1stフルアルバム『ポップアイロニー』から3年半。様々な困難を乗り越え、昨年10月にリリースした3rdミニアルバム『Us and U』、そして今年4月の4thシングル『I LOVE! I HATE!』を経て、midnightPumpkinが待望の2ndフルアルバムを完成させた。数多くのライブで培った表現力とライティングセンスは更に磨きがかかり、込められたメッセージはどこまでも深く突き刺さる。どこにも嘘のない、体温を感じさせる等身大のリアリティが詰まった全12曲は必聴だ。CDデビュー5周年を記念したベストアルバム『Best of Pumpkin〜5th Anniversary〜』も同時リリース。
●今回、2ndアルバムとデビュー5周年を記念したベストアルバムが同時リリースとなりますが、CDデビューしてからの5年間を振り返ってみるとどうですか?
wakana:短かったかな?
MAYA:短いんだけど濃すぎた。暗黒時代がいちばん濃かった(笑)。
●暗黒時代…所属していたレーベルが無くなり、リリースが全然見えなかった2008年から2009年にかけての頃のことですね(笑)。
MAYA:暗黒というより残酷時代ですよ(笑)。人間が人間じゃなくなるんじゃないかなっていうくらいの話し合いをずっとしていた(笑)。
●でもそういう時期を乗り越えて今回のリリースにも至るわけじゃないですか。結局バンドを8年間やってこれた理由は何だったんでしょう?
wakana:やっぱり私たちはライブがすごく好きで。だからライブがあったからこそだと思います。暗黒時代もライブだけはめっちゃやってて、「やっぱりこうなのかな? あーなのかな?」みたいな感じで悩みながら貫いてきたところがあって。やっぱりライブを1回やるとなったら色んな人の力が必要になってくるじゃないですか。そういう人たちへの感謝の気持ちというか。
●そういう人たちを裏切らないためにもがんばろうと?
MAYA:「裏切らないために」というか、裏切ることなんて考えてもいなかったんです。半ば意地だったのかもしれないけど、そういう状態で何回も話し合いを重ねて気付いたことも多くて。心が折れかけたメンバーも居たんですよ。でも「まだ全部出し切っていないんじゃないか?」って話し合って。そこでもう1回ちゃんとやろうという気持ちになれました。
wakana:今回、デビュー5周年は5周年なんですけど、やっと今また第2章が始まりつつあって、その過程でベストアルバムも出しますっていう感じ。
MAYA:また新たな次の1ページを開いていくのかなって。
●5年というのはそれほど長い期間ではないと思いますが、今回ベストを出すにあたって改めて過去の楽曲を聴き直すわけじゃないですか。改めて聴いてみて、どうですか?
wakana:酷いですね(笑)。
MAYA:若いというか。がむしゃらにやっている、みたいな。
wakana:でも当時はそれがベストだったんだなっていう、妙な親心もあり(笑)。
MAYA:ここから始まったんだなっていうのがある。
wakana:今はその時にできなかったことができているとも思いますし、もちろん技術的な部分もそうですけど、気持ち的にも。当時は本当の良さみたいなモノが出てなくて、余裕のないまま作ってたんでしょうね。
●自分たちの良さにも気付いてなかった?
wakana:うん。もちろんやりたいことはやってるんですけど、リラックスしてないというか。今までは目の前にあるものをただ作るっていうことしか考えられなかったんです。でも今は前も後ろも考えながら「ここは力を抜いていい」とか「ここはがんばるところだ」みたいなことが色んな意味でわかってきて。そういうところが今回のアルバムでは表現できてると思います。
●その2ndアルバム『LOVERAORY』ですが、どういう風に作っていったんですか?
wakana:実は、ネタとしては6年くらい前からある曲も入ってるんです。アルバム制作の中で、自然に昔作ったネタを引っ張り出してきてアレンジし直して。いつもそうなんですけど何か作品を作ってると、その為に集めた1曲1曲が勝手に自分の心境とか今までやってきた流れを酌んでいたりするんです。今回は昔からあった曲も最近の曲も入ってますけど、集まった曲を見た時に「今、愛に溢れてるな」と思って。愛に溢れるアルバムになっちゃったなと思います。
●愛に溢れてるんですか?
wakana:溢れてますね(笑)。去年10月にリリースしたミニアルバム『Us and U』で“誰かが居るから自分が存在できる”ということを身に沁みて実感したんですよ。その流れで書けたのがシングル曲「I LOVE! I HATE!」で、“世の中で起こっている悲しい事件とか悪い話も、結局はみんな愛を求めているが故に起こっているんじゃないか”という気付きがあった。そこから広げていって、今作の色んな曲で“世界のどこかでまた愛は生まれてる”ということを歌ってるんです。
●ミニアルバム『Us and U』からの流れで今アルバムに至ったと。
wakana:そうですね。時代も越えて、国境も年齢も何も関係なくずっと私たちが生み続けてきたのは愛だけだと思うんです。「I LOVE! I HATE!」が中心にあって、そこから派生して他の曲たちが生まれて、歌詞もそういう歌詞になって。全部集めた時に“これは愛の研究結果だな”と思ったからアルバムタイトルを『LOVERATORY』にしたんです。
●それと、サウンド的にもすごく自由なアルバムだという印象があったんですよね。
MAYA:暗黒時代に散々話し合った結果が出てると思います。今作というか、『Us and U』以降にすごく出てる。
●というと?
