広島出身の3人組ロックバンド、ドナテロが1stアルバム『ドナテロの化けの皮の剥がし方』をリリースした。自己紹介ともいえる全国デビュー作で、いきなり自らの“化けの皮の剥がし方”を晒すようなタイトル。だが、Vo.さきのチャーミングで時に切ない歌声と赤裸々な詞は、むしろ聴き手が身ぐるみを剥がされてしまいそうなほど危険な距離まで迫ってくる。ポップでキュートなサウンドの中にちょっぴり毒を潜ませた彼らのロックに暴かれてしまう。
●08年に拠点を東京に移したそうですが、結成以来このメンバーで活動してきたんですか?
546:最初はもう1人ギターが居たんですけど、5年目くらいの時に抜けてしまったんですよ。しかも、4日後に大会が控えているというタイミングで。
●その大会には出たんですか?
546:迷ったけどもう腹をくくるというか、3人で出ようってなりましたね。
マチャーキー:追い込まれたことで、さきのギターが開花したんですよ。それまで弾かなかったようなフレーズとかギターソロもやったり。
●4日で弾けるようになるものなんですか? (笑)。
さき:弾きましたね(笑)。今はミスも恐れないんですけど、その時はさすがにやりきって泣きました。
マチャーキー:そのまま地方大会で優勝しちゃって、なんだかんだでバンド名も変えず、新しいギターも探さず続けてます。
●3人になって、曲作りや音楽性も変わった?
546:前は女の子ボーカルではやらないような、もっと男臭いロックをやってました。その頃と比べると今は結構ポップになりましたね。
●音はポップでキュートなんだけど、歌詞には毒を感じるというか。一人称が“僕”だったり“あたし”だったりするのは、使い分けているんですか?
さき:普段は“僕”とは言わないけど、そう言った方が素直に詞を乗せられるんです。私ではない人物を置いて、それに語らせる。アルバムタイトルで“化けの皮の剥がし方”なんて言ってますけど、本当は自分自身の皮を剥がせない人間なんです。
●敢えて間接的な表現で想いを発信している。
さき:私自身の言葉として歌うと、言葉が強すぎるというか本質よりも棘が先行してしまいそうで。私の詞はメッセージというよりも感情そのものだから、間接的にすることでもっと広く聴いてもらえるし、私も長く歌っていけると思ってます。
●内容的に誰かに対する問いかけが多いですよね。すごく“人”を求めているような印象です。
さき:自分の存在価値を確かめたいんですよね。それは多分誰と一緒に居てもずっと問い続けると思う。誰も信じられないとかトラウマがあるとかじゃなくて、まず自分自身を信じられないから、人のことも信じきれないんだろうなっていうことが大人になってやっとわかってきて。でも答えなんか見つからないから、もうちょっと歌おうかなって思うんです。
●例えば「ホワイトラビット」(M-1)の“傷ついてよ”はどういう心境なんでしょうか。
さき:私とのことでちゃんとダメージを喰らって欲しいんです。そこに想いが無ければ私が何をしたとしても相手は痛くない。好きじゃない人と一緒に居たとしたら、「別れましょう」と言われても簡単に納得すると思うんですよ。でも、私がそう言ったことに対して怒りを感じて欲しい。
●ぶつかり合うというか、真意に気付いて欲しい。
さき:うん、はっきりと言葉にしなくても。でも“この人本気じゃないな”ってわかった時って、多分私も本気じゃないんです。バンドも同じで本気でぶつかってくれるから私も本気でぶつかっていける。きっと曖昧にしたらそれでどこまでも行けちゃうのかもしれないですけど、私はつまらない。
●ふわふわのウサギの毛皮はやわらかくて可愛いけれど、そこを破らないと本当のことはわからない?
さき:本当はウサギの皮を被った、オオカミだったりして(笑)。実は二面性が今回のテーマだったんです。だから「ホワイトラビット」は“白い毛皮はフェイクファーなんだよ”っていうのを言いたくて。
●「クタビレアンブレラ」(M-4)で“こんなあたしをイイ子だと 騙されてるフリをして”と言っていますが、自分の本当の姿をわかっていながら騙されてるフリをして欲しいということ?
さき:もう無茶苦茶ですよね。わかってるけど騙されてよって女王様かと(笑)。でも「うそつきたまご」(M-6)の“むしり取ってください”とかもそうで、可愛いノリで激しい言葉を選ぶのが私らしいんです。私はエグイ言葉を使っているけど、エロとかグロとかっていうのは必要な表現だから。言葉には妄想させる力があるので、人間なら最終的にそこに辿り着くはずだからきっと頭にも残ると思うんですよ。
●「6cm」(M-5)は何の数字なんですか?
さき:誰かとずっと一緒に居るのにちょうどいい、絶妙な距離です。近過ぎるとぶつかり合うし、離れ過ぎると遠くなってしまう。
●「1mm」(M-12)はその境界線を越えて大接近してしまっている?
さき:6cmが絶妙だとしても、私はもっと近付くことを求めてしまうんですよ。1mmまで近付いてしまうと、もう血まみれです(笑)。でも私がどうとか相手がどうとか、そういうエゴが無ければ居られる距離なんですよね。でもそんな関係はつまらないと思うし、私にはきっと無理で。色々なものを捨てなければ結局そこには行けないと思うんです。今この瞬間では違うけど、人生の最期にはそう想える人と一緒に居られたらいいなと思います。
●一番いい面を見せるよりも、あえて自分の化けの皮を剥いで見せるようなタイトルを今作に付けたのは、ある意味すごくドナテロらしいわけですね。
さき:そこは大事だと思っています。私みたいな性格で可愛いだけの歌を歌っても違うし、「この人かわいそう。普段何やってるんだろう」って思われるくらいがちゃんと観てもらえる気がしてるし。幸せなら幸せな歌になってると思うんですけど(笑)。
●自分をさらけ出しているから、聴いていて心に刺さるんだと思います。
さき:そこまで見た上で好きになって欲しい。アルバムを聴いて感じ取るものと、ライブで持つ印象は全然違うと思うので、観に来て欲しいです。意外とちゃんと弾きながら歌ってますから! (笑)。
interview:伊藤佐和子
Vo./G.さき
Ba.マチャーキー
Dr./Cho.546

1st Album 『ドナテロの 化けの皮の剥がし方』
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