音楽メディア・フリーマガジン

やることいっぱいだなーの巻

皆様、あけましておめでとうございます。なーんて2月に何言ってるんでしょうね。でもこの原稿を打ち込んでいるのがまだ1月中旬だから仕方ない。大声でもう一度言う。「あけましておめでとう」と。

まー、しかし2010年はいろいろあったね。ここ数回いろいろと書いてきたけど、そんなあれこれが一気に起こって、グッチャグチャになったのが2010年という年、だったのであります。もう坂本龍一さんのツアーや宇多田光さんの横浜アリーナライヴなんかですっかりUstreamも一般化。もう読者の皆さんの中でも見た人いっぱいいらっしゃるでしょ?でも去年の今頃は「なに? Ustreamって」ってみんな言ってたもんね。今や日本各所でUstream中継が行われております。個人的には実家のほど近くにある東北新幹線の新青森駅オープンの生中継がぐっときたね。上手くいってなかったけど(笑)。
Twitterもそうだよなあ。まあネガティヴなニュースもあったりしつつ一般化。オバハンでも「なう」を知っている、と。次は映画なんかも公開になったりするのでやっぱアレか、Facebookか。僕、去年の夏にFacebookのページを作ってたりするんですけどね、あれはどうなのかな。自分の身元を明らかにしてページを作るということが日本で根付くのかなあ。現時点もうひとつ盛り上がってはいないけど(映画公開直後ということもあるでしょうが)。でもmixiよりページのカスタムが自由度高いので上手く使いこなしたらオモロそうではあります。期待しつつ。
前回の連載にも書きましたが、北海道のFM north wave毎週水曜日の22時からラジオ番組「nishiazabu records store」ってのをやっているんですけどね、ライターの岡村詩野さんと新譜をオンエアする番組なんですけど、これがとっても勉強になっているんですわ。岡村さんが持ってくるいわゆるロックの新譜、けして一般的なヒットものではなく、ニューカマーだったり海外では話題だけど日本ではまだまだ無名だったり、最先端のものを聴くのが楽しいんですよ。そしてそんなあれこれを聴きながら、すっかり自分がロックから遠くなっちゃってるなー、知らないなー、よくないなーなんてことを実感するのであります。
日本のバンドやミュージシャンに会う自分の普段の仕事にも役立つなあ。それはきっとこういった海外の最先端のものが後々日本で根付き、一般化する場合が多いからなのでございますね。例えばBest CoastやWavvesのわかりやすさはきっと近々日本のバンドにも取り入れられたりするだろうなあ、とか、Antony And TheJohnsonsやPerfume Geniusの持つ思想的なものは今後近似性をもったバンドやミュージシャンが日本から出てくるかも、とか。そんなことを考えると今までとは違った視点で物事を追ったりするようになります。
US、UKインディ・ロックを好んで聴く人にとっては前述のバンドや、SufjanStevensやDeerhunterという名前を挙げるとそんなの無名でも最先端でもないじゃん! という返事が返ってきそう。実際輸入盤店では売れているようですからね。でも一般的にはほとんどの人が「?」なのが実情。なぜならこういったバンドやミュージシャンの音と偶然に出会うという可能性が現在の媒体では極めて少ないから。もちろん意識すると即ネットで調べて試聴することも可能だし、情報もいっぱい入手できますが、それは何かしらのきっかけが必要なんですよね。そのきっかけがあまりに少ない。LADY GAGAのような否が応でも耳に入ってくる、画像や映像が目に留まる、というような状況は皆無ですから(まあそりゃLADY GAGAと比べるのも酷ですけどね)、おのずと海外ではメジャーな存在でも国内ではドマイナーということになってしまいます。
まあそのきっかけ作りをnishiazabu records storeでやってたりするんですけど、探れば探るほど現在の洋楽は芳醇なのに取り巻く状況は厳しいなあ、とか思う。そして世の中こんなに進んでいるのでこうしたらもっとよいんじゃないかなあ、なんていうアイディアも生まれます。例えば訳詞。手軽に配信でも輸入盤でもこういった作品を入手可能にはなっているんだけど、訳詞は国内盤を買うしか入手する方法がないというのはいかがなのか。訳詞を配信でネット販売するのは不可能なのか? とかね。それを売ったらますます国内盤が売れなくなるじゃん! なんて声もレコード会社の洋楽部から出てきそうですけど、じゃあせめて国内盤が未発売のものは著作権をクリアする形で原詞と訳詞をネットでダウンロードできるような販売の仕組みを作るというのはどうでしょう。でもねえ、国内盤が出ているものもCDレンタルは一定期間過ぎたらオープンになっているんだったら訳詞も一定期間過ぎたらダウンロード可能にしてもいいと思うんですけどねえ。
実際音自体はシンプルであっても詞の深みで売れてるシンガーソングライターものが海外では少なくない。国内盤は音が地味、ということで発売見送りされたりね。でも現状だとその素晴らしい詞の内容に言及しようがないですもん。ネットで調べて翻訳ソフトかましてもダブルミーニングや裏の意味といった深い部分はやはり知識のある人も訳詞じゃないとわからないものです(まあたまに酷い訳詞もあるけどね)。発売の権利を持つレコード会社が見送った盤、ということならこれは出版社がやるべきことなんですかね。まあ諸所の事情もありそうですが、これはね、どこかのレーベルでやったらばっと広がりそうではありますが。どかんと大きな売り上げが見込める、とは思えませんが、例えばAmazonのmp3や輸入盤のページにリンク貼って置くとかすることである程度の売り上げが見込めそうではあります。配信も、新譜はi-tunesのニューリリースで紹介されますが、旧譜に関してはあまり大きく取り上げられない。これは洋楽も邦楽もそうですけどね。それこそThe Beatlesレベルにならないと話題には一切なりません。なんならいつのまにか配信になってました、みたいな告知なしでの配信もあったり。でもねえ、この機会に各社再発の専門ページの拡大とかしてみたらいいのに、と思うなあ。日本コロムビアさんとかは100周年事業で特設ページを作っていらっしゃいますが、他は再発のページを作っているところは少ないですよね。でもアーカイヴ事業が配信への転換などで今後重要になっていくのであれば、今のうちに作っておくべきじゃないかなあ、なんて思いますよ。
