音楽メディア・フリーマガジン

カラーボトル

紆余曲折の末に辿り着いた新境地で歌う一所懸命に生きる人への応援歌

AP_CB_4C2004年に仙台にて結成した“魂揺さぶるロックバンド”、カラーボトルが10年目を迎える2013年1月にニューアルバムをリリースする。決して順風満帆ではなかった活動歴の中で様々な紆余曲折を経て、3人が辿り着いた今の境地。自分たちらしさを理解した上で、そこからさらに一歩先へと進もうとする意志と可能性が今作『生きる』からは明確に感じられる。“自分全開! 人間全開!”という情熱的なステージで、汗と涙と笑顔が溢れる熱いライブも今作のツアーでさらに威力を増すことだろう。カラーボトルの第2章が、ここから始まっていく。

「“止まってなるものか、ここで満足してなるものか”と思って、全ての曲に自分たちの全エネルギーを注いで作ってきた結果が本当に自分たちらしい作品になった」

●先日(2012年12/9)、初の赤坂BLITZ公演を終えたわけですが、いかがでしたか?

竹森:今回はツアーファイナル(“COLOR BOTTLE IS HERE!! 2012 〜ロックンロールの世界にようこそ!”)ということもあって、“スペシャル”と銘打って挑んだんです。ファンの人たちにどういう曲が聴きたいかというアンケートを事前に取っていたので、久々に演奏した楽曲もあったりして面白かったですね。アンコールでは今作のM-2「ファイター」でコラボしている我武者羅應援團とステージでも共演できて、僕の中ではそれが一番印象に残っています。…終わってから何日か経っているんですけど、まだ興奮しているくらいで…(笑)。

●余韻が残っていると(笑)。大川くんはどうでした?

大川:メチャクチャ緊張しました(笑)。BLITZって一度も出たことがなくて、今まではお客として観に行く場所だったので本当にドキドキしましたね。ライブ中もずっとドキドキしていて、すごく変な感じで…。今までのライブではものすごく冷静か、ものすごく熱くなっているかのどちらかだったんです。でもBLITZでは熱くなっている自分を冷静に見ているような感覚で、すごく不思議な景色が見えたんですよ。

●今までにない体験だったと。

大川:良い意味でも悪い意味でも、衝動的なライブでした。“もっとこうやりたかった”という課題も見えて、次につながる良いライブだったと思います。

渡辺:このツアーでは全国の色んな場所をまわってきて、初めて行く場所もあったんです。そうやって色んな場所をまわってきたことで、1つの終着点を迎えた感じもあって。ライブ中にお客さんたちの顔を見ながら、色んな人たちに支えられていることへの感謝の気持ちがすごく湧いてきましたね。

●ある意味で、集大成的な感じというか。

渡辺:そうですね。自分たちのベストを出すことができました。

●そもそも今回、BLITZでスペシャルなライブをやろうと思ったキッカケは何だったんですか?

竹森:前に進んでいくために超えなければいけない壁が、そこにあると思っていて。何とかたくさんの人に観てほしいし、観に来ようか迷っている人が来たくなるようなことを自分たちで準備しないといけない。今までどおりのライブをやっていては動員も伸びないんじゃないかというところから、“じゃあ、スペシャルにしよう”となったんです。自分たちで課題を背負い込みながら、それを“跳ねのけてやる!”みたいな想いがありました。

●ライブをやる中で気付いたこともあったのでは?

竹森:ライブへ来てくれた人に元気になってほしいし勇気を取り戻してほしいと思っているので、僕らはいつも「情熱を届けます! 受け取ってくれますか?」ということを言っているんです。でも今回はみんな元気になるだけじゃなくて、思いっきり泣きたいのかなということをすごく感じて。(日常で)我慢してきた涙をライブで流して、すっきりして帰りたいっていう人も結構いるんだなということをアンケートやライブを通してすごく感じたんですよ。僕らの音楽をそういうふうに捉えてくれているんだという新しい発見がありましたね。

●カラーボトルの曲に自分の気持ちを投影して泣いているわけですよね。

竹森:今回のツアーは、泣きながら観ている人がやたらと多かったんですよ。しかも隠れて泣いている感じじゃなくて、もうボロボロ泣いていて。

●人目もはばからず、号泣している(笑)。

竹森:本当に自分の人生に投影してカラーボトルの音楽を聴いてくれているというか。“この曲を聴いて仕事を辞める決心がつきました”と言ってもらえたりとか、誰かが自分の人生を変えるためのアクションをするキッカケになっているのはすごくうれしいですね。

