音楽メディア・フリーマガジン

WHITE ASH

美学を突き詰める彼らのサウンドは これからも攻め続ける。

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One Man Tour “Lilium”
March 15,2014 SHIBUYA-AX

S.E、the pillowsの「White Ash」が流れる中、オーディエンスは解き放たれたかのように歓喜の声をあげWHITE ASHを歓迎した。その熱気に応えるようにメンバーそれぞれが深々と礼をし、ステージへ上がる。そして、『Ciao, Fake Kings』を引っさげた“Lilium”ツアーファイナルが幕を開けた。

1曲目はthe pillowsのカバー「White Ash」。オリジナル音源の次に演奏するとは、なんと挑戦的な…。後半、曲のBPMの上昇とともに会場の温度も徐々に上がっていく。間髪入れずにDr.剛のカウントが入り、「Crowds」が始まる。特徴的な変拍子のカッティングから堰を切ったように流れる曲の展開に、オーディエンスも応えるように踊り狂う。「今日はみんなでサイコーな夜にしましょう!!」とVo./G.のび太が叫び、「Number Ninety Nine」へ。シンプルに鋭く研ぎ澄まされたサウンドの塊が、熱くなった会場をさらに熱狂の渦へと駆り立てる。

続くMC。のび太がOne Man Tour “Lilium”の全9公演がソールドアウトされたことについて感謝を告げ、「『Ciao, Fake Kings』の中でも僕がとびっきり楽しめる曲をやりたいと思います」と「Zodiac Syndrome」を演奏。Ba.彩にスポットが当たり、地を這うような歪んだベースが唸り出す。会場は一気にドープな空間へ。その空気は「Vain Promises」へと繋がり、より暗く、そして重く会場を漂う。続く「Under The Lightless」、メランコリックな曲調に乗るのび太のハイトーンな歌声。一色の照明に照らされた彼らの光と影は、あまりにも美しく、儚く見えた。

後半戦、G.山さんが唐突に打楽器ギロを持ち出し「ギターの山さんからギターのギロさんに変身しますので、皆さん一緒に踊りましょ」とツッコミどころ満載のMCを行い、「Bacardi Avenue」を演奏。ギロさんはヴァイオリンのような演奏スタイルでギロを奏でた後、サンタナもかくやという粘り気のあるギターソロで会場を魅了した。

その後のMCで山さんがツアー中トラブル続きで住職にお札を作ってもらったことを報告、演奏と真逆の激ゆるなスタンスに会場が一気に和みムードに。「昨日がホワイトデイだったので、僕らからのお返しで、この曲をみなさんに」とのび太が言い「Would You Be My Valentine? を演奏した。

歓声鳴り止まぬ中、アルペジオの掛け合いが始まる。フィードバックが鳴る中エッジーなギターリフが放たれ、本編最後の曲「Casablanca」へ。繰り出される轟音。会場はハンドクラップで応え、待ってましたと言わんばかりのオーディエンスによるモッシュ、クラウドサーフィンの応酬が始まる。一体となったグルーブが重く、激しく会場を揺さぶる。

鳴り止まぬアンコールに応え、まず山さんがステージに戻りマイペースかつゆるすぎるMCを展開。その奔放なスタイルが会話に参加したのび太と彩を困惑させる場面も…。オーディエンスも親近感の湧く空気感を楽しみ、思い思いに言葉を発していた。

その後、今回のために結成された“Lilium聖歌隊”が登場。「みなさんに遅れたクリスマスプレゼントを」と「Xmas Present For My Sweetheart」を演奏する。会場には舞台装置による雪の演出がなされ、多幸感溢れる空間となった。

活動5周年を迎え、更に加速する勢いは止まらない。自分たちを美学を突き詰める彼らのサウンドは、これからも攻め続ける。

TEXT:馬渡司/PHOTO:柴田恵理

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