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心斎橋BIGCAT ワンマンライブ“奇跡の軌跡” 直前インタビュー

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Vo./G.奥野が紡ぎ出す繊細で透明感のある歌とダイナミックなバンドアレンジ、感情溢れるステージで注目を集めるKIDS。昨年11/7に2ndミニアルバム『奇跡の軌跡』をリリースし、2/16の自主企画イベント“Give and Take”、そして3/7に心斎橋BIG CATで開催するワンマンライブ“奇跡の軌跡”に向けて全力で走ってきた彼ら。今月号では、東京での初の自主企画イベント“Give and Take”のレポートと、そしてライブ直前の4人に迫り、ワンマンに対する意気込みとライブにかける彼らの想いを訊いた。

「“これが俺やな”というのを見つけて、それを1年間続けていくうちに、完全に“絶対にこれやな”というのがわかったので、今は自信を持ってやれているんです」

●3/7の心斎橋BIGCATワンマンまで1ヶ月を切りましたけど、緊張してきましたか?

片貝:ある意味挑戦的な意味合いもあったのでいろいろ考えていたんですけど、ワンマンまであと1ヶ月を切って、逆に落ち着いてきました。当日はオープニングトークで2時間くらいしゃべったろうかなと。

●でもオープニングトークでスベったらまずいでしょ(笑)。

奥野:ライブがやりにくくなります。だからダンボ(片貝)のオープニングトークはありません。

●もうセットリストは決めたんですか?

奥野:決めました。2時間ちょいくらいのセットで。

●最近はワンマンに向けてリハを?

奥野:そうですね。今日のイベントに向けてのリハもありましたし、その他諸々やらなあかんこともいっぱいあったんですけど、最近やっとワンマンに向けて準備し始めました。

植田:僕はワンマンに向けて、追い込みをどんどんかけているんです。

●精神的追い込みを?

植田:精神的な追い込みも、技術的な追い込みも。個人練習めっちゃ入ってるんですよ。スキルアップもしないといけないですし、どんどん追い込んでます。

●藤村くんは?

藤村:最初はビビるばかりで、ワンマン当日のイメージとか全然できなかったんですよ。僕は結構ネガティブ思考なので。でもここまでくると、後はバンドの曲のクオリティを上げて、来てくれる人は何百人もおるわけやし、その人たちにどれだけ見せることができるかだなって。最初のビビリはかなりなくなってきました。今日のイベントを乗り越えて、「さあ次!」という気持ちで挑もうと思ってます。

奥野:僕はワンマンがすごく楽しみなんですよね。バンド自体も6年半なんですよ。もちろん通過点なんですけど、毎回ワンマンはそれまでの集大成を見せなあかんと思っていて。今までの経験が自信になっているし、個人的には早く歌いたいと思ってます。新曲もやる予定で“あの曲やったらどんな風になるんやろう?”と楽しみですし、逆に古い曲もやるから“あの曲やったらあいつらアガるやろうな”とか考えたら、早く歌いたいです。

●楽しみですね。

奥野:セットリストも決まったし、細かい演出とかはまだですけど、4人でどういうライブにしようっていうイメージは共有できたので、当日に向けてがんばるだけですね。後は、ダンボのMCをどこに投入するのか。それだけが問題ではあります。

●あれは諸刃の剣ですからね(笑)。

片貝:アップテンポな曲の前にしてや。バラードの前だとスベるから。

●ハハハ(笑)。

奥野:僕は「MCの内容はその場で思いついたことを言えばいいよ」といつも言ってるんですけど、でもダンボはライブ前に1人でトイレに入ってブツブツ言ったりしてて。

一同:アハハハハハハ(笑)。

片貝:そんなこと言わんでもええやん!

●素材はいいのにな〜(笑)。

藤村:メンタルが弱いんです(笑)。

●ところでKIDSが考える理想のライブはどういうものですか?

藤村:メンバーでもそういうことは話し合ったりするんですけど、メンバーによって意見が違ったりして。お世話になっているライブハウスの人たちからも「こうやった方がいいで」とかいろいろアドバイスをもらったりもして。バンドとしては理想のライブを探し続けている感じですかね。

●確かに、この1年間くらいKIDSのライブがすごく変わってきた感じがあります。

片貝:僕が思うのは、だんだん理想に近づいていっている感じがあるんです。やっぱりいろんなことをアドバイスされるんですよ。「もっと聴かせた方がいい」とか「もっと熱くいった方がいい」とか「引き算を覚えなさい」とか。でも1回冷静になって考えたときに、僕らってそんなにおとなしい性格じゃないですし、おとなしいライブなんてできるわけないわと。結局はそのときに全力でやるしかないと思って、“全力のライブ”というのを僕は意識するようにしています。ハッキリとそう思ったのは最近なんですが。

奥野:僕が明確に変わったのは、“楽しいのを我慢するのは良くないな”と思ってガーッと思いっ切りやるようになってからですね。もともとメロディックパンクのジャンルをやっていて、今のような音楽性に変わって、考えすぎて、意識して抑えてたんですけど、今はまた元に戻って楽しいまま感じるままライブをやっているんです。そのきっかけになったのが去年の2月のライブで。“これが俺やな”というのを見つけて、それを1年間続けていくうちに、完全に“絶対にこれやな”というのがわかったので、今は自信を持ってやれているんです。

●なるほど。自分を知ったというか。

奥野:そうですね。もちろん賛否両論あると思うんですけど、そういう意見があるのは当然だし、個人的には本気でやれば伝わると思っているんです。そういうことをこの1年のライブで何回か痛感したことがあって。本気でやれば伝わるなと思います。

●植田くんはどうですか?