●共感できるだけじゃなく、前進するキッカケにもなっているんですね。

竹森:同じ時代を生きていく中でただリスナーの喜怒哀楽に寄り添うだけじゃなくて、そこから先を一緒に歩いていく音楽というか。オーディエンスがいて僕らがいて、そこの中心に音楽がある。最近のカラーボトルのライブでは、そこでつながっているということを体感できると思いますね。

●ライブがそういうふうになったキッカケとは?

竹森:転機になったのは、インディーズから出した『情熱のうた』(2011年2月)というミニアルバムですね。その時は自分たちの中にモヤモヤした気持ちや不安がすごくあって、“自分たちが本気でやったって、どうせ響かないよ”っていう感じでヒネくれて卑屈になって諦めかけていたんです。その時にもう一度、初期衝動を取り戻そうと思って、“情熱”という言葉をキーワードに作ったのが『情熱のうた』だった。そこから“僕らはもっともっと行けるだろう!?”っていう気持ちが出てきて前に前にと進めるようになって、停滞している感じもなくなったかな。

●『情熱のうた』をキッカケに、勢いを取り戻したと。

竹森:そこから自分たちの地元(仙台)で東日本大震災が起きたことも踏まえて、“愛と希望と勇気を届ける”っていう意味で『COLOR BOTTLE』(2012年2月)という自分たちのバンド名を冠したフルアルバムもリリースして。1つの最高傑作になったと思うし、そこで出し切った後に何が見えるのかということを考えたんです。“愛と希望と勇気の先に、情熱を振り絞って生きてきた先に、何があるんだろう?”ということが今回のアルバムのスタート地点だった。各地をツアーでまわりながら楽曲を作ってレコーディングをしていった感じで、全部が同時進行だったからこそ今作は生々しいカラーボトル・サウンドになったんだと思います。

●今作はタイトル通り『生きる』ということがテーマとしてあったんでしょうか?

竹森:最初から“生きる”というテーマやコンセプトを持って作り始めたわけではなくて、“今のカラーボトル全開”ということだけをコンセプトに曲を作っていきました。収録する12曲が出揃ってタイトルをみんなで話し合った時に、“生きる”とか“生きていく”みたいなテーマがどの曲にも言えるねとなって。1つの共通するテーマになっているし、タイトルにしてみたらストレートすぎるくらいストレートでいいんじゃないかなと。

●結果的に、“生きる”というテーマが全ての曲に共通していた。

竹森:今作にも収録したM-12「あぜ道」は自分たちの原点であり、1stステージからずっと歌ってきた曲なんです。苦しくたって辛くたって生きていくための、栄養ドリンクやご飯のような音楽を新鮮な内に届ける。そんな活動を僕らはしたかったし、そこの部分をずっと大事にしてきた。「あぜ道」という曲からずっとつながって持ち続けているカラーボトルの芯って、そこなんだなと。自分たちは生命力を大切にしているんだということに気付けたので、このタイトルにしました。

●狙ってこういう作品にしたわけじゃなくて、結果的にこうなったというか。

竹森:“自分たちはこうです!”というものを持って、やり始めたわけじゃなくて。むしろ既存のものを壊すくらいの気持ちで小さくまとまらないようにというところで、今回は色んな挑戦もしたんです。たとえば橘いずみさんのM-3「太陽」で初のカバーをやったり、「ファイター」で我武者羅應援團と初のコラボをしたり。僕らの大好きな鶴に演奏とアレンジを任せてコラボしたM-9「モンスター」とか、映画のために書き下ろしたM-4「やぁ、野良犬。」、アニメのオープニング曲として作ったM-5「魂ドライブ」とか。本当に色んなチャレンジをしているんですよ。“止まってなるものか、ここで満足してなるものか”と思って、全ての曲に自分たちの全エネルギーを注いで作ってきた結果が本当に自分たちらしい作品になったという印象はありますね。

●カバーやコラボをやるという発想はどこから?

