※1:本文参照 ※2:本文参照 ※3:「お腹いっぱいになった腹ペコたち」の略
出演:マキシマム ザ ホルモン ゴールデンボンバー G-FREAK FACTORY
第6回CDショップ大賞がマキシマム ザ ホルモンのアルバム『予襲復讐』に決定し、その受賞式が執り行われたZepp Tokyoにて、日本全国1億2千万の総腹ペコ垂涎必至のライブが今から行われようとしている。2013年を代表する最高傑作アルバムのリリースツアー55本目。常に新しくてくだらないことを生み出してきたロック界の異端児にしてパイオニア、シーンを語る上では絶対にハズせないマキシマム ザ ホルモンのライブを体感するべく、フロアには数え切れないほどの腹ペコたちがまるで亡者のごとく開演を待っている。まだライブは始まっていないが、腹ペコたちの興奮は会場を埋め尽くす湿度の高い空気からビンビン伝わってくる。
G-FREAK FACTORYとゴールデンボンバーという、いい意味でえげつない対バンは、マキシマム ザ ホルモンが大切にしてきた姿勢を如実に表している。ゼロから新たな“何か”を生み出すバイタリティ。マキシマム ザ ホルモンは関わった者の力を120%引き出す機会を数多く生み出してきたが、この日も例に漏れず、両バンドとも限界を超えたパフォーマンスで腹ペコたちを狂喜乱舞させた。
客電が落ち、「ォォォォオオオオオオオオ!」と地響きのような歓声が沸き起こる。フロアがチンチンに沸騰したヤカンの中のように揺れ、ステージ前に亡者たちが脱兎のごとく押し寄せる。楽器陣3人が音を出し、ダイスケはん(キャーキャーうるさい方)が咆哮すると興奮がMAX。あのメランコリックなリフをマキシマムザ亮君(歌と6弦と弟)が奏で、ナヲ(ドラムと女声と姉)の美しい歌声で幕を開けた「予襲復讐」。身体全体で音を吐く上ちゃん(4弦)のグルーヴがまるで超音波のように会場を包み、全腹ペコによる怒涛のヘドバンの嵐は、会場をステージ方向に40~50cmばかりズラすほどの勢い。4人が感情を振り絞って歌う同曲の威力は凄まじく、こんな曲を初っ端から演られたらもうどうしようもない。マキシマム ザ ホルモンの音の中に心と身体を投じていく腹ペコたち。1秒1秒がフラッシュバックするトラウマ的瞬間の連続。そうだ。これがホルモンのライブだ。
胎教に影響を及ぼしそうなほど鋭いリフで幕を開けた「ビューティー殺シアム」ではダイスケはんがフロアに身を投じ、そしてアルバムと同じく「鬱くしきOP~月の爆撃機~」からの「鬱くしき人々のうた」という、鬱くしき最高の流れ。エモーションがダダ洩れし、汗と涙と変な汁をまき散らしながら暴れる腹ペコと、殺し屋のような眼光で音を吐き続ける4人。ステージとフロア、マキシマム ザ ホルモンと腹ペコたちによる全力のぶつかり合い。これはまさに“死合”だ。
この日までの54本のライブは、彼らを前人未到レベルのライブバンドへとパンプアップさせていた。それが如実だったのは「maximum the hormone」。亮君が奏でる超重量級リフの中、ダイスケはん&腹ペコたちがヒョードルのようなロシアンフックを左右交互に突き上げながらのコール、上ちゃんのベースが脳髄に絡み付き、ナヲのドラムがすべてを赦すという同曲の無間地獄。そのアンサンブルの凄まじさは、今まで経験したどの「maximum the hormone」よりもパワフルで、危険で、神々しく、会場全体がトランス状態に陥っていく。そんな同曲に「これはもう音楽ではなく、呪文とか呪術とか、そういった類のやつや! これヤバいやつや!」と恐れおののいていたのも束の間、仏像を模した上ちゃん人形が天井からフロアに落下。しかもその上ちゃん人形、まるでピラニアの中に落ちた牛の如く、ゾンビと化した腹ペコたちにボロボロに引きちぎられていく。な、なんだこれ。
悟りの境地に達した武闘家のような、フィジカルかつタイトかつソリッドなステージが繰り広げられる中、レーザー光線が興奮を斬り裂いて腹ペコたちが喜びの叫びをあげた「便所サンダルダンス」、巨大ミラーボールに火が灯って全員が踊り狂った「え・い・り・あ・ん」、ダイスケはんとナヲによる「肩車とかあぶないからダメ―!!」というフリを経てZeppの天井まで届くほど数えきれない肩車からのダイブ&大合唱&コールが起きた「ロックお礼参り~3コードでおまえフルボッコ~」、フロアに無数の腹ペコサークルが起きては消えた「メス豚のケツにビンタ(キックも)」と、立て続けにキラーチューンが連発。ライブの満漢全席だ。
すべての曲で全腹ペコを全力で暴れさせたライブが佳境に入る。全身汗だくでヘトヘトになっている腹ペコをあざ笑うかのように、そこで鳴らされたのは「ぶっ生き返す!!」。我々が何度オルガスムスを迎えても、エレクチオンし続けるロック界の絶倫マキシマム ザ ホルモン。同曲でぶっ生き返った腹ペコたちが必死になって暴れまくる。
恋のおまじないの前にナヲは「ライブなんて遊びなんです。でも遊びを本気でできないやつは、仕事も勉強も本気でできないからね!!」とホッペを膨らませたのだが、マキシマム ザ ホルモンというバンドの真髄はそこにある。汗だくになったみんなで大合唱し、無数のスペルマがフロアに放出された本編最後の「恋のスペルマ」。小芝居で始まったアンコールではダイスケはんが「こんなもんじゃ終われねーだろ!!」と包茎先着10名をステージに上げて東京包茎BOYS結成(※最終的には16人くらい上がってました)、最後の最後に「握れっっ!!」で東京包茎BOYSによるステージダイブの大団円。「本気で遊ぶということは、本気で生きるということ也」…マキシマム ザ ホルモンが発し続けてきた熱いメッセージに胸を熱くし、スペルマと包茎とおっぱいでいっぱいになった最高のライブ。大変美味しゅうございました。
TEXT:Takeshi.Yamanaka
Photo:Kazushi Hamano / Misuzu Tamori