2006年神戸で結成された過激で下品でアンチなパフォーマンス集団、流血ブリザード。最高に最低な過剰演出の鬼畜ロックバンドへと転身後、初のフルアルバムとなる『わしのイチモツ』とDVD『狂喜!! 鬼畜映像集』を2枚組で殺害塩化ビニールからリリースする。80年代ロックを彷彿とさせるサウンドやアヴァンミュージックにコメディとエロスをたっぷりと詰め込んだ全12曲は、聴く者を唖然とさせるには充分過ぎる。ただひたすらに自分たちのスタンスを追求し、禁断の言葉と雑音サウンドを放ち続ける彼ら。知れば知るほどギグを体験したくなるだろう。
●元々、ユダはバンド指向ではなくお笑い指向だった。
ユダ:そうやね。以前はお笑いというか音楽を使わないパンクをやってた。
●音楽を使わないパンクとは?
ユダ:放送禁止のコント。ライブハウスで音楽をせずにパンクを表現してたんだけど、周りはバンドしてるし、ライブハウスでやるならバンドせなあかんちゃうかってなってバンド形態になった。
ミリー・バイソン(以下バイソン):あたいは、昔、こいつのネタを客として見に行ってたんだけど、裸で爆竹燃やしたり生卵を頭からぶっかけたり、ほんとパンクな奴だと思ってたんだよ。だからこいつからバンドの誘いがきた時は、一つ返事でOKしたぜ。
●二つ返事やろ(笑)。バイソンは出身地どこ?
バイソン:アメリカのテキサスなんだけど幼少期に大阪に引っ越してきたんだ。
●簡単にメンバー紹介してくれる。
ユダ:オレが神の声を持つといわれているカリスマヴォーカル。声を聞くだけで女はアソコがジュンジュンに濡れるよ。大腸菌まみれのベーシスト、ドクラテス。狂乱のスカトロマニア。ライブの時にブーツ履いたら190cmくらいになる。ポイズン・パワーは、エイズで他界したので、ソドム・タイラーっていう新しいドラマーが加入した。だから、今作はポイズン・パワーの遺作でもある。
バイソン:ポイズン・パワーはユダのことが好きだったんだけど、ポックリ往ったな。
●そうなんや(笑)。
ユダ:ずっとオレとひとつになる日を夢見て、メンバーでやってくれてたんやけど、最後まではいかず。
バイソン:どうでもいいわ(笑)。
●どっちかっていうと、血の匂いというよりもそっち系?
ユダ:そっち系が多いかな。
●どんなバンドに影響受けたの?
バイソン:最初はSEX PISTOLSだったんだけど、段々、ラモーンズとかGG Allinっていう糞まみれのロッカーとか聴くようになった。
●糞まみれ?
ユダ:GG Allinは知る人ぞ知るアメリカのカルト的なパンクロッカーで、ライブ中に脱糞したり、女の髪の毛を引張って引きずり回したりするんだ。
バイソン:あと、二人ともX JAPANが好きなんだ。
●X JAPANが好きなんや。
ユダ:流血ブリザードといえば、X JAPAN、スターリン、GG Allin。この3つだな。
●X JAPANのファンには誤解されそうだけど、その3つに共通点ってあるの?
ユダ:ロックの過剰演出かな。GG Allinは、うんこを撒いたり、客に暴行したり、体のあちこちに自分でタトゥー彫ったり。キ○ガイを過剰演出してる。スターリンは豚の臓物を投げたりスキャンダラスなステージングをやってる。X JAPANはそういう汚物系はないけど、YOSHIKIは音楽だけではなくて視覚的にも魅せてくれる。初期の頃は、漫画から飛び出したようなものすごい格好で火を噴いたりしてた。ロックって激しいぞっていうことを分かりやすく演出してる。
●今どき、こういうスタイルのバンドがいないと思うんだけど。現在の音楽シーンを見てて、ユダはどうしていきたいと思う?
ユダ:まずは、俺たちのことを知ってもらいたい。カッコいいバンドだと思ってるし、絶対ほかのバンドよりおもろいことしてる。
●どういうところがかっこいい?
