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The John's Guerrilla

The John's Guerrilla

祝祭の音楽が鳴り響く時、革新への扉が開かれる

天空へと飛翔するかのようなサウンドを響かせるM-1「Peace」が始まった瞬間に、The John's Guerrillaが新たなステージへと進んだことがわかるだろう。“サイケデリック”に代表される60'sカルチャーを頭だけで理解するのではなく、心と身体で捉え作品へと昇華し始めた彼ら。それはニューミニアルバム『UNITED DIAMOND』に収録された6曲を聴けば、明確に伝わってくる。プロデューサーにアイゴンこと會田茂一(FOE、ex.EL-MALO)を迎えて制作された今作は、彼らが秘める大きな可能性を確信させる作品だ。自分たちすら予想出来ないほどの速さで進化を続ける4人が、次に辿り着くべきユートピア。そこへの扉を確実に開いた彼らを包む“祝祭”の音楽が、ここには鳴っている。

インタビュー

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Interview Part 1

●前作の1stアルバム『Seize The Time』(09年7月)発表後にNEW TRACK&LIVE ALBUM『Midnight Hooligan』(09年11月)をリリースしたのには、どういう狙いがあったんですか?
Ryoji:ライブ録音に加えて新曲の「Get Rouce」を収録したんですけど、この曲はいずれはシングルにしたいと思っていた曲なんですよ。そしたら今回のタイミングで出すことになって。でもサウンド的に前作から一気にシフトチェンジしてしまった感があったので、変化の段階として急すぎるかなと。
●単体で出すと変化が大きすぎるから、ライブ音源も加えた形で出したわけですね。『Midnight Hooligan』を挟んだことで、今作でも大きな変化を見せられたというか。
Ryoji:去年の末くらいからガンガン曲作りして、いくつかストックしてあったんですけど、その曲たちは今回のミニには入らないことになり…(笑)。短期間で作った曲が今回の作品には入っているんですけど、やっつけで作った訳ではないし、最終的にはすごく良い出来になって安心しています。そのストックしてあった曲たちも次作には入れたいですね。
●次の作品のイメージが既に見えている?
Ryoji:考え始めてはいますね。今作ではまだそれを匂わすくらいのモノですけど、次作も作るのがもう既に楽しみです。今作に関しては最初に“ダンスアルバムを作ろう”っていう話がメンバーの間であって、それならミニアルバムにしようということになったんですよ。
Leo:そこから僕は“ダンス”というテーマを元に、曲を作っていきました。でもみんなで曲を詰めていく中で、“ダンス”というよりはもっと“祝祭”的だなと思って。
●“祝祭”?
Leo:“パーティー”っていうイージーな言葉ではなくて、“祝祭”なんですよ。それは終末の前なのか進化する前の前夜祭なのかわからないけれど、そういうアルバムにしたいなと思った。僕は60'sのカルチャーとかが大好きなんですけど、例えるならウッドストックを今の時代に浸透させた新しい形のネオ・フェスティバルというか。そういうコンセプトの作品を作りたくなって。
●確かにM-1「Peace」のフワフワしたヘブンリィな感じは、“祝祭”的な感じがします。
Ryoji:でも曲単位で“こういうふうにしよう”と意識したわけではなくて。“出来上がってみたら、こうだった”っていう感じですね。
Leo:この曲が、そういうモノを望んでいたんです。
●曲が導いたというだけで、意識的に狙って作ったわけではない。
Leo:“サイケデリック”っていう言葉について僕はずっと考えているんですけど、60年代当時の人たちは“サイケデリックなことをやりたい”って考えてやっていたわけではなくて。言葉では説明出来ない“何か”というか、精神的な面で“精神”の先を行っていることが“サイケデリック”っていうことだと思うんですよね。
●The John's Guerrillaが表現しようとしているモノもそういう“何か”?
Leo:僕がパンクバンドをやめたキッカケはRadioheadの「Hail to the thief」(03年作の同名6thアルバムに収録)をSUMMER SONICで聴いたことなんですけど、その時に感じたような説明出来ない“新しさ”を持ったモノが作りたくて。Radioheadって、名前を言えば(音楽的なイメージが)わかるじゃないですか。いつか“The John's Guerrilla”もそうなればいいなと思っていて。
●そういう試みの結果が、今作にも出ている。
Leo:音として変えようとかは考えていなくて、すべて偶発的ですね。前作の頃はまだ思想や精神とか芸術至上主義ということで、頭がガチガチだったんですよ。当時は“ポップスみたいな音楽を壊すために戦う”っていうくらいの精神だった。でも今回はより音楽的というか、ここであえて本当の自分に戻ろうと思ったんです。
●“本当の自分に戻る”というのは?
Leo:一度リラックスして、自分に向き合うというか。今回の「Peace」は超個人的な歌なんですよ。人々に歌うのではなく、自分の大切なモノに向けてだけ歌っている。サウンドはポップに仕上げているけど、今までとはベクトルが違って。“地獄の門まで辿り着く”というようなことを一度やってみようと思ったんです。
