今年3月に発表した1st e.p.『KTEP』でいきなり話題を呼んだ4人組バンド、KEYTALKがデビューミニアルバムをリリースする。メンバー全員が20歳そこそことは思えない超絶テクニックと、パンク/ギターロックからジャズ/フュージョンまで多様なジャンルを独自に昇華した音楽性。G.小野武正の奇妙な動きとMCを中心に、ライブのインパクトも強烈だ。TGMX aka SYUTA-LOW TAGAMI(FRONTIER BACKYARD)をプロデューサーに迎えた今作『TIMES SQUARE』では、彼らの個性と可能性が一層際立っている。
●最初にライブを観たとき、武正(G.小野)くんの変な動きが衝撃的でした(笑)。初めてKEYTALKを観た人も、一発で覚えると思いますよ。
武正:それは幸いです(笑)。ありがとうございます。
●MCを義勝(Ba./Vo.首藤)くんにムチャブリする“義勝タイム”も面白かったです。本人は困っていましたけど…。
武正:彼は“喋れない”というスタイルを、もう確立しているので(笑)。義勝は専門学校を今年卒業して今はフリーターなので、ヒマすぎて寝るしかないんですよ。車の免許を持っていないのでツアー中も寝ているという感じで…、寝るかMCするかです。
●寝るかMCするかって、ひどい言われよう(笑)。
武正:でも実はアーティスティックなんです。曲も義勝が書いているモノが多かったりして。
●そんな義勝くん以外の3人は現役の音大生?
武正:僕と友将(Vo./G.寺中)は同じ音大の作曲学科に在籍していて、Dr.八木(優樹)は他の大学でジャズドラム科に在籍しています。
●KEYTALKの音を聴いて、ジャズ系の勉強をしている人たちなのかなと思っていました。
武正:僕と友将が在籍しているのは、ポピュラーミュージック全般を習う学科ですね。ジャズやファンクを聴くのは好きですけど。元々は高校生の時にthe band apartを聴いたのが、今の路線になるキッカケだったんです。でも色んな音楽を聴いて混ぜ合わせる中で、最終的に今は歌ありきのバンドになっていると思います。
●サウンド的にも色んな音楽の要素を取り入れている感じはします。
武正:義勝と友将と僕が曲を作っているんですけど、1つの曲に3人が関与することもあれば別々に作ってくる場合もあって。だから、曲調がバラバラなんだと思います。
●音楽的な趣味もバラバラだったりする?
友将:僕はJ-POPがすごく好きなんです。尾崎豊やMr.Childrenから、ケツメイシや湘南乃風とかも好きで。
武正:自分はジャズやファンクとかブラック系の音楽が好きなんですけど、やっぱりメロディはキャッチーでポップで覚えやすいモノにしたいという気持ちがあって。そこを上手い具合に、バランスよく作っていきたいんです。
●曲作りも3人でやっているから、バランスが取れるのかもしれないですね。
武正:そうかもしれないです。原曲を作ってきた人が中心になったりはするけど、1人で作り上げるっていうことはあんまりないんですよ。みんなが関与して曲を作り上げるパターンが多いですね。
●結成当初から今の編成だったんですか?
武正:KEYTALK結成以前から、僕は八木とずっと一緒にバンドをやっていて。当時は僕がギターボーカルをすることもあったんです。04年の4月くらいから活動していたんですけど、メンバーもどんどん入れ替わって今のメンバーに落ち着いたのは07年の9月ですね。
●KEYTALKとして、やりたい音楽のイメージはあった?
武正:それは特になくて。元からあった曲を友将が歌ったりして、そこから4人で曲を増やしていった感じです。やっていく中で、結果こういう音になったというか。
●話し合って方向性を決めたわけではない?
友将:話し合ってはいないです。やりたいことも一致しているわけではないし…。
●やりたいことが一致していない!?
武正:僕らはゆとり世代なんで、“何でもあり”なんです(笑)。“特にこだわりはない”っていうのが、ゆとり世代の特徴なので…。
●KEYTALKはゆとり世代を象徴する音楽? (笑)。
武正:そうです。そんなことを言うと、義勝が怒るかもしれないけど(笑)。
友将:確かに、義勝が怒るかもしれない…。
●怒るでしょうね(笑)。で、結局どうやってメンバーの意志を統一しているんですか?
武正:メンバーそれぞれにやりたいことはあるんだろうけど、“KEYTALKでこれをやる”っていうのは一致しているんです。“この4人で出来ることは、これだ”っていうのが今作だと思いますね。今回はプロデューサーにTGMXさんを迎えて、いらない部分を削り落とした感じもあって。
●TGMXさんとの出会いは大きかった?
武正:色んな対バンの方から刺激を受けて路線も変化しつつあったんですけど、やっぱりTGMXさんの影響は大きかったですね。M-2「amy」はTGMXさんにシンセを入れてもらったりしたので、特にそういう色が出ているんじゃないかな。
●この曲はFRONTIER BACKYARDに近い空気がありますね。1st e.p.『KTEP』収録時には、義勝くんが歌っていましたが。
武正:『KTEP』では義勝が「amy」を歌っていたんですけど、今作では友将が歌っているんですよ。今作のM-3「トラベリング」とM-8「a leaf」の2曲は、義勝が歌っています。
●メインボーカルの友将くんだけじゃなく、義勝くんも歌えるのがKEYTALKの武器でもありますよね。友将くんと義勝くんのボーカルを使い分ける基準は?
