今年3月に、北海道在住バンドの現在を発信するべくスタートしたコンピレーションアルバムシリーズ『THE FIRST GIANT STEP』。第一弾を発表したばかりの本シリーズが、4ヶ月足らずでその第二弾を発表する。
このプロジェクトの首謀者はCruah and Build Record(以下、CAB.R)という北海道のレーベルだ。バンドと生身の人間同士の付き合いをすることに重きを置くCAB.Rは、前作同様レーベルの代表自らスタッフと共に数え切れない程のライブを観に行き、気になったバンド1つ1つと膝を突き合わせて話をしてきた。バンドもCAB.Rも互いにこの1枚を本気で作り気があるのかを確かめ合い、そして選ばれたのが今作に収録されている7バンドである。
本作の冒頭を飾るのは札幌市を中心に活動を続けているロックバンド、OLDFASHION。ピアノの切ないラインで始まる前奏に疾走感のあるギターが加わる展開がとても印象的な「恋歌」(M-1)、続く「街並」(M-2)と共にVo./G.大友義己の歌う切ない恋愛の歌詞に共感する人も多いのではないだろうか。
続いて幼なじみの5人で結成された、まろ☆ぽん。「escape」(M-3)は、切ない歌詞をポップなサウンドに乗せて歌うVo.ちごのキュートで透き通った歌声が光る。一転して艶っぽく大人びた雰囲気を醸し出す「桜月夜」(M-4)は、彼らの音楽が“キュート”や“可愛い”だけでは表現しきれないことを証明している。
続いてバンドとアコースティックの双方で活動を展開する3ピースロックバンドの、FAZZY CLOVER。バンド編成の「水面の月」(M-5)は、水面に映る月が揺らめいている情景を想起させるギターのフレーズが印象的だ。「流れ雲」(M-6)はアコースティックだが、後半からは打ち込みも加わる意外な展開が聴いていて楽しくなる。終わった恋を振り返り、“終わりは始まりの始まり”と言って次の一歩を踏み出す主人公に元気を与えてもらった気がする。
今年1月に結成したばかりで札幌を拠点に活動中のイエス・ムービーは、3ピースでVo./G./Ba./Prog.山下、G.岩崎、Ba.加藤という編成。「衝撃 19」(M-7)はライブではハンドクラップ必至のダンサブルなビートを刻む。一転してギターの繊細なアルペジオから始まる「雨とピエロ」(M-8)は、曲の展開と共に徐々にエモーショナルになり、感情の表現がとても豊かだ。
Waterlineは札幌を拠点に活動中のVo./G.北山秀一によるソロプロジェクト。「have a dream」(M-9)、「Days」(M-10)の両曲とも印象的なギターの音色と北山の歌声は、広がる青空の下で風に吹かれているように心地よく響く。「have a dream」の前向きな歌詞は、見失いかけた夢をもう一度思い出させてくれるような力を感じる。
収録作品のうち、唯一英語詞を歌っているのが札幌で活動中のThe Ctols(ストールス)だ。「Policom」(M-11)、「Snow In The Longest Door」(M-12)と共に、時にメロウな雰囲気も見え隠れするロックサウンドは、邦楽ファンのみならず洋楽ファンも楽しませてくれるだろう。映像作品にも楽曲を提供する予定という彼らの今後の活動にも注目だ。
ラストを飾るのは札幌を中心に活動中の4ピース“じんわりロック”バンド、Wonderful Fish。“大切な人は誰ですか?”という問いかけで始まるその名も「大切な人は誰ですか」(M-13)は、誰一人孤独ではないと教えてくれる熱いメッセージソングだ。「クラクション」(M-14)は恋愛の歌なのだが、最後の“僕らの輝かしい未来へ”という言葉に、やはりこのバンドが持つ熱い魂を感じた。アルバムの締めくくりにも相応しい1曲だ。
第一弾がリリースされた後に、購入した人やレコ発ライブに来場したオーディエンスを対象にアンケートが行われた。その人気投票で見事1位を獲得したバンド・鮫肌に本誌151号(6月月初発行)でインタビューを敢行したが、彼らともこのコンピレーションアルバムのおかげで出会えたといっても過言ではない。新しい音楽に出会うことは、聴き手として単純に嬉しい。バンドも音楽をやっている以上は、基本的にはそこで生まれたものを誰かに伝えたいはずだ。だが、若手バンドの殆どはどこかのレーベルからリリースしたくても、北海道という地域はレーベル自体の数が多くない。北海道の才能を全国に紹介するべく取り組みを続けているCAB.Rは、道内のバンドにとって、とても大きな存在だろう。
第二弾である本作全体の印象としては、サウンドクオリティが前作より向上しており、枚数を重ねるごとにバンドと共に成長をしている様子が窺える。そして、本作に参加しているバンドを“よく知っている”という読者はまだあまりいないだろうが、これをきっかけに出会ってもらえたらとても嬉しい。可能性を秘めたバンドが存在している限り、このシリーズは続く!
TEXT:伊藤佐和子
OLDFASHION
Vo./G.大友義己
G.吉田拓也
Ba.森 友樹
http://x23.peps.jp/oldfashion
まろ☆ぽん
Vo./G.ちご
G.涼
G.GAku
Ba.嵐
Dr.たっけちゃん
http://x31.peps.jp/maaroponn?cn=7
FAZZY CLOVER
Vo./G.Ken
G.Yusuke
Ba.Zen
http://iptosp.co.jp/i.asp?I=nobrand5
イエス・ムービー
Vo./G./Ba.Prog.山下
G.岩崎
Ba.加藤
http://89.xmbs.jp/yesmovie/
Waterline
Vo./G.北山秀一
http://www.waterline.jp/
The Ctols
Vo./G.Ryutaro Date
Ba./Shohei Otaka
G.Kousuke Yamazaki
Dr.Kou Nishi
http://56.xmb.jp/thectols/
Wonderful Fish
Vo./G.佐々木賢司
G.平山辰則
Ba.村田雅洋
Dr.薄井陽一
http://www5ocn.ne.jp/~w-f/

Compilation Album 『The first giant step vol.2』
Crush and Build Records
CABR-002
¥2,100(税込)
2010.7.03 Release
※問い合わせ:cab.r@Is-media-co.com
1.恋歌 / OLDFASHION
2.街並 / OLDFASHION
3.Escape / まろ☆ぽん
4.桜月夜 / まろ☆ぽん
5.水面の月 / FAZZY CLOVER
6.流れ雲 / FAZZY CLOVER
7.衝撃19 / イエス・ムービー
8.雨とピエロ / イエス・ムービー
9.have a dream / Waterline
10.Days / Waterline
11.Policom / The Ctols
12.Snow In The Longest Door / The Ctols
13.大切な人は誰ですか / Wonderful Fish
14.クラクション / Wonderful Fish