MAYA:大人たちに囲われて「これをやりなさい」と言われたりすることってあると思うんです。でもそういう大人たちが居なくなったとき、midnightPumpkinというバンドを見つめ直して。やっぱり自分たちが自然じゃないと曲も作れないし、自然でいるが故にスタジオでみんなで編曲しててそれが気持ちよく形になったりする。もちろん今はレーベルに所属してるし、ある程度制約というものはありますけど、その現実の中で少しでも自由というものを自分たちで見い出せればいいと考えられるようになった。
wakana:昔は「これは全部ダメなんだな」みたいな感じで思ってたんですけど、今はそういう気持ちが全然無いよね。むしろ“CDが出せて、そこには限られた自由がちょっとあって、そこに言葉を乗せることができるなら自由だろ”みたいなくらいポジティブになってる。
MAYA:小さくても自分たちにとっては広い自由だよね。
wakana:そういう自由の場所を見つけることができたから、やりたいことをやるようになっていってるのかな?
●言い方を変えれば、純粋に音楽に向き合えてるんだと思います。
wakana:メンバーはみんな“こうじゃなきゃダメ”っていうのがそんなに無いんです。「ブラスがない曲があっても全然いいでしょ」って言うメンバーも居るし、ウチらも別にそれはそれで曲が成立するならアリだと思う。そういうのがあって、変に「これをしなきゃダメだよね」みたいな感じで作ってないアルバムなんですよね。
●それに今アルバムの歌詞やメッセージには説得力があると思うんです。例えば女性が書く恋愛の曲って、男性からしたら共感できないというか理解できない部分もあったりする。それは当然のことなのかもしれないけど、でもmidnightPumpkinが書く曲はもうちょっと広い視点で物事を見ている気がして。さっきの「I LOVE! I HATE!」の話からも感じたんですけど、歌詞を書いているwakanaさんは色んなことを日常的に考えてるんじゃないですか? 歌詞を書くために何かを考えるというより、普段から色んな物事を色んな視点で見て、自分なりにその時々で答えというか、決着を付けていると思う。
wakana:自分では意識してないですけど(笑)。
MAYA:それはあるんじゃない? 色んな情報をキャッチして、色んなことを考えてる気がする。
wakana:小さいことでも心の中で分析してるのかも。自分なりの結論みたいなモノは出したいのかもしれない。
●神経質?
wakana:神経質ですね(笑)。
MAYA:たぶん“取り込みたい”っていう気持ちがあるんでしょうね。その場だけでいいっていう話で済ませてないというか。
wakana:きっとそれを表現したいかどうかだね。何か自分の中にひとつ情報が入ったとき、自分の経験と重なって新たな感情が生まれたりすることがあるんです。その“新たな感情が生まれる”ということはすごいことだと思っていて。それまで持っていなかったモノが1個できたっていうことじゃないですか。
●はい。
wakana:それをどうしても形に残しておきたいっていう気持ちは常にあるかもしれない。書き留めておくのももちろんそうですし、曲にしたりとか。場合によってはそれが涙として流れるのかもしれないし。どういう形かはわからないんですけど、新しい感情が生まれるということは絶対に感動してるということなので、その心の躍動みたいなものを歌にして表現したいっていう気持ちがあるんでしょうね。
●バンドで歌詞を書いて歌うということが、自分にとってすごくいいことなんでしょうね。
wakana:そうですね。本当はしゃべるのが苦手なんですよ。もともとは根暗で陰湿な感じなので(笑)。
MAYA:明るいネガティブだよね(笑)。
wakana:歌を書かないと生きている感じがしないっていうのはあります。
●このバンドをやってて変わったんでしょうか?
wakana:助けられてますね。デビューしたての頃とか閉じてました。
MAYA:だから見てて面白いですよ。どんどん変わってきた。昔のwakanaから考えたら、今こうやって目を合わせて話をしてるのがすごいもん(笑)。
●アハハ(笑)。そういう意味でもバンドの人間性とリンクしたいいアルバムになりましたね。
MAYA:暗黒時代があったが故に進んで来れた感じがしてますね。あれはやっぱり必要な時間だったんだよ。
wakana:そうだね。成長はできてると思うけど「成長したでしょう」っていう感じというより、心境的にはナチュラルなんです。暗黒時代の2008〜2009年があったけど、そこから得たモノも多くて。その次に居る場所…今は“成長したな”とも思うんですけど、自分たちとしては1回心がフラットな状態に戻って、そこからもう1回やりたいことをやり、それをナチュラルに出しただけっていう感じが強いです。
●だから人間っぽさというか“素”がアルバムに出てる気がする。それがさっき言った「説得力」に繋がってるんですけど。
wakana:感じたことそのまま、自分たちの好きなことや嘘がない“素”を出せたアルバムなんでしょうね。どの歌にも嘘がなくて、演奏も嘘がなくて、本当に今できることとかやりたいことを忠実に入れた。そういう意味でナチュラルなアルバムになりました。
interview:Takeshi.Yamanaka
assistant:中路 亜紀
Dr.SHINYA
Tp.HIROKI
Tp.HARU
Vo.wakana
Vo.MAYA
Sax.AYA
G.Joe

2nd Full Album 『LOVERATORY 』
PCI MUSIC / Knowledge Alliance
KNCA-10005
¥2,500(税込)
2010.7.21 Release

Best Album 『Best of Pumpkin〜5th Anniversary〜 』
PONY CANYON
PCCA-03225
¥2,500(税込)
2010.7.21 Release
http://www.midnightpumpkin.net/