っぽい響きにしたい。タイトルを決めるのはいつも連想ゲームなんですよ。曲ができて、歌詞を読みながら。
●みんなで決めるんですか?
PON:そうなんです。僕はタイトルを決めるのがめっちゃ苦手で、だからみんなで「この曲はどういうフレーズが出てくる?」みたいな感じでディスカッションするというか。「ハルカヒカリ」という言葉がなんで出てきたのか忘れましたけど、いい響きだなと思ったんです。僕らが遠くの光になったとしてもそうだし、逆の立場でもそうだし。
●どちらにも当てはまると。光自身になりたいと思っているし、光を見ている立場としても歌っている。
PON:どちらから見ても「大丈夫!」って言えるような関係でありたいと思ったんです。だからこのタイトルがハマった。
●この曲はライブでガツン! という感じじゃなくて、バラードっぽくてかなりミドルですよね。こういう曲と、今作だとM-3「ローグ」のようにライブ映えするような曲は、作るモードが違うんですか?
PON:違いますね。「ローグ」はめちゃくちゃ昔の曲で、再録なんですよ。
●どう違うんですか?
PON:「ハルカヒカリ」は夜の川辺とかで、何もせずに携帯の画面開いて。鼻歌でレコーダーで録りながら言葉をメモして作ったんです。M-2「my pace」や「ローグ」は自転車で、ごきげんな帰り道に作ったんです。
●要するに、そのときのPONくんの気分に依ると。
PON:そうですね。楽しい帰り道は「my pace」と「ローグ」ですね。楽しい気分に浸っている。僕は浸るのが大好きなんです。
●一方で「ハルカヒカリ」は夜の川べりで作ったと。夜に1人で川べりに行ったりするんですか?
PON:しますね。何の目的もなく。ただ単に行きたいなと思って。夜とか夕方、時間は問わず行きたいと思ったらふらっと寄って2〜3時間ぼーっとするんです。
●散歩が好きとか?
PON:好きですね。散歩が好きというより、何も考えないのが好き。昔からそうなんですけど、何も考えない時間がいちばん好きかもしれないです。
●それが自分にとって大切な時間だということ?
PON:うん。自分の中でバランスを取ってくれているというか。
●定期的に、意識的にそういう時間は設けているんですか?
PON:そうですね。僕は移動が全部自転車なんですけど、その時間がなくなったら死にますね(笑)。原付きとか車、電車になっちゃうと話が変わってくると思います。
●音楽も変わってくる?
PON:変わってくると思います。まず、曲作りのペースが落ちると思います。僕はスタジオまで自転車で40分位かけて行ってるんですけど、その時間がすごく好きなんです。
●自転車も1人になれる時間ですもんね。
PON:ボケっとしながら車道を爆走しているんです。それがないとダメですね。ほとんどそこで歌詞も曲も生まれます。
●頭の中を空っぽにする状態が必要なんですか?
PON:そうすることによって、頭のごちゃごちゃしたものが整理されて本当に思っていることがポッと出てきたり。チャリを漕ぎながら「それどういう意味?」とか自問自答を繰り返して。
●音楽を聴いたりはしないんですね。
PON:そうなんですよ。僕、一切音楽を聴かなくて。それだけ長時間の移動でも、ウォークマンやiPodとかで聴いたりしないんです。一時期聴いていたんですけど、全然曲が作れなくなってやめたんです。“音楽聴きながら自転車に乗るってなんて幸せなんだろう!”と思ってめっちゃ幸せなんですけどね。でもそれをやっていたら何も進まなくなってしまって。泣く泣く諦めたんです。
●そのときの自分のモードに依るということは、意図的に“バラードを作ろう”みたいな意識は全く働かないんでしょうね。
PON:「こんな感じの曲がほしい」と言ってバンドサウンドから作るときはありますけど、あまり狙って作った曲はなくて。特に僕発信のときは浮き沈みが激しい曲が多いと思います(笑)。
●確かに今回の3曲は浮き沈みが激しいですよね(笑)。「ハルカヒカリ」から「my pace」、「ローグ」とだんだんとテンションが振り切れていくというか。「my pace」は最近の曲なんですか?