海外のACE RECORDS( http://www.acerecords.co.uk/ )やRHINO( http://www.rhino.com/ )ほどのものはなかなか難しいとは思いますが、一度ページを作ったらフォーマットに基本はめ込むだけなので簡単とは思うんですけどね。
まあラジオをやりながらそんな種を思いついたりしてる毎日なんですけど、実際はほとんど芽が出ないまま放置、ということになっております。なんとかねえ、これをお金にする方法を考えないといけないなあ。それが2011年の野望でもあるんですけどね。でもこういうシブい作業をやってる場合じゃない! という意見も今のこのご時世ってヤツでは言われがち。よくニュースとかに音楽業界の不況とかが取り上げられたりしていますが、実際どうなんですかね。実際レコード会社全体では売り上げが落ちていると思います。でもその落ち幅は各社まちまち。5年前に比べ少しの減少で収まっているところもあれば、ドっと落ちている会社もあるでしょうね。
ジャングルライフを読んでいるのは以前も書いたとおりバンドをやっている人が多いようなのでそこに焦点を絞って書きますと、レコード会社の売上不振によってバンドの形でメジャー契約を希望するバンドの皆さんは以前より不利になるでしょう。事務所は複数の人数で演奏するバンドという形態を取っている音楽家よりソロのヴォーカリストやシンガーソングライターのほうがリスク回避できますからそちらを探すようになります。簡単に書くと4人バンドに給料を払うより1人のほうが持ち出しのリスクが少なくて済む、ということ。もちろんゼロになるということはありませんが、以前より契約する枠は狭き門となるでしょう。
もちろん「じゃあインディでやったらいいじゃん!」と考えるバンドもいると思います。それはそうなんですけど、レコード会社の売上不振はイコール作っているCDが売れていないということ。つまりレコード店も売り上げが減っているということなんですよね。仕入れたCDが売れない。売り上げが減ったら当然仕入れのお金も絞らなくてはなりません。そうなると確実に売れる、というものを中心に仕入れなくてはなりません。つまりこれからの新人である人たちにとってはやはり不利。
「じゃあツアーでお客さんに直接売る」という考え方は正しいんですけど、地元でもお客さんが入っていないようなバンドがツアーで全国回ったところでなかなか上手くいかないと思いますよ。お金を持ち出してツアーした結果借金を負って活動がままならなくなった、というバンドもたくさんいます。ネットとかで「ツアーでライヴやって」みたいな書き込みを見るたびに、甘いなあと思いますもん。地方のライヴハウスの通常ブッキングでお客さんが最初からずっとたくさん、という状況があまり無いということは地方で活動している皆さんならおわかりかと。そこに実績の無いバンドが行った所で上手く行くと思います?
まー、文章打ち込んでだんだん暗澹たる気持ちになったりしていますが、もちろん成功しているバンドもいます。でもねえ、そんな成功例のバンドのライヴを見て、どこがどうやって彼らは成功しているのかなんて考えているバンドは実際少ないでしょね。見てないでしょ?ライヴハウスで行われるそういう成功例、もしくはブレイク直前のバンドのライヴ。
とある音楽学校で先生に話を聞いたんですが、生徒にライヴを見に行けといっても見に行くのは大きなホールのライヴだけなんだ、と。そんな生徒さんに限らず皆さんもそうじゃないですかね。でもね、ホールクラスのバンドのライヴを見たところで演奏のテクニックはためになるかもしれませんが、自分のバンドの活動指針にはならないのですよねえ。将来こんな感じになりたい、なんて夢見がちな気分になるくらいで。絶対見るべき! とは言いませんが、見ておいたほうがいいと思いますよ。
基本ミュージシャンは自分はカッコいい、自分たちは素晴らしい音楽をやっているバンドなんだ、と思って活動してますから、自分のバンドのレベルが如何ほどのものなんて考えませんよね、あまり。でもねえ、自分たちでやるということはそこを冷静に判断しないといけないということでもあります。どっちにしろ音楽以外のストレスも増えるということ。本来そういったことはメンバーではなく、事務所の人間やレコード会社の人間が考えることだったんですけど。
と、まあこれはあくまで音楽で生計を立てていきたい、と考えている人に向けて書いたお話で、俺は趣味で楽しんでバンド活動をしている、他の仕事をメインとしていてそれを音楽で崩すつもりはない、という方々に関してはこれに当てはまりません。むしろオノレを貫きたいというのならそっちのほうがいいと思います。いや、むしろそうであるべき。
とまあ最後は暗い話で今回は〆ることになってしまいましたが、音楽業界の不況というのは間接的にバンドにも支障をきたしているというお話でございました。

といったところでそろそろ今回のページはおしまいなんですけど、でもねえ、未来は全く暗いか、といえばそうでもないよ、とも思います。ただ以前より賢く立ち回らないといけない、とは思いますが。そういった話を次号では書こうかなあ、とか。覚えていれば、ですけど(笑)。ではまた次号!

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