●“地獄の門まで辿り着く”って、どういうこと?
Leo:例えば1つの街があったとして今までなら素敵な創造物を作ったりしていたけれど、今回は壁にどれだけ大きく“くたばれ!”って落書きするかみたいなところがあって。それが僕にとっての“ポップスに歩み寄る”姿勢だったりもするんです。そういうことをやろうと思って、ある意味削ぎ落としてみたというか情報を整理した感じですね。
●以前は否定していたポップスに歩み寄るために、余計なモノを削ぎ落とす作業をした。
Leo:そうやって音楽を作る時に僕が一番重視したのは“スウィングしていなければならない”ということだけだったんです。さっき言った“ダンス”っていう言葉は、4つ打ちとかそういう意味じゃなくて。いい音楽ってテンポが速い遅い関係なく、ダンスミュージックじゃなくても何かがスウィングしていると思うんです。
●“ダンスミュージック”として作られたモノじゃなくても、自然と身体を揺さぶる感覚がある。
Leo:そういうモノを掴みたい。耳だけじゃなくて、身体と耳と魂で聴くような感覚。スウィングが大事だっていうのが、今の僕のテーマです。
●ガチガチに固めた思想とかではなく、より感覚的に音楽を捉えるようになった?
Leo:前までは“今の自分を脱する意志を持って戦う”っていう感じだったけど、今は“意志そのモノ”になった感じです。もはや自分はいない、でも意志だけは残る。そういう究極なところに攻めたいんですよね。
●個人的な歌という話もありましたが、今作はタイトルも『UNITED DIAMOND』だし「Carnival For Unity」もあって、“つながる”ということがキーワードになっている気がします。
Leo:超個人的に歌っているはずのことが、“意志”になってしまっているんですよ。結果、全部が逆説的になりました。個になればなるほど、100になる。1に近付けば近付くほど無限になっていく。それと一緒で宇宙と1個の魂はつながっているのかもしれない。1つ1つがつながればつながるほど、こうなっていったというか。
●個を突き詰めたら、最終的につながっていった。
Leo:地獄の門まで行って、何が一番大事かって言えば“愛”と“魂”と“新しい生命”という3つだけなんだと気付いたんです。今までもそうだったけど、生活する中で僕の詞に宿ることはそれしかなかった。だから、同じことをずっと歌っていく。
●人としての原点に立ち返ったというか。
Leo:僕はポップアートや村上春樹の小説が持っている、ある種のわかりやすさの中に潜んでいるモノが好きなんです。ポップアートってふざけているし何なのかわからないけれど、世界中に溢れているんですよね。それが世界中に広げるための表現というか。
●深い意味がわからなくても、受け入れられる。
Leo:例えばアンディ・ウォーホル作品でエルヴィス・プレスリーの絵がありますけど、あの絵の中にどれだけの意志があるかなんてわからない。でも、何かユニークなんですよね。さっき僕が言った“くたばれ!”という言葉も“みんな死ねよ”っていう意味ではなくて、1つの叫びの象徴っていうか。
●“くたばれ!”という言葉自体はきついけど、逆にポップな響きだったりもする。こういうLeoくんの感覚に、Ryojiくんも共感出来る?
Ryoji:Leoが歌っていることは、歌詞を見なくてもだいたいは把握出来るんですよ。16歳くらいから一緒にやっているわけだし、言葉にしなくても感覚的には共感し、共有しています。さっきLeoが「Peace」を“祝祭”と表現していたけど、歌モノでもあくまで音に対して身体が付いていくんだという感覚は、自分にもあって。
●「Peace」の“祝祭”感も共有出来ていた。
Ryoji:僕らの曲作りはだいたい最初にLeoが持ってきた歌に色付けしていく形なんですけど、今回の「Peace」に関しては“簡単に処理出来ないな”っていう気持ちがあって。いつもはその場でセッションしながらサウンドを作っていくんですけど、今回は録音してからいったん持ち帰って聴いてみたりしたんですよ。それで核になる歌のラインを主旋律に置いて、肉付けしていった。
●曲の軸には、Leoくんの歌がある。
Ryoji:主旋律になるところが元にあれば、あとは他にどの素材が必要かを考えて探す作業なんですよね。ギタリストとして自分が目立ちたい気持ちはもちろんあるけど、この曲のBメロではあえて僕が弾かなかったりもしていて。無駄なモノをどんどん削って、必要な素材だけを足していくっていう形でどんどん曲を作っていきたいんです。
●前作を作っているときとは心境が違う?
Ryoji:違いますね。あれは“肖像”という感じです。10代の時だから初期衝動で「くたばれ、この野郎!」って言っている感じなんですよ(笑)。今はもう少し落ち着きが出てきたから、一歩下がって見ることや取捨選択も出来る。
Leo:逆立ちファックユーですよ。
●ごめん、感覚的すぎて意味がわからない(笑)。こんなLeoくんの抽象的な表現をよく、他のメンバーは理解できますね…。
Leo:みんな、勝手に音でわかってくれますね。結局は音が先にあるから。
Ryoji:喋るより音の方がわかりやすいんです。最近はバンド内であんまり喋らなくなってきましたもん(笑)。
Interview Part 2