友将:曲に合わせてという感じですね。「amy」は自分でも最初に義勝が歌っているバージョンを聴いていたから、ちょっと義勝っぽい歌い方になっちゃったかな(笑)。色々な歌い方に挑戦しなきゃいけないと思っていて、今はまだ色々試している段階なんです。もっと進化していきたいから。
●今回、TGMXさんと一緒に作業をする中で学んだことも多かったのでは?
武正:すごく多かったですね。自分らだけで作っていると、色んなモノを詰め込み過ぎちゃったりもするんです。TGMXさんが「ここは切った方が良いんじゃないかな?」っていう意見を言ってくれたことで、サッパリした良い形に仕上がりました。
●良い意味でシンプルになったというか。
武正:僕らは短くまとめる技術を持っていなかったので、すごく勉強になりましたね。「今までにないような曲を作ってみよう」っていうTGMXさんの意見もあって、M-6「Sunday Morning」は今まで作ったことのないシャッフル系の曲にしてみたりして。
●M-4「blue moon light」では、打ち込みのドラムを使ったりもしていますが。
武正:9曲入りなので、聴く人を飽きさせないために色んな要素を入れていこうっていう話になって。その1つの案として、TGMXさんから打ち込みを入れるっていうアイデアが出たんです。「blue moon light」が一番、打ち込みが合う曲だなと。
●元々は生音だった?
武正:元々は生音のドラムが入っていたんですけど、それを打ち込みに差し替えた感じですね。でもライブでは生音でやっています。この曲と「a leaf」は自分たちで作ったデモ音源に入っていたモノを、アレンジを変えて収録しているんですよ。デモでは友将が「a leaf」を歌っていたんですけど、今回は義勝が歌いました。●新しいことにも色々とチャレンジしている。
武正:幅を広げるために作った曲は、「今までと違うモノを作ろう」っていうことをかなり意識していましたね。僕は“色んなジャンルの音楽を聴きたい”っていう願望があって。どのジャンルでもカッコ良い音楽はカッコ良いから、どんどん好きになっていきたい。例えばフェスで初めて観て、そこからどんどん掘り下げてファンになったりするパターンも多いんです。
●そういう掘り下げが、サウンドに幅の広がりをもたらしている気がします。今回の9曲もバラエティ豊かですが、どうやって選んだんですか?
武正:選ぶときはかなり悩みましたね。昔の曲も候補に入れて、TGMXさんと話し合って決めていきました。似ている曲はどちらか良い方だけを入れて、ボツにした曲もあります。今回は曲をいっぱい作って、そこから選ぶっていうスタンスだったんですよ。
●イメージ通りの作品が作れた?
友将:思惑通りですね。1曲1曲雰囲気が違って、飽きない作品になったと思います。
武正:率直に、すごく良い曲が集まったなって思う。他の人からは違う印象を持たれるかもしれないけど、僕個人としては“あっさり終わるから、また聴ける”という感覚があるんです。かといって別に“浅い曲”っていう意味じゃなくて、すごく良いモノを1枚に凝縮したっていう感じなんですよ。
●作品タイトルを『TIMES SQUARE』にした理由は?
武正:今作の楽曲中には“夕方”“夜”“深夜”“朝”っていう4つのキーワードが入っていて、その4つの時間(TIMES)で囲まれた四角形(SQUARE)の間に昼があって、そこにKEYTALKがいるというイメージですね。“これがKEYTALK”みたいな感じです。
●そんな意味があったんですね。
武正:あと、自分がニューヨークのタイムズスクエアへ行ったときに“渋谷っぽいな”と思ったんです。それで海外のアーティストが『渋谷』っていうタイトルでアルバムを出したら、逆にダサくてカッコ良いなと思って。ニューヨークの人たちからしたら『TIMES SQUARE』っていうタイトルは相当ダサいなということで付けました(笑)。
●…要はノリってこと?
武正:“ノリの中に深さあり”みたいな。
●いや、深くないでしょ(笑)。リリース後にはツアーもありますが、意気込みは?
武正:音源よりもライブの方が絶対に良いモノにしたいっていう気持ちは、すごく強いんです。ツアーでは色んな都市にどんどん行きたいと思っているし、多くの人に生で観てもらって音源とは別の迫力を体感してほしいですね。
●ライブにもこだわりを持っている。
武正:“ライブバンドでいたい”っていう気持ちは強いですね。
友将:自分がライブを観ていて“すごくカッコ良い”と思ったバンドは、映像というよりも1枚の画像みたいな感覚が残るんです。そういう一瞬を捉えた写真みたいなイメージが、僕らを観ている人の中にも残ったら良いなと思います。本当に一瞬だけでも衝撃が残ってくれれば良いなと。
●まだまだこれから進化して、変わっていくでしょうからね。
友将:今までもライブで各地をまわっていく中で、毎回バンドもライブも進化してきていて。ライブがどんどん変わっていくので、とりあえずライブに足を運んでほしい。僕らは常に模索中なんです。
●今後のビジョンも見えてきている?
武正:謎っすね。行き当たりばったりなので、先が見えない(笑)。
●(笑)。良い方に解釈すれば、先が見えない方がワクワクしますからね。
武正:僕自身も次に期待しているので、すごく楽しみですね。今作もすごく良いと思っているんですけど、さらに良いモノを作り上げたいっていう気持ちが強いんです。
Interview:IMAI
Assistant:中路 亜紀
Vo./G.寺中友将
Dr.八木 優樹
G.小野 武正
Ba./Vo.首藤 義勝

1st Mini Album 『TIMES SQUARE』
KOGA / Grooovie
Drunker Records
KOCA-59
¥1,890(税込)
2010.7.7 Release