ユダ:俺らはロックを原始のカタチに戻した。もともとロックは、勢いでやるようなスリーコードの簡単な餓鬼の音楽。それが、今じゃ、やれサイケだのやれアンビエントだの、難しい機械を使ったりしてるけど、そんなんじゃない。ロックは、もっと簡単なもんで、馬鹿馬鹿しくて、仰々しいものやろ。俺らは、この規制の厳しい時代に小便のかけあいをしたり、納豆やら卵やらをぶちまけたり、ライブ中に自転車を投げつけたり、おかげで賠償やら閉め出しやら出禁やらくらったこともある。パンクバンドがすべきことは、世の中のルールを破ることだ。そういうことをやってのけるバンドが今は俺らしかいない。っていうことは、かっこいい。
●破壊したり、汚物をまき散らしたりってことは他のロックバンドはやってないけど、それをすることがロックなんだと思える幼稚性ってどこにあんの?
ユダ:そんなことして何になんねんって大人はいうけど、子どもからしたらアホなことして欲しいって思うし、怖いバンドの方に魅力を感じるし、単純で分かりやすい方がいい。スターリンも独特のメイクをして客を威圧してた。
●以外とミチロウさん普通やったりするけどね。
ユダ:それは…よく知ってんねんけど…
バイソン:(笑)。けどよ、ライブハウスに行ってた10代の頃は、ガレージムーブメントが盛んで、モノを壊したりするバンドはすごくいた。火が舞い上がったり、モノが破壊されるだけで興奮するんだ。だからあの時の興奮を今度はあたいらが与えたいんだ。
●流血の起源はわかったけど、変態パフォーマーの要素が強いね。
バイソン:(笑)。バンドは延長線上だな。
●オタクの殿堂である宅八郎さんとの共演は、どういうきっかけ?
ユダ:もともとコメディ集団っていうルーツがあるから俺らも色んな事してきた。サブカルイベント、アングラアイドルイベント、お笑いとのコラボイベント。そういうところで期待して呼ばれることが多い。さっき、モノ壊してとか言うたけど、俺らは関西のコメディバンドやから、MCで笑いもとるし、コントもやるし、なんでもあり。ロックの既成の価値観に縛られないライブをやってる。
●タイトルや詞もエグイね。
ユダ:タイトルや詞は、意味っていうより、あまりつけないタイトルとか、言うたらダメなことば探しから入るから、タイトルや歌詞から深いインスピレーション感じてもらわなくていい。こんなアホなタイトルよう思いついたなとかそっちで感動してほしい。
●よう思いついたな〜っていうくらい深くないけど。
ユダ:いや、浅ささの追求みたいな。みんな深いことをしようとしてるけど、逆いってやろうと思って。
●あっ、それやったら分かる。
ユダ:俺の中のアンチアーティストとして「もっと考えろや」って言われるようなアホなことをひたすら続けてる。
バイソン:馬鹿なことだけやって、無茶苦茶して終わってるように見られがちなんだけど、見てくれた奴に元気を持って帰ってほしい。
ユダ:複雑化していく世の中をシンプルにしたい。そういう反逆心。
●小さい頃からかなり屈折してたということがよく分かるんだけど、その原因って何だろう?
ユダ:学校かな。勉強というか。今は競争を無くそうっていう風潮があるけど、俺らの時は、テストの結果がすべて貼り出されてた。
●へぇ。進学校?
ユダ:いや、アホ学校の進学クラス。
●そのアホ学校教えてよ。頭文字だけでいいから。
ユダ:○○。
●あー、なるほどね。ユダのこと昔から知ってるけど、素直なところあるよな。2人(ユダ、バイソン)とも人間は悪くない。どうしようもない屈折の仕方してるけどな。
バイソン:そうかもな。
●僕らは“愛と勇気と希望”っていう世界で生きてきてるから、音楽にもいろんな表現があるんだなっと、あらためて感じてる。
バイソン:今日のインタビューでは、実はあたいらも裏の表現として愛と勇気と希望を伝えてたんだけど。
●伝わってるよ。表現の仕方は幼稚やけど、伝えたい事とか、自分が身をもって体験してるってことはすごい説得力があるし、近い人は分かると思う。ライブを見にくるお客さんで、同じような傷とか匂いを持った子はすごく入り込んでくる。そういう愛情を感じるんじゃないかな。
バイソン:いいようにまとめてくれてありがとう(笑)。
●ライブに来るお客さんの傾向は?