●今作はプロデューサーにアイゴンさん(會田茂一)を迎えての制作だったわけですが。
Leo:「Peace」に関しては自分たちで作ってきたモノに対して、「もう言うことがない」と言ってもらえたんです。他の曲に関しても、スタジオに来て「そこのソロは要らないね」とか「もうちょっと短くていいんじゃない」とかアドバイスをもらって。僕らはその後、4時間苦戦することになったりしましたけど(笑)。そういう中で曲がどんどん削ぎ落とされていって、最終的にOKをもらえた。
●何か指示されるわけではなく、簡単な助言をしてもらう感じだったんですね。
Leo:その後、アイゴンさんから「ミックスは得意だから任せてくれない?」って控えめに言われたのでお任せしたら、もう最高で。セルフプロデュースだったら1ヶ月かかるところを、1日で終わらせてくれました。
●求めていた音になった?
Leo:音楽的な話はあまりしていないけど、イメージは統一出来ていましたね。「Peace」については本当に大事な曲だから、雑に扱われるなら絶対に出さないとまで僕は言っていたんです。それでアイゴンさんに訊いてみたら、やってみようということになって。この曲を聴いた人に「The John's Guerrilla、変わったね」ってよく言われるけど、自分たちからすれば“こういう曲だもん”っていう感じなんですよ。
●なるべくして、こういう形になった。
Leo:例えばアメリカだと“祝祭”の場では、最初に国家を斉唱するじゃないですか。この曲はそういうイメージですね。だから聴くと、素敵な感じがするんだと思う。
●M-3「Hooligan」はタイトル通り、祭りの狂騒的な雰囲気がありますね。
Leo:作品全体でも“スウィングさせたい”っていうテーマがあったので、この曲にはあからさまなポップ感が欲しくてコーラスを入れたりしました。Jimi HendrixとかThe Doorsの1stアルバムには、妙な高揚感があって。この曲ではそういうモノが出せたと思うので、僕はすごく気に入っています。
●この曲の雰囲気は作ろうと思って作れるものではない感じがします。
Leo:無邪気な感じが良いんですよね。今回はまず最初に“芸術はくたばれ!”って思っていたんです。前作の頃は逆にそういうモノが全てだったんですけど、今回はまずそいつらを排除することが大事だった。勝手な美学はまず排除して、今まで築いてきたモノも排除しました。
●あえて初期衝動的な部分まで戻ろうとした。
Leo:バンドはどんどん下手になるべきなんですよ。それが一番理想的なんです。1stアルバムとか何枚か作品を出した後で、あえてもう1回そこに戻ってきた。あのレジェンドたちの1stアルバムが持っていた高揚感が欲しくて。
●レジェンドと言えば、今作にはT-REXの名曲「TWENTIETH CENTURY BOY」のカバーも入っていますが。
Leo:T-REXも好きですけど、前身のTyrannosaurus Rex時代からマーク・ボランが持っている妖術性が僕は好きで。彼のスーパースター的な雰囲気やグルーピーの女の子が周りにいっぱいいる感じを出すために、どうしてもポップにすることが必要だったんです。カッコ良くはしたくなかったから、思いっきりバカ騒ぎをしたんですよ。そしたら、すごく満足のいく感じに仕上げられました。
●“バカ騒ぎ”っていい表現ですね(笑)。
Leo:女の子が笑顔で「ファックユー!」とか叫びながら、こっちに向かって大勢でブワーッと走ってくるイメージが頭に浮かんだんですよ(笑)。
●それを具現化したと(笑)。僕はラストの「Carnival For Unity」を聴いて、ヒッピーっぽい感じがTyrannosaurus Rexみたいだと思いました。