竹森:アルバムを作り始める段階でデモはたくさんあったんですけど、その中から良さそうなものを選んで歌詞をしっかり書いてレコーディングする…というだけのアルバムでいいのかなという想いがあって。新曲だけじゃなくて、「あぜ道」や「モンスター」やM-7「幻」のようにライブでオーディエンスと一緒に育ててきた曲も今のカラーボトルだと思うから。「太陽」は僕が路上時代から歌っていて自分の応援歌として聴いているような曲なんですけど、それをカラーボトルとして演奏したらもっと新しいフィールドに行けるかも、新しいことに気付けるかもという気持ちがあったんです。

●今までやらなかったことをやることで、新しい境地を目指したんですね。

竹森:コラボしてみようというのも、たぶんメンバー3人だけだったら出てこなかったアイデアで。マネージャーとプロデューサーも合わせた5人で制作を進めていく中で、生まれてきたアイデアなんです。この5人の中の誰かが反応したものなんだからとりあえずやってみて、ダメだったら作品に入れなきゃいいだけだからという感じで挑んでいきましたね。

●メンバーの中でも挑戦していく気持ちがあった?

大川:前作の『COLOR BOTTLE』はそれまでの総括というか、“ザ・カラーボトル”と言える作品だったと思っていて。今作ではその先を見せたいという気持ちがあったんです。だから今までにやったことがないことをどんどん取り入れてみたいなっていう気持ちはありましたね。それまでのカラーボトルとしての章が終わったのが前作で、今作から新章に突入して“どんどん進んで行くぞ!”っていう前のめりな感じを上手く出せたと思います。

●今作が新たな第一歩になっている。

大川:今までを踏まえた上で前作を作って、そこでちゃんと自分たちの進む道や自分たちの色が見えたんです。それがあったからこそ、今作で昔の曲をリアレンジする中でもまた違うものが見えてきて。ゲームで言うと1周目では見えなかったことが2周目で見えてくる感じというか、これからがどんどん楽しみになる作品かなと思います。“これからもカラーボトルはもっと進んでいくぞ!”という意志も込められたんじゃないかな。

●バンドとしても1周してきて再びスタート地点に立った感じというか。

渡辺:このタイミングというのも別に誰が決めたわけじゃないんですけど、バンドとしてそういう時期だったのかなと思いますね。

竹森:色々とチャレンジしてきて今ここに立てているというのは、すごく良い状況だなと思うんです。元々、カラーボトルは骨太のロックバンドだったのが、一時期は歌ものバンドに甘んじていたりと本当に紆余曲折があったんですよ。今はすごく骨太なロックバンドになっているんですけど、それはただ過去を取り戻しただけじゃなくて、もっと前へと進んでいる新しいバンドなんだ! …ということを自分たちで言うのはカッコ悪いので、誰かに言ってほしいなと(笑)。

●ハハハ(笑)。”まだまだこれからだ”という感じで、自分たち自身にハッパをかけるような作品にもなっているのでは?

竹森:そうですね。良い感じの歌い方や新たな可能性とかに気付き始めた頃にレコーディングが終わっちゃったので、もう1回録り直したいなっていう感じです(笑)。自分に合うマイクをプロデューサーと一緒に探しに行ったりもして、目指すヴォーカル像を見つけかけたところで終わったので、次が本当に楽しみなんですよ。

●3月のツアーでは、今作からさらに進化した姿が見せられるんじゃないですか?

竹森:もっと成長していたいですね。今作の曲ももっともっと消化して、カラーボトルのサウンドとして出したいんですよ。2013年はバンド結成から10年目になるんですけど、これまでは本当に色んな紆余曲折があって。色んなことに挑戦してきた分、表現の幅という部分では同じくらい活動してきた他のバンドにも負けないと思うんです。本当にカラフルで色んな色を持っているからこそのカラーボトルなので、何が起こるかわからないライブにしたいと思っています。感動のライブをぜひ一緒に体感しに来て下さい!

大川:ツアーファイナルのBLITZでは”今知っているカラーボトルはもう古いぞ!”と言えるくらいのライブができたらなと思います。

渡辺:ライブでもたくさんチャレンジをしたいと思っていて。誰もやったことがないようなことにもチャレンジしていくつもりなので、観に来ないと損をしますよ!

Interview:IMAI

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj