異常気象がこうも続くとそろそろ日本も壊れかけているなと思えてくる。9月になっても真夏みたいな暑さの中で、僕たちは息もたえだえにすごしているのだ。深夜になっても真夏みたいな暑さに寝不足気味の僕は、朝方になってもボーとしたまま、何も考えられない状態に陥っている。思考停止。こんな時は、いろいろ怪異な出来事に遭遇するようで、つい最近もまたあんな奇怪なモノに出合ってしまったのだ。――「鈴ババア」!この妖怪だか人間だかわかんないモノを見た僕は、子供みたいに暗闇を恐れるようになった。リ~ン、リ~ンと響く鈴の音色を恐れるようになった。さて、その出合いとは……。
「鈴ババア」の話しをする前に、地下街でうごめいていた「四股踏みオヤジ」のことに言及しないといけない。あの日僕は、久しぶりの嵐会のために宗右衛門に向かっていた。アラシックバーで、嵐友と嵐トークをするためにである。地下鉄の千日前線で日本橋に着き、なんばウォークに出た。アムザへ向かおうと、近鉄線の日本橋駅あたりに来た時、異様な空気感で思わず立ち止まった。見ると、黄色の救命ジャケットみたいなのを身につけた係員が二人、地べたにうずくまってる女の子に話しかけている。女の子は、膝を抱えてうずくまりただ嗚咽をもらしている。ジーパンはホコリにまみれ、白いTシャツも薄汚れている。ほっぺたにも黒い土がこびりついている。彼女の横には、カレシらしき男の子がいるのだが、茫然自失。じっと虚空を見つめているだけだ。何事か興味はあったけど、待ち合わせの時間もあったので後ろ髪を引かれる思いでその場から立ち去った。だが、次の瞬間、僕はとんでもないものを目撃したのだ。女の子から一メートルくらい離れたところで、白いポロシャツに白いスラックス姿のオヤジが四股を踏んでいたのである。黙々と。顔に土をつけ嗚咽する女の子。茫然自失のカレシ。余裕で四股踏むオヤジ。この三者の間で一体なにがあったのか?その答は、自分で想像するしかない。だけど、いつとはなく、こんな都市伝説があるのは確かだ。都会の地下に、突然現れて誰彼構わず相撲の技で善良な市民を投げ飛ばす怪人がいる……。僕の見た、日本橋の「四股踏みオヤジ」が、その怪人であったかどうかは、もはや確かめる術はない。
「鈴ババア」の目撃談は次号で!
刮目して待て!