Leo:深読みしますね!(笑)。聴く人によって全然イメージは違うと思いますけど、僕の中では草原的なイメージがあって。この曲こそ、バカっぽくしたかったんですよね。
Ryoji:でも実は、この曲には100トラック使っています(笑)。
●実はすごく作り込んだ曲?
Leo:あのヘボさを出すために、異常にこだわりました。
Ryoji:“ヘボくやらないと”っていうこだわりがあったんですよ。かと言って、ドラマチックにもしたくて。実は一番作り込んでいるし、神経を使った曲ですね。
●空気感を出すというのが、技術面以上に実は一番難しかったりする。
Leo:そこはグルーヴとスウィングです。
Ryoji:スウィングですね。
●今回はやたらと、スウィングを推しますね(笑)。
Leo:Jimi Hendrixが2ndアルバムのレコーディング中に「そうだ、全てのモノは回転しているんだ!」って言ったらしいんですよ。だったら僕は、「いや、全てのモノはスウィングしているんだ」って言おうと思って。
●Jimi Hendrixに対抗した?
Leo:「回転じゃなくて、横揺れだな」って思ったんです。僕らは横に揺らしたいんです。
●そのへんがサイケデリックな空気につながっているんだと思います。
Leo:でも、自分たちはサイケをやっているつもりはないですからね。僕にとっては、トム・ヨーク(Radiohead)や村上春樹とかがサイケなんですよ。彼らは半端じゃない。
●独自のサイケ観がある。ちなみに、今作のタイトル『UNITED DIAMOND』の意味とは?
Leo:「Peace」が“平和”“新しい生命”だとしたら、「The Frist Nation」(M-2)には“国家”と“独裁”“僕の最初の国家”という意味があって。「Hooligan」は“団結”とか“暴動”。「Rebel Sexy」は“反逆”と“美しさ”。「TWENTIETH CENTURY BOY」は“スーパースター”と“女の子”。「Carnival For Unity」には“祝祭”と“団結”と“人々”という感じで、今回はテーマがそれぞれの曲にあったんです。
●それが作品タイトルにつながっている?
Leo:これらのテーマは僕にとって全部“美しい”モノで、心をくすぐるモノなんです。ダイヤモンドも僕にとって、美しさの象徴としてあって。実は前身バンドの頃に「UNITED DIAMOND」という曲があったんですけど、そのタイトルがすごく気に入っていたんですよ。今作を作るにあたって、全曲ポップな“シングルズベスト”にしようっていうくらいの気持ちがあったから、そういった意味でも様々な美しさがユニティしたイメージで付けました。
●でも今作でこれだけいい曲ばかり出してしまうと、次回作のハードルが相当高くなるのでは…。
Ryoji:大丈夫です!(笑)。
Leo:そういえば『Midnight Hooligan』を出した時にも「次のテーマは決まっている」とか言ったんですけど、そのテーマで作品をリリースするより先に今作が出来ちゃったんです。だから今度からは何も言わないようにしようと思って(笑)。自分の中で思っていた以上に、展開が速いんですよ。でも僕は“今を生きている”っていう感覚をすごく大事にしているから、それでいいのかなと。今回はいいアルバムが出来たので、とにかく聴いてほしいですね。

Interview:IMAI
Assistant:伊藤佐和子

メンバー

Vo./G.Leo
G.Ryoji
Dr.Junichi
Ba.Kaname

リリース

UNITED DIAMOND
New Mini Album 『UNITED DIAMOND』
CRUX
RTC-013
¥1,500(税込)
2010.7.21 Release

オフィシャルサイト

http://thejohnsguerrilla.com/

音源試聴