自主レーベルを立ち上げ、自力で4枚のアルバムを制作販売し、ライブハウスの現場から熱い支持を受けるこれほど硬派なロックバンドを私は知りません。
今回のアルバムはCD+DVDの2枚組。音も映像もアナログ機材とデジタル機材の2WAYで制作され、その違いを楽しめると同時に、「月」というコンセプトで内容を統一し、アルバムとしての完成度も高いものになっています。
繁華街で叫ぶ気の狂った男、東京オリンピック銅メダリスト円谷幸吉、遠い海で日照りにさらされる漁夫、自分の顔を見たことがない少年…10人の「月を見る人」がそこにはいます。
昨今の音楽メディアは著しい変化を遂げています。その中にあってアーティストがアルバムCDという形態を選択するにはそれなりの覚悟や動機が必要です。今作はインディーズの世界にあって、バンドが導き出した1つの回答なのかも知れません。