ユダ:幼稚な事やってるから、キッズばかりが盛り上がってるかと思いきや、30代40代も多い。
バイソン:スターリンとか通ってきてる人もくる。数えるほどだけどな(笑)。
ユダ:ニューロティカファンとかも白塗りつながりで、こっちにも来たりな。
●スターリンと君らはだいぶ違うと思うけど。
ユダ:俺らはオリジナル。スターリン、XJAPAN、GG Allinはルーツであって、フォロワーではない。あと(コミック・無頼男 -ブレーメン- を取り出して)、漫画で描かれる間違った解釈のロックやパンク、分かりやすい演出が好きなんだ。流血を結成した動機としてこの漫画ははずせない。現実に存在してるバンドであるスターリン、X JAPAN、GG Allinと同じくらい影響受けてる。いつかサルファリック・アシッド(無頼男に登場するバンド)みたいになろうと。クレイジーなお客さんで埋め尽くしたいな。
バイソン:誰かのブログでも「流血のライブみたけど、客もヤバい奴ばっかりだった」って書かれてた。実際に流血の客はクレイジーだな。
ユダ:興奮した客がステージになだれ込んできて、暴れたりとか掴みかかってきたりとか。ベタにモヒカンがおったり、その辺りは一部、流血親衛隊って呼ばれてる。
●5月2日に開催されたCOMIN'KOBEのアングラブースでは、かなり大盛況だったようだけど。
ユダ:あの日は、ほんまに“無頼男”の世界が体現できたな。客のノリ方が危なかった。ケンカしてんのかノッてんのか分からんくらいくちゃくちゃに暴れて、ダイブして、アンプがひっくり返って。流石にヒートし過ぎやと思ったな。
バイソン:来年も開催して欲しいな(笑)。
●今回、JUNGLE★LIFEに流血ブリザードを掲載するわけだけど、こんな日がくるとは夢にも思わなかった。
ユダ:そういう番狂わせをどんどんしていきたいし、あらゆることを覆していきたい。俺らのことを非実力派みたいに思ってる奴らを思い知らせてやりたいな。化粧がどうとか、音で勝負しろとか、何とでも言うてくれ。いつかこの深いアンダーグラウンド地獄から抜け出してやる。
●そういう気持ちあるんだ。
バイソン:もちろん。いつまでも闇に閉じ込められたままじゃいられない。
●バイソンは普通にしてたら、綺麗だと思うけど、どうして、このキ○ガイ集団とバンド組んでるの?
バイソン:ロックがしたくていろんなバンドを組んだんだけど、いまいち、人気が出なかった。考えた結果、熱さが伝わってなかったんだと気づいたんだ。熱さを伝えるために、ビジュアルから入ろうと思って、髪を立てTバックを穿いておらおらキャラでやったら客がノリ始めたんだ。それで、こいつらと一緒にやるようになったんだ。
●自分の場所を得たって感じ。
バイソン:そうだな。流血ブリザードに入った頃は、それまでいたシーンの奴らからは随分悪口を言われたけど、見返す気持ちで流血ブリザードにより身を入れるようになったんだ。新しくあたいらのことを好きだって言ってくれる連中が現れてくれたから、あたいは流血ブリザードに入って良かったと思ってる。
●流血ブリザードってロゴやビジュアルだけ見たら、怖いイメージだけど、こうして話聞いてると全然違う。
バイソン:実は親しみやすい連中だからよ。みんなもっとギグにきてくれよな。
ユダ:ギグは過激に熱くやって、オフはみんなで遠足行ったりとかな。“鬼畜”って文字の入った鋲ジャン着て神聖な東大寺とかに行ってる。修学旅行生に大仏より写真撮られたな。
●こんなくだらん話ずっとしてても仕方ないので、そろそろ、終わりたいけど、何か言い忘れたことある?
ユダ:1人が何十人も連れてライブハウスを埋めつくしてくれ、オレらのギャラがよくなるから。もう薄暗い仕事はしたくないしな。毎日、新地で飲み明かせるバンドマンにしてくれ。ってところかな。
バイソン:代々、ロックスターってのは笑える要素持ってんだ。あたいらも、笑かしながら、一番ロックなことやってんだ。おまえらも笑いに来るってことがロックを体感することなんだよ。しっかり、あたいら見て馬鹿笑いしやがれ! そして明日の元気にしてくれよな。
Interview by PJ
Edited by A.Ueda
ミリー・バイソン(G.)
ドクラテス(Ba.)
ユダ(Vo.)
ソドム・タイラー(Dr.)

1st Album 『『わしのイチモツ』(CD) 』
『狂喜!! 鬼畜映像集』(DVD)
殺害塩化ビニール
(CD+DVD2枚組)
MURDER CD-121/B
¥2,625(税込)
NOW ON SALE