植田:がむしゃらでやることを大事にしてます。猫をかぶらずに、出せるものは全部出して。かっこつけたりとかしても結局はダサいんですよね。

●例えばKIDSのライブでは、フロントの3人が急にガーッと身を乗り出したりもするじゃないですか。ああいうのは自然にそうなってるんですか?

奥野:特にメンバーで「あそこで攻めようぜ」みたいな話はしていないです。

●あっ、そうなんですね。

植田:自然にそうなったよね。

藤村:だんだんそうなっていきました。最初からパッとああいう感じになったわけじゃなくて、誰かが前に出て、それに反応してまた誰かがやって。気がついたら3人が前に出ていました。いろいろと悩んでいる時期があって、先輩とかのアドバイスを受けて、それをバンドでも個人的にもいろいろと考えたと思うんです。そうやってきて、奥野がふっ切れたときくらいに俺らも“感じるままにやった方がいいな”と気づいて、それで今のライブのスタイルに繋がっているような気がします。

●なるほど。2012年11月リリースの2ndミニアルバム『奇跡の軌跡』収録の「ミラーボール」は初めて4人のセッションで作った曲でしたよね。ライブでそういう変化が出てきたからこそ、ああいう動的な楽曲ができたんでしょうか?

奥野:たぶんそうやと思います。ふっ切れてなかったら「ミラーボール」はできていなかったと思います。

植田:あの曲ができてライブもかなり変わりましたね。

藤村:たしかにそうやな。

片貝:意識統一がしやすいもんな。サウンドのコンセプトが「踊らせてやろう」なので。

●ライブは楽しいですか?

4人:楽しいです。

植田:僕は、普段は人前に立つのもあまり好きじゃないんです。

●え? マジで? 前にやっていたバンドではヴォーカルじゃなかったでしたっけ?

植田:ヴォーカルもやってました。実は人前に出るのは好きじゃないんです。でもライブは好きなんです。

●それはなぜなんでしょうね?

植田:考えてみると、バンドに関して自信があるから人前に立てるのかなって思うんです。1人だったら無理です。でもバンドだから、今できているんかなって。

片貝:それやわ。

藤村:乗っかった!

●人前に出るのは苦手だけど、このバンドでステージに立てば自分を表現できるんですね。

植田:そうやと思います。それが楽しみになっていると思います。

●藤村くんはなぜライブが楽しいんでしょう?

藤村:音楽を始めて、そこから練習してライブをして…という過程で全部成長してきたことをライブで実感できるからですね。バンドをやるようになって人とのコミュニケーションする力も上がったと思うし、いろんな人の意見を聞いて消化して、お客さんが全然居ないときもやってむっちゃ悔しい想いもしたし、でも今はだんだんお客さんが増えてきて。メンバーもそうやし、今のようなライブのスタイルじゃなかったけどだんだん今のように変わってきて。そういう自分たちの成長を全部ライブで感じることができるので、やっぱり楽しいですね。

●今までやってきたことが全部繋がっている?

藤村:うん。繋がっているなと思ったら、やっぱりやってきて良かったと思いますね。がんばって辛い想いとか悔しい想いもするけど、でもそれがあるから次にがんばれるし。ライブはそういう場所ですね。

●なるほど。奥野くんはなぜライブが楽しいですか?

奥野:大前提として歌うことが好きっていうのがあるんですけど、手持ちカードの見せ合いっていうか。

●手持ちカードの見せ合い?

奥野:「KIDSです」ってステージに出て、まず「俺らこの4人で音出してます」って攻めることができるじゃないですか。ギターソロがあったら「ウチはこんなギタリストを持ってるんですよ」って。「こんな曲があるんですよ」「こんなドラマーなんですよ」「こんなにいいベースが居るんですよ」って、いろんな武器を相手に届けるのがおもしろいんです。

●ああ〜。

奥野:それは駆け引きなのかもわからないですけど、「ここでこいつこんなことやるんだよ」みたいな。だからソロとかだと、ライブ中なのに笑ってしまうんです。「もっといったれ!」って。

●ハハハ(笑)。

奥野:お客さんに対して自慢している感じというか。隼人がたまたまめちゃくちゃかっこいいピックスクラッチしたら「うほー!」って嬉しくなったりして。そういうのってライブでは毎回違うじゃないですか。そういうのが1個もないライブは逆につまらないんです。

●自分のことだけじゃないんですね。

奥野:そうですね。ダンボがめっちゃおもろいMCしたら僕も嬉しいし。僕は友達が少ない分、ライブで友達の自慢をしている感覚というか。それも口で説明するんじゃなくて、音楽を通じて自慢してる。それで共感してくれたりしたらやっぱり嬉しいし。

●仲がいいからこそのコメントですね。

片貝:自慢したいっていうのはすごくわかる。メンバー1人1人は誰に紹介しても「いいやろ?」と言える奴らなんで、そういう奴らとやっているライブやからきっと楽しいんだと思います。4人やったら何をしていても楽しいんですよね。機材車の中で話してるだけでもおもろいし。

●喧嘩はまったくしないんですか?

奥野:曲作りとかしていたら僕は結構強めに言いますけど、それは別に喧嘩じゃなくて、曲を良くするためのやり取りだし。

●建設的な意見のやり取りですもんね。

奥野:だから喧嘩はないよな。

藤村:酔っぱらった奴に僕がキレるくらいかな。

●酔っ払ってメンバーが人に迷惑をかけたときだけはキレると。

植田:僕が倫に迷惑かけるくらいです(笑)。僕は記憶にないんですけど、今年の新年会で酔い潰れてめちゃくちゃになって、倫と喧嘩になりました(苦笑)。それ以来、酒を断ってます。

一同:ハハハハ(笑)。

interview:Takeshi.Yamanaka

 

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