PON:これは最近ですね。「my pace」がいちばん普段の自分っぽいなと思います。
●普段思っていることを曲にしていると。
PON:そうですね。この3曲ってバラけているようですごくまとまりがあると思っていて。要するに、全部ライブハウスの話なんです。
●そうですよね。全部バンドの身近なことを歌っている。思ったのは、前回のインタビューで「3rdアルバム『my contents』では自分のことを歌ったから、今後は人のことを歌いたい」と言っていたんですよ。でも、今回も結局自分のことを歌っているという(笑)。
PON:そうですね(笑)。ほんまやな。
●ハハハ(笑)。ライブハウスのことを歌っているという意味では、人のことを歌っているわけでもありますけど。
PON:「僕から見た誰か」みたいな感じ。「my pace」はライブハウスから離れていく人たちの歌なんですよ。お客さんは、ライブハウスから離れるのも別に自由じゃないですか。でも、いつも来てくれていた人が知らない間に来なくなっちゃったことを俺は覚えているし、だからちゃんともう1回観てもらえるようにと思って。完全に“こんちくしょう魂”で書いた曲ですよね(笑)。素直に“もう1回観てほしいな”、“ライブハウスで出会ったみんながまた集まれたらいいな”と思って作った曲です。
●この曲で印象的だったのは、“変わらないこと”と“変わっていくこと”っていう、一見矛盾しているかもしれない2つのことを描いているところ。これは生きていく中では誰もが一度は通る思考だと思うんです。昔の知り合いに「お前変わったな」と言われたら寂しいけど、ずっと変わらないのもなんか違うだろうし。
PON:変わっていくけれど変わらない人間になりたいんですよね。芯は絶対にブレないっていうか。「やっぱりお前は最終的に何をやってもお前らしいな」と言われるような人間、「何をやってもラックライフらしいな」と言われるバンドになりたくて。何を言ったとしてもちゃんとまっすぐになりたい。
●そういう意味での“マイペース”だと。
PON:曲調は全然違いますけど、同じライブハウスのことを歌っている「ハルカヒカリ」と「my pace」の2曲が同じシングルに入るってことがおもしろいと思ったんです。結局歌っている内容は一緒だし、結局どっちもラックライフらしいサウンドだし、すごく俺らしいなと。この1枚でバンドを知ってもらうにはすごくいいんじゃないかなと。
●さっきおっしゃっていましたが、「ローグ」はけっこう昔に作った曲なんですね。
PON:そうですね。作ったのは19〜20歳くらいのときです。
●ラックライフがメロディックパンクから歌モノに変わったくらいの時期ですね。
PON:歌モノになってすぐに作った2ndデモに「ローグ」が入っているんです。
●それをなぜ今回収録しようと思ったんですか?
PON:新しいレーベルで初めて出す作品ということで「俺ら全然ブレてないから」とちゃんと言いたくて(笑)。
●新しい環境になったとしても今まで通りのことをやると。
PON:この曲は大事なイベントの最後に歌うんです。地元のライブハウスに書いた曲なんですよ。
●お、なるほど。
PON:僕らの地元、高槻RASPBERRYっていうライブハウスが大好きなんです。その大好きなライブハウスの大好きなイベントが終わるときのことを書いたのがこの曲なんですよね。
●これもすごく狭い範囲のことを歌っていると。
PON:いちばん狭いかもしれないです(笑)。
●歌詞に“全てはここから始まったんだ”とありますが、要するにラックライフの原点がここにあると。
PON:そうです。「全ては高槻RASPBERRYから始まったよ」っていうことを言いたいがために作った曲です。だから高槻でしか歌っていないくらいの感じなんです。高槻か、ワンマンのアンコールとか。ワンマンの最後とか大事なときだけに出す鉄板曲みたいな感じだったんです。
●高槻RASPBERRY時代からのファンからしたら「あ! あの曲が入ってる!」と。
PON:音源を持っていない人も沢山いるし、いい機会だなと思って。
●昔に作った「ローグ」と、最近作った他の2曲を並べて聴いても確かにブレてないですね。
PON:全くブレていないんですよね。何も変わってないです(笑)。歌っている内容も一緒ですよね(笑)。おもしろくないバンドやな〜(笑)。
●ハハハ(笑)。「ローグ」を作ったときは、今のバンドの状況を想像できていたんですか?
PON:全く想像できていなかったです。ちゃんとしたツアーもやったことがない、初めてツアーで県外に出はじめた頃の曲なんですよ。言ってみたら、他の世界をまったく知らずに“自分たちの原点はここだ”ということを歌っていた。
●なるほど。
PON:すごく狭い範囲しか生きていないのに、そこが素晴らしいと本気で思って歌っていたんです。今、これだけ広い世界を知っても、同じことをいちばん大切だと思ってるとしたら、全然話が変わってきますよね。説得力が違う。
●「ローグ」を作ったのは、チャラいと言われていた頃?
PON:そう。ペラッペラのとき(笑)。でもちゃんとそこから4〜5年やってきて、いろんなところに行っていろんなライブハウスで歌って。やっぱり大切なのは「ローグ」で歌っているようなことだったんだなと改めて気づいたというか。
●それはすごいことですね。
PON:しかも、この曲は1番と2番の歌詞が同じなんですよ。当時は、あれやこれやと歌詞を付け加えたら安っぽくなると思って1番と2番を同じにしたんですけど、その決断は正しかったと今でも思えます。辺にかっこつけたこととか2番で歌わなくてよかった(笑)。
●世の中を知らなかったかもしれないけど、大切だと思っていたことは間違いじゃなかった。
PON:うん。改めて思いましたね。
●リリースツアーはどういうものにしようと考えているんですか?
PON:いちいち手渡しでちゃんと音楽を届けるツアーにしようと思ってます。今回のツアーは、3/29の影響が多々あるライブになると思うんですよ。いちばん大きな実感としては、あの日以降、格段にライブがおもしろくなっていて。
●おもしろくなった?
PON:具体的に緊張しなくなったとか心境が変わったとかではないんですけど、ただ漠然と「あ、俺ら行けるわ」みたいな。自分たちにすごく“無敵感”みたいなのが出ていると思います。それをちゃんともっと自分の中で分析して、消化して、ちゃんとした武器にしてツアーに臨みたいです。しっかり歌います。
●PONくんはいつもライブ前に緊張すると言ってますけど、他のメンバーは緊張しないんですか?
PON:全然してなさそうなんですよね。飄々としています。僕からしたら「行けるの?」って思うんですけど、行けるんですよね。
●頼もしいですね。
PON:なんばHatchのときも普通にワクワクしているんです。「めっちゃおもしろそう!」みたいな感じ。すごいなと思います。
●それと今回のツアーは全公演対バン形式なんですよね。
PON:そうなんです。初日の5/31はLACCO TOWERと2マンなんです。
●お。猛者ですね。
PON:これもまた恐怖でしかないんですけど(笑)。なんばHatchも出てもらったんですけど、もうすごいライブでたまらなくて(笑)。「あのLACCO TOWERと2マンかよ〜」みたいな(笑)。
●楽しみにしています。ツアー後はどう考えているんですか?
PON:しっかりと制作をする予定です。常に曲は作っているし、常に新しいものを届けたいと思っていて。ちゃんと止まらずに、ちゃんと1つ1つの活動をやっていきます。
●近作は“自分のことを歌う”や“ライブハウスのことを歌う”みたいなテーマがありましたが、次に作る作品のテーマは考えているんですか?
PON:いや、そういうこともあまりないですね。好きなように歌います(笑)。今までそうやって作ってきたからコンセプトが固まってきていたんですけど、次はいろんな事を歌いたいと思っています。それとヴォーカリストとしては、現時点では音量じゃない熱さみたいな歌い手になりたいんですよね。「ウオォー!」って叫ばなくても熱い、みたいな表現を会得したいんですよ。
●どちらかというと、PONくんは「ウオォー!」とテンションを振り切らせる感じになりますよね。
PON:そうなんですよ。ちょっと声が歪んで、目に見える熱さみたいな。そうじゃなくて、平歌でぼそぼそ歌っているようなものでもしっかりメラメラ燃えているような歌を歌いたい。そういう歌い手が好きっていうのもあるんですが。観ていて「芯だけやん!」みたいな。それがすごく好きです。
●歌い手として自分なりに心がけていることはあるんですか?
PON:嘘をつかないことです。それだけやなと思うんです。音楽に関係なく。もちろんつくときもありますけど、普段から嘘をつかないようにしていないと「ステージで急にやってもできないな…」っていうところはありますね。
●以前のインタビューでも言っていましたよね。最初の頃は演じるように歌っていたけど、伝わらなかったって。
PON:特にヴォーカルはそういうところが大きいと思うんです。私生活が出る。だから日々をどう過ごしているかが大切というか。そんなことばかり考えて生きているわけじゃないんですけど、普段からちゃんとステージで歌っても恥ずかしくない人間でいたいと思います。
Interview:Takeshi.Yamanaka
Assistant:馬渡司